「ロックンロールに憧れて…その17」

みなさん、ご訪問ありがとうございます〜♪

月末、請求書作成に追われている勘太です。
毎月、嫌になってしまいます。(−_−;)
でも、頑張らねば…。

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「ロックンロールに憧れて…。」も17話になりました。
初めての方は右横のカテゴリーか上の作品集の「ロックンロールに憧れて…」を
クリックして下さい。
初めから読めます。


「ロックンロールに憧れて…その17」

ピアノコンクールは行われた。

プロのピアニストを目指す登竜門。

音楽大学の学生や音楽学校に通っている若者が出場する

大手楽器メーカーのスポンサーが付いている比較的歴史のあるピアノコンクールだ。

まず課題曲、そして自由曲へと審査は続く。

クラッカーズのメンバー、もちろん和夫も応援に来ていた。

課題曲が終了した。

リョーコの課題曲の出来は素晴らしかった。

自由曲の出来で全てが決まる。

流石由緒あるコンクールである。

みな素晴らしい出来だ。

この中で優勝を勝ち取るのは並大抵の事ではない。

和夫は演奏が始まる前、リョーコと会い話をしていた。

「自分を信じるんだ。ただただ無心でピアノに向かうんだ。」

「ウフッ和夫くん、ありがとう!力が湧いて来たわ。」

和夫はリョーコの手を握った。

リョーコに何かパワーが伝わった気がした。

〜うひょひょう若い女の子の手を握ったざんす〜

心の奥で何か声が聴こえた気がしたが、最近では全く慣れてしまっていた。

いよいよリョーコの演奏の番だ。

リョーコは、あの時の和夫が弾いた「フィガロの結婚」のピアノを思い出していた。

あのイメージを私も奏でたい。

リョーコはピアノに向かった。

不思議だ!

会場のざわめきも何も聞こえない、会場のみんなも何も見えない。

あるのは目の前のピアノだけ。

不思議だ!イメージがどんどん湧いて来る。

リョーコは鍵盤に向かい、弾き始めた。

目の前にモーツァルトの想いが拡がる。

ただただ無心でピアノを奏でた。

今までにない充実感があった。

演奏を終え、顔を上げると、観客からの大喝采がリョーコの目の前に飛び込んで来た。

リョーコは立ち上がり、観客に向かってお辞儀をした。

するとなお一層の拍手が上がった。

ブラボーッと言う声も沢山上がった。

やるだけの事はやった。

リョーコの目に涙が浮かんだ。

感無量だった。

本当に素晴らしい演奏だ。

リョーコはコンクールに優勝した。

審査員も絶賛した。

ウィーンへの名門音楽留学の道が与えられた。

音楽家を目指す者にとっては夢のような副賞である。

リョーコはどのような道を選ぶのだろうか?

リョーコは高校を卒業したのち、ウィーンの名門音楽学校に留学する事が決まった。

それまではクラッカーズを続けて行きたい。

そう母を説得した。

こうしてクラッカーズは、一週間後のブロック大会に臨むのである。

しかし天才ピアニスト、ロックバンドを奏でる!

マスコミがリョーコとクラッカーズを取り上げた。

クラッカーズは大注目の的となってしまったのである。

つづく


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「ロックンロールに憧れて…その16」

みなさん、ご訪問ありがとうございます〜♪

いつも「ロックンロールに憧れて…。」を読んでくれてありがとうございます。


ロックバンドコンテスト、Lモーション地方大会で見事グランプリに輝いたクラッカーズ!

しかしまだブロック大会、本大会と道はまだまだ険しい。

初めての方は右横のカテゴリーか上の作品集の「ロックンロールに憧れて」を選ぶと最初から読めます。

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ちなみにギターを弾いていた勘太さん
大昔の写真です。(^^;;
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「ロックンロールに憧れて…その16」


ブロック大会は20日後だった。

各地方大会を勝ち抜いた各2バンドづつが集結する。

強豪揃いだ。


リョーコは浮かない顔をしていた。

地方大会を勝ち抜き、ブロック大会も迫って来ると言うのにどうしたんだ?

リョーコは幼い頃からピアニストを目指していた。

その為に幼い頃から辛い練習を重ねて来ていた。

何度も泣きながらピアノを弾いていた。

「お母さん!もう嫌だ!ピアノなんて弾きたく無い!」

泣いてお母さんに訴えた。

それでも、お母さんは

「あなたはピアニストになるのよ。ピアニストは選ばれた人にしかなれないの。

あなたにはピアニストになる素質があるのよ。

ピアニストになれなかったお母さんの夢を叶えて頂戴。」

母はそう言って、リョーコに辛い練習をさせ続けた。

リョーコは幼い頃から沢山のピアノコンクールに出場し、好成績を収め

いくつも優勝していた。

そんなリョーコがピアノの練習を止めて、ロックバンドをやっているのだ。


「リョーコ!あなたいつまでロックバンドとかやっているの?

あなたはピアニストになるのよ!

そんなロックバンドとかやっている場合じゃ無いわ!

良い加減目を覚まして頂戴!」

母がリョーコに言う。

リョーコは家に帰るたび、母からそう言われ続けている。

「練習は続けているわ!それに私はピアニストになるつもりは無いの!

好きにさせて頂戴!」

リョーコは訴えた。

「何を馬鹿なこと言ってるの!

兎に角、次のコンクールに優勝出来なかったら、ロックバンドなんて止めさせますからね!」

母の意思は固い。

今まで、父が亡くなった後女手一つで私を育ててくれたお母さん。

お母さんに背くことも出来ない。

コンクールはブロック大会の1週間前なのだ。

リョーコが選んだ曲はモーツァルトの代表曲の一つ「フィガロの結婚」だ。

コンクールに優勝出来ないとクラッカーズを続けられない!

リョーコは時間がある限りピアノの練習をした。

学校でも音楽室のピアノを使って弾きまくっていた。

リョーコは焦っていた。

弾いても弾いても何かが足りない。

モーツァルトの想い、嘆き悩み心の叫びが現せない!

こんなんじゃ無い!

和夫は音楽室から聴こえるピアノの音を聴いた。

いても立っても居られず、音楽室に向かった。

そこではリョーコがモーツァルトの曲を弾いている。

〜おおっ、私が作った恋の曲〜

和夫の目から涙が溢れていた。

リョーコが気が付くとそこに和夫が立っていた。

そして泣いている。

「どうしたの?どうして泣いているの?」

「分からない…。僕にも分からない。でも、涙が止まらないんだ。」

「あなた一体何者なの?」

和夫は何も言わないままピアノに向かった。

そしておもむろにピアノを弾き始めた。

リョーコが今まで弾いていた曲モーツァルトの「フィガロの結婚」

リョーコが何度弾いても上手く弾きこなせない曲。

和夫は弾き始めた。

モーツァルトの想いが、情景が目の前に広がって来た。

私が何度やっても現せなかった情景が…。

いや、私が想像していた以上にモーツァルトの心の叫びが伝わってくる。

今までにこんな素晴らしい演奏は聴いたことが無い。

それも楽譜も見らずに弾いている。

まるでモーツァルト自身が弾いているようだった。

リョーコの目にも涙が浮かんで来た。

感動して涙が出て来ているのだ。

これなのだ!私が表そうとしていた世界は…。

弾き終わると和夫はピアノに座ってじっとしていた。

リョーコは聞きたい事は沢山あったが何も言えなかった。

和夫の後ろにモーツァルトが見えた気がした。

和夫は我に返ったように、

「ゴメンゴメン、邪魔しちゃったね。」と言って慌てて出て行った。

不思議な感じだった

そう言えば、初めの頃モーツァルトの亡霊にあったとか言っていたわね。

あの時はみんな笑っていたけど、本当だったのかも知れない。

リョーコは今、和夫が弾いていたピアノを想い出しながら弾いた。

今まで悩んでいた物が吹っ切れたような気がした。

リョーコの中で何かが開花した。

そしてリョーコはピアノコンクールに臨んだ。

リョーコには知らされていなかったが、そのコンクールの優勝者にはウィーンへの

音楽留学の権利が付いていたのである。

コンクールの結果は?

リョーコが選ぶ道は?

クラッカーズのブロック大会はどうなるのだ?


つづく


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「ロックンロールに憧れて…その15」

みなさん、ご訪問ありがとうございます〜♪

いよいよロックバンドコンテスト、Lモーション地方大会!

ついにグランプリの発表です。

果たしてクラッカーズはグランプリを取れるのでしょうか?

初めての方はこちら「ロックンロールに憧れて…。」から どうぞ。

「ロックンロールに憧れて…その15」

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みんな目を瞑って、発表の瞬間を聞いている。

〜それでは発表します。グランプリは…。

クラッカーズ!「何かを求めて…青春の輝き」です。

おめでとう!

クラッカーズとブラックキャッツのメンバーは舞台に上がって来て下さい。〜

やったー!

僕は思わず、サクラさんと抱きしめあっていた。

ハッと我に返り…僕とサクラさんは顔を赤くした。

僕等はいそいそ舞台に上がって行った。

まるで夢を見ているようだった。

舞台に上がると簡単な表彰式が行われた。

タカシが代表して賞状を受け取った。

準グランプリのブラックキャッツのみんなもキャーキャー言っていた。

僕等はブロック大会に進む事になった。

その後、各種入賞が発表された。

プリティハニーは特別賞をもらっていた。

姫野ココロの悔しそうな顔が心に残った。

派手過ぎるコスチュームが足を引っ張っていたのかも知れない。

しかしその派手なコスチュームがスカウトの目に止まり

プリティハニーはデビューする事になる。

そして中高生の人気の的になり大ブレイクする事になるのだが、この時には

誰も知る由は無かった。

そしてブロックキャッツのリーダー研二が

「ブロック大会では負けませんよ。」と言って来た。

「ああ、俺らも負けないよ。お互い頑張ろう!」とタカシが言った。

ワタやんは会場の隅で泣いていた。

「彼奴らやりやがった…。チクショー嬉しくて涙が止まらないぜ!」

クラッカーズは、ブロック大会に進む事になった。

しかしクラッカーズには大きな試練が待ち受けていたのだった。


つづく

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「ロックンロールに憧れて…その14」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

昨日あさ車のカギを壊されていました。
悪い奴がいるものです。
みなさんも気を付けて下さいね。


さてさてロックバンドコンテスト、Lモーションに臨んだクラッカーズ!
いよいよクラッカーズの順番が回って来た。
クラッカーズ!頑張れ!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


初めての方はこちら「ロックンロールに憧れて…。」から どうぞ。


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「ロックンロールに憧れて…その14


ついに僕等の出番がやって来た。

自信を持つんだ!

今までやって来たことを思い出すんだ!

「みんな!思い切りやろうぜ!」 タカシが声をかけた!

「おう!」みんなも気合いを入れる。

ノブオがドラムを叩く! スポットライトが当たる。

僕はギターを鳴らし、サクラさんが歌い出す。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「何かを求めて…青春の輝き」

優しいだけじゃ物足りない!

もっと強い刺激が欲しい。。

俺たちは突き進む

分からない何かを求めて

何を求めているのだろう

輝く何かがそこにあるはずさ。

自分の信じた道を突き進め

ゴールなんてなくても良い

自分の信じた道を突き進め


哀しいだけが人生じゃ無い

俺たちは支え合う生き物だ

愛を求め 愛を叫ぶ

俺たちは孤独なんかじゃ無い

自分の手で光を掴み取れ

My etc. hope is eternal.

My etc. hope is eternal.

信じた道を突き進め


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


僕等は夢中で歌った。

みんな自分の力を出し切った。

僕はサクラさんとお互いを見つめあった。

そこには全てを出し尽くしたと言った笑顔があった。

みんなもイキイキとした顔をしていた。

そして気が付けば会場は大喝采だ!

みんな僕等の歌を聴いてくれたんだ!

みんなありがとう!


〜これで全ての楽曲が出揃いました。

みんな素晴らしい演奏でした。 すぐに審査が行われます。〜

さあ、後は結果を待つだけだ。

果たしてクラッカーズは先に進めるのだろうか?

グランプリはどのバンドなんだ!

いよいよ発表の時は来た。

ブロック大会に進めるのは、2バンドだけ。

〜それではブロック大会に進む2バンドが決定いたしました。

発表します。

まず、ブロック大会進出バンド1組目!

準グランプリの発表を致します。

準グランプリのバンドは

ブラックキャッツの「愛は風の中に」です。

おめでとう!

そして、いよいよグランプリの発表です!〜

なんと言うことだ!

ブロック大会に進めるのは、あと1バンドだけだ!

果たしてグランプリはクラッカーズなのか?

それともプリティーハニーなのか?

「頼む!クラッカーズ選ばれてくれ〜!」

ワタやんは目を瞑って祈っていた。

つづく


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「ロックンロールに憧れて…その13」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

モーツァルトが現代に蘇ってロックを作曲したらどんな曲が出来るんでしょうね。


僕は平凡な高校生のはずだった。

ある日、音楽室でモーツァルトの亡霊が僕の身体に宿った。

僕は音楽の才能を開花させて行った。

友達からバンドに誘われ、そして僕らのバンド、クラッカーズはロックのコンテスト

Lモーションにエントリーしたのだった。

初めての方はこちら「ロックンロールに憧れて…。」から どうぞ。


「ロックンロールに憧れて…その13」

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いよいよ、Lモーションの予選の日は来た。

僕等はあれから3回ほどライブハウス唱和に出演していた。

なんとビッグエコーズが出演していない日は僕らがトリを務めたりしたんだ。

ファンの人も出来て、トリを務めたり日などは、クラッカーズを聴きに

大勢の人が来てくれていた。。

お陰でこの予選の地方大会では、僕等は目玉バントのひとつに取り上げられている。

そしてもうひとつ注目されているバンドがいた。

姫野ココロ率いるガールズバンド「プリティーハニー」だ。

アマチアながら各ライブハウスを回っていて、高校生の間ではファンクラブも出来ていた。

派手なコスチュームだけど、サウンドはしっかりしている。

予選の出場バンドは20グループだ。

各楽器店の予選や審査を経て、この予選に参加して来たのだった。

僕等は抽選の結果演奏順番は1番最後になってしまった。

1番最後のクジを引いてしまったタカシは

「俺たちはトリが似合うんだよ!ひゃひゃひゃひゃ〜。」と

緊張して変な笑方をしていた。

そして姫野ココロ率いる「プリティーハニー」は、中ほどの12番目の演奏だった。

この予選の地方大会で上位2バンドが関東ブロック・近畿ブロック・九州ブロック等の

ブロック大会に進むのである。

そしてこそで勝ち上がったバンドが本選の大会へと進むのである。

まだまだ道は遠い!

地方大会だと言うのに市民会館は大勢の観客で埋まっていた。

いよいよ予選は始まる。

各バンドが演奏を繰り広げ始めた。

僕等は軽く打ち合わせをした後、会場を覗いて見た。

もうすぐ注目の バンド「プリティーハニー」の順番のはずだ。

いよいよ始まった。

レオタード姿の姫野!

ウサギの耳を付けて、セクシーなポーズをとている。

ギンギンのロックサウンドのなか姫野の歌が響き渡る!

流石に注目されるだけの事はある。


〜魔笛の夜の女王〜

闇夜に凍りつくよなあなたの視線

あたいはそんな視線をかいくぐる。

魔笛の力を手に入れろ

この世はあたいに跪く

あなたを愛してた時もあった

あなたに抱かれた日もあった

でもあたいはあの頃のあたいじゃない

あたいは魔性の女に変わった の

You are made into a captive.

You will love me.


意味は良く分からないが、とても迫力のある歌だった。

そしてついに僕らの順番が回って来た。

みんな緊張の色が見える。

クラッカーズは、本来の演奏が出来るのか?

ワタやんは会場の隅で、ハラハラしながら見守っていた。

つづく


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「ロックンロールに憧れて…その12」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
日本対コロンビア
前半が終わって1対1!

さあ、後半戦も頑張れ!

ありゃ、1点入れられてしまった。(T . T)


和夫とサクラ、恋愛は上手く行くのでしょうか?
上手く行って欲しいよね。(=^ェ^=)

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「ロックンロールに憧れて…その12」

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僕等は急遽ライブハウスに出演する事になった。

もちろんみんなライブハウスなんて初めてである。

客としてでさえ入ったことが無い。

「わっ!唱和って、伝説のライブハウスじゃ無いの?

あの長渕太郎とかチューリッピとか敬遠隊とか大物ミュージシャン達が

ここから旅立ったと言うあの唱和だよね。」

みんな緊張してガチガチになっていた。

「うん、良いぞ!ここでガチガチに緊張する体験を経験しておくんだ!

そうすれば、Lモーションの舞台で、緊張する事にもなれるだろう。」

ワタやんはそこまで考えて、このライブハウス出演を勧めたのだった。

楽屋に入ると井口がいた。

「驚いたな!高校生のバンドって、お前達のことだったのか?」

井口がクラッカーズのメンバーを見てそう言った。

「しかしお前らちょっとビビり過ぎて無いか?

それじゃ良い演奏は出来ないぞ!」

「うるしゃい!俺たちはビビってなんかいないぞ!」

タカシが強かって言ったが、膝は震えていた。

「まあ、頑張ってくれよ!」

そう言い残して井口はビッグエコーズの元へと去って行った。

驚いた!彼奴らがここに出演出来るなんて!

ここにはそれ相当の実力や実績が無いと出られる場所じゃ無いんだぞ!

彼奴ら、そんなにレベルが上がっているのか?

こっちも気合い入れていかないと!

彼奴らに負ける訳には行かない!

各バンド軽くリハーサルをした。

それじゃ最初はクラッカーズさん、2番目は湘南ボーイさん、そしてトリは

ビッグエコーズさん持ち時間は各30分、40分、50分ですのでよろしくお願いします。

ライブハウス開演の時間になった。

出演バンドの欄にマリンブルーの名前が外されクラッカーズの名前が掲げられた。

ライブハウスに訪れた客達はクラッカーズ?

みんな聞いた事も無いバンド名に頭を捻っていた。

まだ客の入りもまばらな中クラッカーズの演奏は始まった。

まずは和夫が作ったロックンロールのナンバーからだ!

高校生バンド?

大丈夫なの?と期待していなかった客達が最初のノリの良いこの曲で目を奪われた!

心を惹きつけるサウンドだ!

客のノリは上々である。

「こりゃ驚いた!彼奴ら結構演るじゃ無いか!

あれはお前がいたバンドなんだろう?」

ビッグエコーズのリーダーの清が言った。

「もう、俺には関係ないバンドっすよ!」

井口が言うと

「井口くんがいたバンド、結構イケてるね。」

イチゴもロックンロールの腰の振り方をしながら言う。

そしてタカシの曲、リョーコの曲と続き和夫が作ったバラード

サクラの熱唱に客は酔いしれた。

最後に今度Lモーションのために用意した曲を歌う!

サクラと和夫のツインボーカルに観客は沸いた!

最高のツインボーカルだ!

気が付けば、観客は立ち上がり、腕を振り上げ乗っている!

この耳の肥えたライブハウス唱和の客達を虜にしてしまったのだ!

クラッカーズは大盛況の中、舞台を降りた。

その後も客達の興奮は覚めやまなかった。

次のバンドの湘南ボーイはすっかりクラッカーズに喰われてしまっていた。

「おい、こりゃヤバイぞ!俺たちも気合い入れていかないと高校生バンドに喰われっちまうぜ!」

ビッグエコーズのリーダーの清が言う!

「ああ、俺たちは負けませんよ!」

井口の目が輝いた。

「ああそうだとも!」井口と清の間に信頼関係のような物が芽生えたような気がした。


そしてビッグエコーズの出番が来た。

和夫はビッグエコーズの演奏は初めて聴くのである。

そして井口の演奏も…。

まずイキナリ井口のギターが唸り声を挙げた!

グィィィイイイイイイイイン!

そして清の雄叫びのような歌が響く!

「す、凄い!井口くんのバンド凄いよ!」

和夫は身体が震えるのを感じた!

観客たちも一斉に盛り上がる!

さすがビッグエコーズだ!

これからこのふたつのバンドはライバルとして競い合って行く。

クラッカーズはこのライブハウス唱和の出演を機会にクラッカーズフアンも増えて行くのである。

クラッカーズ、ライブハウス出演も大成功だった。

いよいよクラッカーズはLモーションの予選に臨むのであった。

つづく




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「ロックンロールに憧れて…その11」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

昨夜は、商店会の総会、懇親会がありました。
ちょっと調子に乗って焼酎を飲み過ぎてしまいました。
郵便局の局長さんと話が弾み、ブログの事とか
物語やイラストを描いていることを話しました。
この局長さん、聞き上手で、つい沢山話をしてしまいました。

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井口は、ビッグエコーズに馴染んで行けるんでしょうか?


初めての方はこちら「ロックンロールに憧れて…。」から どうぞ。

最初から読めます。



僕等はLモーションのコンテストに向けて練習をしていた。

僕は相変わらず、サクラさんにデレデレだ。

その時、ワタやんが

「俺の知り合いのライブハウスのマスターが今日出演予定のバンドが

一バンド出られなくなって急遽出れるバンドを捜してるんやけど

お前ら出て見ないか?」と言った。

「えー、今日ですか?」

タカシが困った顔で言った。

「ふふふ…。井口のビッグエコーズも出演するんだぞ!」

ワタやんは、勿体ぶって言った。

「えー!井口のビッグエコーズと共演?出ます!出ます!」

タカシは鼻息荒くワタやんに答えた。

「みんなは良いよな!Lモーションの舞台の練習にもなるし!」

みんな反対する物はいなかった。

ライブハウスか…。

いったいどんなとこなんだろう?

井口くんの演奏も見てみたいなぁ。


井口はギターのチューニングをしていた。

イチゴさんは、いつも優しく接してくれるし

リーダーの清さんは相変わらず不機嫌な顔をしている。

ベースの浩一さんはいつもにこやかだ。

井口はだいぶビッグエコーズに慣れて来た。

メンバーがギクシャクしてように見えて、実はそれが普通だったんだ。

不機嫌な清さんは、不機嫌な事が当たり前だし、色気タップリのイチゴさんは

気のある素振りをするのが好きなんだ。

いつもニコやかな浩一さんはまるで空気みたいな存在だ。

井口はこのビッグエコーズもそれほど居心地は悪く無いと思い始めていた。

「おい、今日出演予定のバンドがひとつ出られなくなったってさ。」

リーダーの清が言った。

みんな、それほど関心を示さない。

まあ、そんな事よくあることだし。

「なんでも、その代わりの高校生のバンドが出るらしいぜ!

全く高校生のお子様バンドと演るなんてゴメンだぜ!

おっと、井口は別格だけどな。」

清は井口の事を認め始めていた。

井口の意見にも少しづつ耳を傾けるようになっていた。

井口の突き刺さるような視線!

音楽に対する貪欲さ!自分の高校時代を見ているようだった。

ある日、清は井口に言った。

「おい、井口!お前このフレーズにメロディーを付けてみろ!」

井口を試すつもりは無かったが、やらせて見た。

井口はおもむろにギターを鳴らし、清が思いもつかないようなメロディーを奏で出した。

清は井口の才能を肌で感じた。

ようやくまとまりつつあるビッグエコーズだった。

クラッカーズ、初めてのライブハウス。

ビッグエコーズと初対面、井口の対応は?

ここでもクラッカーズ旋風を巻き起こせるのか?

つづく

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「ロックロールに憧れて…その10」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

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僕等はLモーションに向けて練習を繰り返していた。

少しでも良いフレーズ

心地よいメロディーラインを求めた。


僕は曲作りに没頭した。

そしてついにそれは完成した。

リョーコはその曲を聴いた時、思わずモーツァルトとつぶやいた。

モーツァルトの繊細なメロディーそして壮大なスケール

モーツァルトが現代に蘇ったら、きっとこう言う曲を作るだろう。

そんな感じの曲だった。

古典的で、だけどもけして古臭く無い。

いや斬新なメロディー

非の打ち所がない!

そしてサクラと和夫のツインボーカルも斬新だった。

作詞はリョーコが書き上げた。

クラッカーズ渾身の作品だった。

ワタやんは驚いていた。

これが高校生が作る曲なのか?

これは行ける!行けるぞ!


僕はサクラとツインボーカルに心がときめいていた。

サクラさんと一緒に歌える。

僕とサクラは急速に接近出来た。

ツインボーカル、2人の呼吸が大事なのだ。

何度も何度も2人で練習した。

サクラさんと見つめ合う目。

もうそれだけで幸せだった。

「コラッ和夫!サクラに見とれないで、気合い入れて歌え!」と

ワタやんから何度も怒鳴られた。

もう、僕がサクラさんの事を好きなのがバレてしまうじゃ無いか!


休憩中、リョーコは何気無く昔練習していたモーツァルトの曲

ピアノ協奏曲21番を弾いていた。

小さい時からいつも引っかかる場所に差し掛かり、どうしても躓く…。


ふと、リョーコさんが弾いたピアノ。何だかとても懐かしく感じた。

思わず僕はリョーコさんのキーボードに向かい一緒に弾いていた。


リョーコは驚いた!

私が躓いたところを意図も簡単に和夫が弾いている。

幼い頃から弾き込んでいる私が躓くところをである。

「あなた一体何者?」

リョーコは和夫を見上げた。

「あ、ゴメン!邪魔しちゃったね。」

我に返った僕はいそいそとスタジオの外に出て行った。

ヤバイヤバイ…。

何だか懐かしい感じがして、つい一緒に弾いちゃった。

リョーコさん怒ってたなぁ。

謝らなくちゃ。


季節は移り僕等は2年生になろうとしていた。

僕等はロックバンドコンテスト、Lモーションに応募した。

各地域で予選が行われる全国規模の大会なのだ。

この大会から多くの有名バンドが誕生していた。


僕等は1次予選に臨んだ。

各楽器店から推薦されたバンドが地域ごとに予選を行う。

選ばれたバンドが集い市民会館で予選が行われるのだ。

クラッカーズも渡辺楽器店からの推薦で予選に参加するのであった。


つづく

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「ロックンロールに憧れて…その9」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

ある日、モーツァルトの亡霊から宿られた和夫。

その後、和夫は音楽の才能を開花させて行った。

そして友達からロックバンド クラッカーズに誘われた。

和夫が加入した新生クラッカーズは、学園祭のステージで華々しいデビューを飾った。

そしてクラッカーズの次の目標は…。

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「ロックンロールに憧れて…その9」

「ノブオのドラム」
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ノブオは幼い頃から、父親の演奏を聴いていた。

ノブオの父親のワタやんはバンドマンとして定期公演で全国を回っていた。

ワタやんが弾くギターは神の手と呼ばれていた。

そしてワタやんのバンドのドラマー安さんはノブオに優しかった。

安さんはノブオにドラムを教えてくれた。

「ワタやん、この子ドラムの素質があるで!リズム感抜群や!」

安さんはノブオを可愛がった。

ノブオも安さんを慕っていた。

幼かったノブオも中学生になり、ノブオのドラムも段々様になって来ていた。

その安さんが倒れた。

急性白血病だった。

安さんは短い闘病の後、あっさりこの世を去ってしまった。

このスティックをノブオに渡してくれと言い残して。


安さんの死と共にワタやんのバンドは解散し

ワタやんは貯めてた貯金を叩いて渡辺楽器店を開いた。

小さいながらもスタジオを併設し、若手の育成に力を入れ

有能な若手を育てることをライフワークとした。

ノブオは安さんを思い出しながら、今日もドラムを叩く。

その渡辺楽器店に井口が通う様になり、ノブオは井口とバンドを組む事になるのである。


「ベースのタカシ」
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中学時代から井口とは親友だった。

気が合う友達だった。

そして井口に影響されて、音楽を始めた。

タカシは井口から色んな音楽を習った。

「天国の階段」のイントロカッコ良いなぁ!

俺はイーグルスのホテルカリフォルニアが好きだな。

ビートルズのレットイットビーも最高だね。

と音楽の話は尽きない。

「なあなあ、タカシ!俺たちもバンドやろうぜ!

カッコイイバンド作ろうぜ!」

井口がタカシに言った。

「バンドか、カッコ良いな!やろうぜ!」

こうやってクラッカーズは誕生した。

タカシは夢中でベースの練習をした。

これほど一途な奴は見たこと無かった。

ドラムのノブオ、キーボードのリョーコ、そしてボーカルのサクラと

クラッカーズのメンバーが揃った。

ノブオの楽器店のスタジオで初めての練習!

元バンドマンのノブオの親父さんが色々アドバイスをしてくれた。

初めての練習曲は「ホテルカリフォルニア」だった。

楽しかった。

みんな中学を卒業しても、同んなじ高校に行こうぜ!と

同じ高校を受験したのだった。

俺たちの結束は固かった!

まさか井口がバンドを抜けるとは…。

タカシは涙ながらに、井口に突っかかった!

「俺たちの結束ってこんなもんだったのかよ!

俺は続ける!お前が居なくなってもこのクラッカーズを守って見せる!」

そうは言っても井口の存在は大きかった。

途方にくれていた時にタカシは和夫のギターを聴いたのである。



学園祭の成功にみんなはしゃいでいた。

「それではクラッカーズ、学園祭の打ち上げを行いたいと思います。」

カラオケボックスでクラッカーズは、学園祭の打ち上げを行った。

ノブオの親父さんのワタやんも少しだけ顔を出して演歌を一曲歌って

そしてカラオケボックス代を払って行ってくれたのだ。

ワタやん、本当に良い親父さんである。


カラオケボックスでは、みんな大いに盛り上がり

次は「Lモーション」に出ようぜっと誰かが言った。

「Lモーション」ロックバンドのコンテスト!

プロへの登竜門である。

俺たちが「Lモーション」コンテスト…。

みんな、やろうやろう!と盛り上がった。

早速曲作りだ。

こうしてクラッカーズは、大きな目標「Lモーション」に向かって

爆進するのである。


つづく



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「ロックンロールに憧れて…その8」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

「ロックンロールに憧れて…。その7」はサクラさん目線でした。

サクラはどう思っているのか?

みんなの知りたがったところですよね。

和夫に気があるのかと思っていると

あれ?井口の事が好きだったの?

いやいや、和夫にも脈がありそうだぞ…。


これからどの様に展開して行くんでしょうね。

初めから読んでくれる人はココから

「ロックンロールに憧れて…その8」

「井口の戸惑い」
201406210539163fb.jpg

井口は焦っていた。

親の反対を押し切って、普通の高校に入ったものの

この苛立ちは何だ?

仲間内で音楽を奏でるのは楽しい。

しかし俺が求めているのはこんなんじゃ無い!

ロックバンドコンテスト「Lモーション」が行われていた。

ロックバンドをやっている者達の憧れのコンテスト「Lモーション」

井口はいつかこのコンテストに出てやる。

そう思いながら会場に足を運んだ。

そして「ビッグエコーズ」を見たのだった。

井口に衝撃が走った!

これだ!

この音楽なんだ!俺が求めていた物は!

「ビッグエコーズ」は賞を受賞した。

デビューの話も舞い込んでいると聞いた。

それまで楽しかった仲間内での音楽が急に色褪せて見えた。


そんな時、ビッグエコーズがギターリストを捜していると耳に入った。

いても立っても居られない。

そして井口に声がかかったのだ。

井口はその話に飛びついた。

ビッグエコーズのメンバーの前でギターを弾いた。

みんな賞賛してくれた。

一緒にやろうと言ってくれた。

憧れのバンドのみんなが誘ってくれた。

井口はクラッカーズのみんなの顔が浮かんだが、井口はビッグエコーズに

入る事を決めた。


学園祭に向けて練習に集まったみんなに言った。

「すまない。もうみんなとは一緒に出来ない。みんな許してくれ!」

そう言って井口はスタジオを飛び出した。

追いかけるタカシ!

「俺たちはどうなるんだ?

俺たちを捨てて行くのか?」

タカシの声が心に突き刺さる!

「勝手にしろ!」

タカシが怒鳴る!

「許してくれ!」井口は逃げる様に駆け出して行った。


井口はビッグエコーズに入った。

しかし入って見ると外から見るのと違っていた。

メンバー間はギクシャクしていた。

ワンマンな自己中心的なリーダーと個性的なメンバー。

音楽性の違いから、前のギターリストが辞めた。

そのギターリストの代わりに井口が入ったのである。


ビッグエコーズのリーダー清は荒れていた。

曲作りに行き詰まっていたし

恋人のイチゴとも上手く行っていなかった。

新しく入った生意気な若いギターリストが曲を持って来た。

癇に障った清は怒鳴りあげる。

「お前は言われた通りギターを弾いてれば良いんだよ!」

若いギターリストの目が心に突き刺さる。


井口はクラッカーズが新しいメンバーを入れて学園祭に出ると聞いた。

サクラやみんなの顔が目に浮かぶ。

井口は気が付くとクラッカーズのみんなの前に来ていた。

サクラが声をかける。

「何しに来たんだ」とタカシが言う。

そうだ、俺が顔を出せる筈が無いじゃ無いか…。

井口は思い知った。

「お前達を応援に来たのさ。」井口は強がって言った。

そして逃げる様に立ち去った。

隅でクラッカーズの演奏を聴いた。

ショックだった。

俺がビッグエコーズに求めていた物がここにあった。

みんな楽しそうだった。

井口は自分があの輪の中にいるのを想像した。

しかしもう戻れない。


井口はビッグエコーズの練習に向かった。

「井口、新しい曲や。覚えておいてくれ。」

井口は楽譜を受け取った。

今までと代わり映えのしない曲だった。

「なんだよ!その目は?」

リーダーの清が声を上げる!

「いえ、何も無いっす。」

井口は新しい曲を無難に弾いた。

クラッカーズの事が頭から離れない。

「チクショー。」

井口は心の中で叫んだ。


井口は誰も居ないスタジオで1人ギターを弾いていた。

新しく作った曲だった。


「良い曲ね。」

振り向くとキーボードのイチゴがいた。

リーダー清の彼女である。

「あ、イチゴさん。」

イチゴは井口の肩に手をあてた。

そして頬にキスをして言った。

「頑張ってね。」

どう言う意味なんだろう?

井口はまたギターを弾いた。

ただ黙々と。


「リョーコの場合」
20140621060841c5e.jpg

リョーコは幼い頃からピアノを習っていた。

厳しい母の指導!

リョーコの母はピアノ教室の講師をしている。

それで朝から晩まで弾かされていた。

リョーコはピアノコンテストで良い成績を収めていたが

母は納得してくれなかった。

もっと良い成績を!もっと良い成績…。

リョーコの母は自分が叶えられなかったピアニストの夢を彼女に託していたのだった。


コンテストも優勝しないと喜んでくれなかった。

もっと自由に弾きたい!

井口からバンドをやらないか?と誘われた。

リョーコはこれだと思った。

私がやりたかったのは!

楽しかった。

みんなイキイキしていた。

それなのに井口の脱退は衝撃だった。


そして代わりに入った和夫のギターを聴いてなんとも言えない。

音楽家としての血が騒ぐのを感じた。

何者なの?

リョーコは驚きの目で和夫を見ていた。

古典的な様な新しい様な心地良いフレーズ。

そう何度も弾き込んだモーツァルトの曲に似ている。


クラッカーズは学園祭の成功に気を良くして

ロックバンドの憧れのコンテスト「Lモーション」に挑む事に決めたのだった。


つづく


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「ロックンロールに憧れて…その7」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

遥か彼方に過ぎ去った青春の日々。
今では青春と言う言葉すら口にするのが恥ずかしいような年頃になってしまいました。

さてさて、今日はワールドカップ第二戦。
日本頑張ってもらいたいですね。


「ロックンロールに憧れて…その7」
201406200554456c8.jpg

サクラは思い出していた。

クラッカーズに誘われた日のことを

中学時代、サクラは内気な女の子だった。

友達もいなかった。

教室でいつもひとりぼっち。

そんな私に、井口くんが声をかけてくれたの


「お前、歌が上手かったよな。今度、ロックバンドを作るんだ。

お前も入ってくれないか?」

「え?ロックバンドを?」

クラスでリーダー的存在だった井口から声をかけられるなんて思ってもいなかった。

「でも私楽器なんて弾けないよ。それにロックなんて聴いたこと無いし。」

サクラはモジモジしながら言った。


「大丈夫!楽器が弾ける奴はもう集めてるんだ。あとボーカルを捜してるんだ。

中々良いボーカルがいないんや。

お前、歌上手かったよな。

お前の歌が必要なんや、頼むよ。」

こうしてサクラはクラッカーズに入ったのだった。

バンドは楽しかった。


今まで友達がいなかったサクラに仲間が出来た。

サクラは変わった。

暗い内気な女の子が、良く笑う、明るい女の子になった。

サクラの歌声はクラッカーズにあっていた。

井口が創る曲、リョーコのキーボード、タカシのベース、ノブオのドラム

そして井口のギターにサクラのボーカルはピッタリだった。


みんなは同じ高校に入った。

楽しかった。

それなのに学園祭に向かって、さあこれから!

と言う時に井口が抜けた。

信じられなかった。

みんな裏切られた気がした。

信じていた仲間の筈だったのに。

折角出来た仲間の筈だった。

クラッカーズ、終わっちゃうの?


そんな時、タカシが和夫を連れて来たのだった。

「みんな!聞いてくれ!すごい奴見つけたで!

これでクラッカーズは大丈夫や!」

タカシの鼻息は荒かった。

そして和夫くん、あなたが現れたの。

セッションしてあなたのギターを初めて聴いた時

みんな凍りつく様な衝撃を受けた。

みんなこれだ!って思ったわ。

私も思わず歌い出しちゃった。


謎の多い、和夫くん。

ちょっと不思議な男の子。

この前、スタジオで2人だけで話した時、ちょっとドキドキしちゃった。


揺れる乙女心。

まだ高校1年生の淡いトキメキ。


つづく



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「ロックンロールに憧れて…その6」

みなさん、ご訪問ありがとうござします。



「時をかける元少女」
随分前に描いていた物語です。



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「ロックンロールに憧れて…その6」

学園祭が近づいていた。

僕らのバンド、クラッカーズも調子を上げている。

クラッカーズの演奏曲は5曲。

僕が作った曲が3曲で、あとタカシとリョーコさんの曲が1曲づつだ。

僕はサクラさんの「そんなに好きな子がいたんだ」と言う言葉が気になっていた。

ひょっとしてサクラさんも僕のこと思ってくれてるのかな?

と言う事は、誤解されてしまっているのかな?

僕はサクラさんの事が好きなのに…。

僕の頭の中はその事ばかりが気になっていた。


いよいよ学園祭は明日だ。

みんなやるだけのことはやった。

学園祭当日、ステージは体育館。

機材もセッティングされ、軽くリハーサルも行われた。

5バンドが出演する。

僕らは4番バンド目の順番だ。

よその学校からも見に来ている。

僕にとっては、まさにデビューだった。

緊張する。

その時、1人の男が現れた。

「井口くん!」

サクラさんが真っ先に声を上げた。

みんな振り向く!

「何しに来たんだ!」タカシが言う。

「バカだなぁ。応援にきまってるだろう。」井口が言う。

サクラさんは涙ぐんでいる。

「俺が抜けても、続けてくれていて嬉しいよ。

今日は頑張ってくれよな。」

井口はそう言って去って行った。

サクラは、そんな井口の姿を見えなくなるまで見ていた。


井口は新しいバンドに誘われたものの上手く行ってなかった。

ビッグエコーズのリーダーはワンマンで自分本位だった。

曲もマンネリ化し、メジャーデビューも延期になっていた。

井口が新しい試みを提案しても耳を貸さず

「お前は言われた通りギターを弾けば良いんだよ!」となじられる。

入る前の話とは全然違っていた。

井口はクラッカーズを離れた事を後悔していた。

明るく楽しく練習している彼らを羨ましく思っていた。


いよいよステージは始まった。

最初のバンドが演奏を始めた。

正直レベルは大したことは無い様だ。


そしていよいよクラッカーズの出番だ!

「よし!みんなをあっと言わせてやろうぜ!」

タカシが声を上げ、みんなも掛け声を上げた!

クラッカーズの演奏は出演バンドの中では断トツだった。

みんな盛り上がっている!

和夫のロックンロールに踊った。

そしてリョーコの曲、タカシの曲!

最後は和夫が

作ったバラードをサクラが熱唱!

みんなバラードに酔いしれる。

ステージは大成功だった


そして井口はクラッカーズのサウンドを聴いて衝撃を受けた。

これがクラッカーズなのか…?

新しいサウンド!心地良い旋律。

ビッグエコーズに無いものばかりだった。


つづく


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「ロックンロールに憧れて…その5」

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

ブロ友の童話作家ゆうこんさんの詩にイラストを描いて見ました。


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「雨に似合う」


けろけろけろ

おいらだって

ひとりになりたいときもある

ほら、こうやって 雨にうたれてると・・・


けろけろけろけろ
  ケロケロケロケロ
     けろけろケロケロ


あれあれ、誰か音がはずれてるぞ


やっぱりみんなと一緒がいいな


「ロックンロールに憧れて…その1」

平凡な高校生の僕はある日、音楽室でモーツァルトの亡霊と出会った。

そしてそのモーツァルトの亡霊は僕の身体の中に宿って行ったのだった。

ロックンロールに憧れて…その2」

僕は音楽の才能が開花して行った。

弾いた事も無いピアノが、ギターが弾けるのだ。

それは人の心をとらえる。

僕は同じクラスのタカシのバンドに入ることになった。

そこには憧れの彼女が…。

ロックンロールに憧れて…その3」

僕は初めてバンドのメンバーと対面した。

そして一緒にセッションしみんなから受け入れられた。

これからクラッカーズの快進撃の始まりである。


「ロックンロールに憧れて…その4」

僕らは学園祭に出場することになった。

そして僕は作曲に挑戦した。


そして「ロックンロールに憧れて…その5」

どう言う展開になるのでしょうね。



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「ロックンロールに憧れて…その5」


僕はウキウキしていた。

今までこんなにウキウキした事があるだろうか?

今までは、ただ平凡に無気力に生きて来た。

何の取り柄もなく

それが今は毎日が楽しくて仕方が無い。


僕は、前夜また曲を作っていた。

そして自分なりに詩も書いてみたんだ。

サクラさんへの想いを込めて…。


「I want all you who」


僕は君に首ったけ

僕の頭の中は百パーセント君への想い


君の瞳 君の唇

全てがたまらなく好きだ


僕は君に首ったけ

君の笑顔に僕はショートしてしまいそうさ

I want all you who

It is said that it loves


I want all you who

It is said that it loves

※勘太全集「僕は君に首ったけ」より

軽快なロックンロールのリズムだった。


僕は急ぎ足で、練習スタジオへ

ちょっと早すぎたかな?

まだ誰も来ていなかった。


すると、あれ?

サクラさんだ!

「どうしたの?早いんだね。」

僕の声はぎこちない。

「エヘ、時間まちがえて1時間早く来ちゃった。」

練習スタジオにサクラさんと2人だけ。

僕は心臓が飛び出しそうだった。


「和夫くん、曲も作れて凄いのね。本当に尊敬しちゃうわ。」


「そ、そんな…。

そうだ、昨日も1曲作ったんだ。聴いてくれるかい?」

「うん!サクラ、聴きたい〜♪」


僕はギターを鳴らし歌い出した。

サクラさん、君への想いを込めて作った曲だよ!

心の中でそう叫ぶ。

僕は歌った。

「キャーッ素敵!良いよ!この曲、最高だよ!」

サクラさんが褒めてくれた。

「でも、和夫くん、そんなに好きな子がいたんだ…。」

サクラはちょっと寂しげに言った。

え?どう言うこと??


そこにタカシ達がやって来た。

「おっ、2人とも早いな!学園祭に向かって張り切ってるな!」


「チクショー!良いところで邪魔が入ってしまったなぁ。

しかし青春って良いなぁ。」

スタジオの陰で2人を見ていたワタやんがつぶやいた。


つづく

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「ロックンロールに憧れて…その4」

みなさん、ご訪問ありがとうございます〜♪

毎日毎日仕事に追われる日々。
のこ不景気な時勢に、忙しいと言うことは、嬉しいことですよね。

我が家のインコ、ルルちゃんが僕から離れず困ってしまっています。

2014061706032561a.jpg



チューリップと夕日
ほのぼのとして良いですね(^o^)

さて連載中の「ロックンロールに憧れて…。」

あらすじ

平凡な僕はある日、音楽室でモーツァルトの亡霊に宿られた。

それから音楽の才能が開花した。

僕は同じクラスメイトのタカシのロックバンドに入った。

そこには憧れの彼女がいたのだった。

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「ロックンロールに憧れて…その4」

僕らの学校では文化祭が始まる。

高校に入って初めての文化祭だ。

ステージも設けられ、各演奏が行われる。

僕が入ったロックバンド、クラッカーズも出演予定だったが

僕の前のギター担当の奴が抜けて諦めかけていた。

しかし僕が加入し、やっぱり出演する事になった。

みんな燃えている。

僕もワクワクして来た。

まず曲目を決める。

クラッカーズは基本的にオリジナルで自分たちが作った曲を演奏をする。

今までの曲はバンドを抜けて行ったギターの井口が作った曲が殆んどだった。

新生 クラッカーズらしい、新しい曲を作ろう!

みんな盛り上がる。

曲作りなんて初めてだ。

何だか楽しそうだぞ!

リョーコとサクラが詩を書いた。

僕も曲作りに挑戦だ!

僕は頭の中にメロディーが浮かぶ。

不思議だ!

次から次にメロディーが浮かんで来るのだ。

僕はそれを楽譜に書いた。

楽譜なんて書いたこと無かったけど、音楽の本をちょっと読んだだけで

直ぐに理解出来、楽譜を書くことが出来た。

〜ふふふ…。曲を創るのは久しぶりざんすね。燃えちゃうざんす〜

心の中で声が聴こえたような気がしたが、僕はもう気にならなくなっていた。

僕は幾つか曲を書いて、みんなが待つ練習スタジオに持って行った。

「ええ!これお前が作ったのか?」

タカシとノブオが驚きの声を上げた。

リョーコもサクラさんも僕を見ていた。

「えへへ。サクラさんも僕を見てくれてる。嬉しくなっちゃうな〜。」

僕はサクラさんと同じバンドに入っているものの、まだそれ程サクラさんと

話した 事が無かった。

「鈴木くん、すごーい!

鈴木くん、作曲の才能もあったのね。

サクラ、憧れちゃう。」

ぼ、僕は顔が真赤になった。

僕の事をサクラさんが憧れちゃうなんて…。

201406170603395e8.jpg

その夜、僕は寝付かれなかった。

何度も何度もサクラさんの

「サクラ、憧れちゃう。」の言葉を思い返していた。

サクラさん、なんて可愛いんだろう…。


鈴木和夫、高校1年の初めての恋だった。


つづく
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タイムスリップ

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
20140616054657aef.jpg

随分前に書いていた物語。
いや、物語を書き始めたばかりの頃のお話です。

お友達のところに掲載して貰っていたんですが
そこを閉じられると言うことで、こちらに保存しておこうと思ったら
アップされてしまいました。
そう言う訳で「ロックンロールに憧れて…。」の途中ですが
アップします。

20140616142459ee4.jpg

「日本負けちゃったよぅ〜」
〜次があるさ!ガンバロー!〜

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「タイムスリップ」


201406160538248de.jpg


なこは何時ものように、PCに向かっていた。
勘太のブログを覗いて見た。
このブログは面白いイラストとか書いているブログだ。

突然、周りが真っ暗になった。
急に停電になったのだ。
灯りはすぐに戻ったが、なんだか感じが違う。
鏡を見て、なこは驚愕した。
なんと若返っているのである。
えーっ!どうなっているの??

部屋の様子も違う。
新聞を見て見ると、昭和60年。
なんと28年前にタイムスリップしてしまったのだった。

「おーい、なこ。ご飯はまだか?」
驚いたことに亡くなったはずの主人が生きている。
しかも若返って…。
あなた…。
なこは思わず涙ぐむ。

直前まで見ていた勘太のブログの「ドライブ」と言う記事だけが頭に残っている。
何故だろう?
頭の隅から、ドライブに行こうと聞こえたような気がした。

「ねえ、貴方ドライブに行きましょう。」
「え?ドライブ?」
「良いから、行きましょう。」
なこは渋る旦那を連れ出し、当時買ったばかりのカローラでドライブに出かけた。
なこは幸せいっぱいだった。
胸には先週買ったばかりのブローチ。

「ねえ貴方お弁当を食べましょう。」
しぶしぶ来ていた旦那も楽しんでいた。
そして、なこは優しく口づけをされた。
本当に幸せだった。
忘れていた想い出。
主人の温もり。
なこは幸せをかみしめていた。
夢でも良い、ずっと貴方のそばにいたい。

「すっかり遅くなってしまったわね。今、灯りをつけますからね。」
なこは灯りを点けた。

そこは今までいた部屋だった。
主人もいない。。。
PCの画面は勘太のブログが映っていた。

「タイムスリップ その2 おまけ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なこは思った。
あの体験は何だったのか?と
夢ではない。
確かに現実だ。
まだ口づけの感覚は残っている。

なこはアルバムを取り出した。
古いアルバムだ。
アルバムを開いて、なこは愕然となった。
ついさっき体験したことが、28年前の写真に載っている。
それはまだ記憶に新しい体験だった。

そしてなこはアルバムの中の1枚の写真を見て、驚いた。
それは…。
先週買ったばかりのブローチがその写真に写ってたのだ。
え?
どういうこと?

じゃ、あのブローチはどこに?
なこの胸にブローチは付いてなかった。
すると机の引出しの中から、28年の歳月を経た
ブローチが
出て来たのである。

「タイムスリップ」完結編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そしてブローチとともに
一通の手紙が

なこへ

この手紙が君の所へ届くだろうか
君と思いもよらないドライブに行けて楽しかったよ。

ある日、私は夢を見た。
夢中にトマトが現れ、そのトマトが私に話した。
未来から君がやって来ると。

あの日、妻は今までの妻と感じが違っていた。
そして突然のドライブ。
楽しかったよ。
そして言葉の端はしに出て来る不思議な未来の話。
どうやら未来では、私はもう亡くなっているようだった。
そして君が僕を見る目。
懐かしい遠くを見ているようだった。
そして家に帰ると、君は
いや妻は元の妻に戻っていた。

楽しかったドライブの話をしても、全然覚えていない。
記憶喪失になったのか?と思った。

そしてその夜、夢を見た。
また、あのトマトが現れ
君が未来から来たことを教えてくれた。
そしてこの机が君との連絡の道だとも。

あの日、あなたが忘れて行ったブローチを
送ります。
そして私は今の妻、今の時代のあなたを大事に守って行きます。
どんな事があっても幸せにします。
だから心配しないで下さい。

未来のなこ。
会いに来てくれて、ありがとう。
わたしは未来の事は分からないが
君が幸せだったと思えるような家庭を築く事を約束しょう。

なこ、本当にありがとう。


あああああ。。。あなた。
思い出したわ。
あの日あなたは、とても楽しそうだった。
ドライブがどうのと言っていたわね。
私は何の事だか分からなかったけど。。。。
でも、あの日からあなたは今までにまして
優しくしてくれたわ。
私との約束を守ってくれたのね。

ありがとう。あなた。
私はとても幸せでした。
あなたが教えてくれた絵手紙のお陰で
たくさんの友達も出来たし
私は淋しくない。

本当にありがとう。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お読み頂きありがとうございました。

続編と言う訳では無いのですが、
タイムスリップシリーズ 「タイムスリップ書簡」も読んで頂けると嬉しいです。
そしてタイムスリップ物 三部作を締めくくる。「絵手紙列車」もどうぞ
関連記事

ロックンロールに憧れて…その3

みんさん、ご訪問ありがとうございます。

いよいよワールドカップ始まりましたね。

日本戦も後2時間ほどで初戦が始まります。

頑張ってもらいたいですね。

頑張れ!ニッポン

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新連載「ロックンロールに憧れて…。」
その3まで来ました。


「ロックンロールに憧れて…。」
平凡な高校生の僕はある日、音楽室でモーツァルトの亡霊と出会った。

そしてそのモーツァルトの亡霊は僕の身体の中に宿って行ったのだった。


ロックンロールに憧れて…その2」

僕は音楽の才能が開花して行った。

弾いた事も無いピアノが、ギターが弾けるのだ。
それは人の心をとらえる。

僕は同じクラスのタカシのバンドに入ることになった。

そこには憧れの彼女が…。

そして「ロックンロールに憧れて…その3」

お楽しみ下さい。

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「ロックンロールに憧れて…その3」

僕はロックバンドに入ることになった。

正直に言って、ロックって何なんだろう?

歌謡曲やフォークソングは聴くけど、ロックはあまり聴かない。

それに僕は本当に楽器は弾けないんだ。

あれから毎日、タカシは話しかけて来る。

バンドの事について色々教えてくれた。

中学時代の仲間で結成したこと。

男3人女の子2人。

ボーカルとキーボードが女の子だそうだ。

リーダー格だったギターを弾いていた奴が他の上手いバンドから引き抜かれたこと。

そして今日、僕はバンドのみんなと逢う事になった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その日は文化祭に向けて練習する日だった。

バンドの名前はクラッカーズ!

みんなが揃ったその時、ギターの井口が口を開いた。

「俺、みんなとはもう一緒に出来ない。」

「何を言ってるんだ!」

タカシが詰め寄る。

「すまない、ビッグエコーズに誘われて、そっちに移ることにしたんだ。

みんな、すまない。」

「そ、なんな、俺たちはどうなるんだ?」

タカシが言う。

「本当にすまない。」

そう言って、井口は出て行った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

井口は音楽一家に育ち小さい時から音楽に触れ育って来た。

親は音楽の学校へ進ませたがったが、彼は反発して普通の学校に通い

そしてロックにのめり込んだ。

早速仲間達でバンドを結成した。

みんな良い奴で楽しかったが、俺が求めている音楽は

このレベルじゃ納得出来なかった。

だんだん焦りと苛立ちが襲って来た。

そんな時、ロックコンテストで優勝し、メジャーデビューも囁かれている

バンド、ビッグエコーズからギターリストとして誘いがあったのだった。

井口は迷ったがビッグエコーズに移る事にした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

カタシたちのバンドは井口で持っているような物だった。

井口のギターテクニックはズバ抜けていたし

バンドの曲も殆ど井口が作っていた。

そして何より、このメンバーは井口が集めたメンバーなのだ。

その井口が抜けてしまうなんて…。

タカシたちは途方に暮れた。


そんな時、タカシは和夫のギターを聴いた。

「これはイケる!」タカシは直感した。

早速バンドのみんなを集めた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ロックバンド、クラッカーズ!

カッコ良いな〜。

僕はタカシからロックのCDを借りて沢山ロックを聴いた。

初めは煩い音楽だと思っていたが直ぐに身体が反応し受け入れて行った。

ロックのリズム!

ギターの音、ドラムの音、ベースの音、キーボードの音が頭の中を駆け巡る。

そしてボーカル!

僕はロックの魅力に取り憑かれた。

クラッカーズの練習はなんと渡辺楽器店のスタジオで行われていたのである。

って言うより、この渡辺楽器店にスタジオがあるのに驚いた。

それほど広い店じゃないのに奥にスタジオが完備されていたのだった。


店に入ると、ワタやんが出迎えてくれた。

「よ!来たな!もうみんな揃っとるで!」

「こんにちは〜よろしくお願いします。」

僕はワタやんに挨拶をしてスタジオの方に向かった。


スタジオの扉を開けるとタカシが声をかけてくれた。

「おっ、来たな!みんな待っとったで。

こいつが今言っていた鈴木和夫や。」

タケシが僕を紹介してくれた。

僕は驚いていた!

何といつもホームで見かける彼女がいるのだ!

話したくても話せなかったあの彼女が!

僕は顔が真赤になってしまった。

あああ…。どうしよう!

兎に角挨拶をしなくちゃ〜。

「す、鈴木 かかじゅおといいましゅ…。

い、いや鈴木和夫と言います。よろしくお願いします。」

僕の上がった様子が可笑しかったのかみんな笑い出した。

「ハハハそんなに緊張せんでも良えがな!」

タカシが笑いながら言った。

メンバーはまずベースのタカシ、ドラムのノブオ、ギーボードのリョーコ

そしてボーカルが彼女、春野サクラだった。

20140615095024472.jpg

みんな良いメンバーだった。

ドラムのノブオは、なんとワタやんの息子だと言うことだった。

それでこのスタジオをタダで使っているのだ。

ワタやんは言う。

「お前らがデビューして有名になったら、スタジオ代請求するさかい

スタジオ代が払えるように頑張るんやで!」

ワタやん、本当に良いオヤジである。


タカシは、和夫について紹介した。

「こいつはさっきも言うたけど、楽器に関しては全くの素人やそうや。

しかし驚く才能を秘めてるんや。

恐らく才能的には井口の比じゃ無いだろう。

取り敢えず一度聴いて見てくれ。

俺たちがセッションしているから、お前も適当に音を鳴らして見てくれ。」

タカシがみんなに合図した。

「え?でも俺、ギター持って無いよ。」

和夫が言うとみんなは驚いた。

本当に初心者なんやね。

するとワタやんがこれを使えと、この前のギターを貸してくれた。

セッションは始まる。

ワタやんはこっそり録音のスイッチを押した。

ノブオがドラムを叩き、タカシがベースを弾く、リョーコがキーボードを奏でる

心地好いメロディーだ。

僕は何をどうすれば良いのか分からなかったが、タカシがお前も弾けと

目で合図したので、僕は音を鳴らした。

グィィィイイイイイ〜ンとギターが鳴った。

それは魂の叫びのようだった。

みんなが驚いて僕の方を見ていた。

何か解らないがとても良い気持ちだ。

そしてサクラさんが歌い出した。

それはまさに天使の歌声だった。

僕は感動で震えた!


「お前!凄いよ!」

みんなが僕に声をかけてくれた。

こんな楽しい気持ちは生まれて初めてだった。

新生クラッカーズの誕生だ!

素晴らしい仲間!

僕に仲間が出来た瞬間だった。


「これはスタジオ代も結構早く回収出来そうだぞ」と思うワタやんであった。

これからクラッカーズは快進撃を続けて行くのである。

つづく
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ロックンロールに憧れて…その2

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

新連載「ロックンロールに憧れて
平凡な高校1年生の僕。ある日、モーツァルトの亡霊が僕に宿った。
それから僕は音楽の才能に目覚めて行く…。
何気無く鳴らしたピアノにみんなが聴き惚れる。

2014061403091901d.jpg

駅のホームでいつも見かける憧れの彼女
まだ1度も話した事が無い。
ただ遠くで見つめているだけ…。

この想いは実るのか?

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「ロックンロールに憧れて…その2」


僕はその後も相変わらず平凡な毎日を過ごしていた。

ただ音楽に急に興味が湧き出していた。

学校帰り、何気に楽器店に立ち寄って見た。

今まで楽器店があったのは知っていたが、中に入ろうとは

1度も思った事は無かった。

だいたい僕は楽器は全く弾けないのだから。

カッコ良いギターとか色々置いてある。

マーチン。ギブソン。

フェンダー。アイリ。訳の解らないメーカーのロゴが書いてある。

どれも良い値段だ。

何気にギターを触っていると

意外に簡単に音が出た。

適当に音を鳴らしてみると、店の主人が出て来て言った。

「あんた中々良い筋してるね。心に染みるブルースだ。

久しぶりに良い音聴いたよ。おら泣けて来ちゃったぜ。」

渡辺楽器店の店主、通称ワタやんは若い頃、ちょっとは有名な

バンドマンだったのである。

「え?何のこと?僕はデタラメに音を鳴らしただけだよ。」

僕は慌ててギターを置いた。

すると

「あれ?和夫、お前、ギター弾けんの?」

振り向くと同じクラスの田中タカシが声をかけて来た。

「良いや、全然弾いたこと無いよ!」

「でも、いま音を鳴らしてたのはお前なんだろ?」

「イヤイヤイヤ、適当に音を鳴らしただけだよ。」

その会話を聞いていたワタやんは、おもむろにギターを取り出し

「それじゃ、お前ちょっと音を鳴らして見ろ。」と言って

和夫にギターを手渡した。

このギターはワタやんが現役の時に使い込んだ想いの込もったギターである。

「困っちゃったなぁ…。」

僕は言われるまま、ギターの音を鳴らした。

そして適当に音を鳴らし続けた。

不思議だ!だんだん楽しい気持ちになって来た。

どれ位弾いただろう?

ふと我に帰ると店の主人とタカシは唖然とした表情でこっちを見てる。

「ありゃ、調子に乗り過ぎちゃったかな…?ごめんなさい。」

「お、お前!凄いよ!俺らのバンド、1人メンバーが足りないんだ。

お前、是非入ってくれよ!なあ、頼むよ!」

タカシが言った。

「えええ!でも、俺全然楽器出来ないよ…。」

そう言うと

「何言ってんだい!それだけ弾ければ充分だよ!」

タカシの鼻息は荒い!

こうして僕は、バンドに参加する事になった。

そのバンドにあの彼女がいようとは僕は夢にも思わなかった。


つづく

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ロックンロールに憧れて…。

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

さてさて、思わぬ長編の「太陽と月」
イジメられっ子が悪の帝王と恐れられる翔太と入れ替わりボクシングに目覚めて行くと言う
物語も完結しまして今回から新連載です。

どんなお話になるんでしょうね。
また読んでくれると嬉しいです。
感想なんかも聞かせてくれると嬉しいです。
20140613201140de3.jpg

ダイエット中の勘太さん、腹筋のトレーニングマシンが昨日届きました。
早速組み立ててやって見ましたが、今日はもう筋肉痛でお休み…。
治ったらまた始めたいと思います。
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新連載「ロックンロールに憧れて」を書き始めました。


 「ロックンロールに憧れて」

僕はこの春、とある郊外にある公立高校に進学した。

僕の名は鈴木和夫。

スポーツが得意な訳でも無く、勉強もそれ程出来ると言う訳でも無い。

アイドルに憧れるごく平凡な男子だ。

中学時代はクラスで十数番の成績だったが、ここではクラスの下の方の成績だ。

特別レベルの高い高校を選んだわけでは無く、一番入りやすい高校を選んだのに

この成績とは、如何に通っていた中学のレベルが低かったかと言うことになるだろう。

同じ中学から数人この高校にやって来たが、特別仲の良い奴はいない。

と言うより中学時代、それほど仲の良い友達は居なかった。


それでも真新しいクラスでは、数人の友達も出来た。

そして好きな女の子も出来た。

駅のホームで見かける子。

一度も話した事は無い。

そんな勇気ある訳無いだろう。

僕が通っている高校は町の中心部とは反対側に向かう列車に乗って五つ目の駅にある高校だ。

列車に乗り、トンネルを越えると目の前には海が広がる。

その海岸線を列車は走る。

そして駅から15分ほど歩いた所に高校はあった。


何も無い平凡な高校生活の筈だった。

そう、あの時までは…。


音楽の時間だった。

最も苦手な授業の一つだ。

一番苦手なのは英語!

何が何だか分からない!

まず、どう発音すれば良いのだ?

どうしてもローマ字読みをしてしまう。

どうすれば、ああ言う発音になるのか分からない。

そして英文を覚えられない。

文法を覚えるテストで英文を書くテストが毎回行われるが、毎回全然覚えられない。

富井と言う奴は、自分ではトミーと言っているが、一通り目を通しただけで

覚えてしまうとか言っている。

全く別の次元の人間だ!

その次に苦手なのが音楽だった。

もちろん歌謡曲とか歌は好きだ。

だけど音楽の授業は歌謡曲とかとは全く違う。

音を楽しむと書くのだから、もっと楽しく授業が出来ないものなのかと思う。


放課後、帰りかけていた僕は忘れ物に気が付き、教室に戻った。

途中、音楽室で何か音がしていたので、僕は気になり恐る恐る開けてみた。

そこにはピアノが置いてあり、壁にはバッハとか恐い顔したベートーベンなどの

写真が飾られていた。

「おかしいな?何処で音がしたんだろう?」

コトンっと音がしたので振り返ると、変な髪型の男が立っていた!

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「ひぇ〜!ビックリした!」

僕は思わず後ろに転んでしまった。

「おいおい君、大丈夫かい?」

男は背筋をピンと伸ばし、姿勢が良い。

そして何処と無く見たことがあるような感じだった。

「私はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトだ。天国での行いが良いと

言う事で、この世に舞い戻ることを許されたのだよ。しかし私には肉体が無い。

少年よ、すまんがお主の身体に同居させてもらうぞ。」

そう言うとその男は僕の口から身体の中に入って来た。

うわぁぁぁあああああああ。

僕は目が覚めた。

保健室のベットの上だった。

「音楽室で君が倒れていて、みんなでここに運んでくれたのよ。

多分、軽い貧血と思うけど、念のため帰ったら病院で診て貰った方が良いかもね。」

保険の壇先生が言った。

男子生徒の間では大人気のセクシーな保険の先生である。


そうだった。音楽室で変な男が現れて、そして僕の身体の中に入って来たんだった。

あれは夢を見ていたのだろうか?

「ありがとうございました。もう大丈夫です。」

と僕は帰ろうとした時

〜ホウ、綺麗な先生ですね。〜

ぎゃ〜!頭の中でさっきの男の声がした。

僕はもう1度気を失ってしまった。

「き、君!大丈夫?」

壇先生が心配そうに覗き込む。

「ひゃい、なんとか…。」

僕は何とか家に帰り着いた。


あれから、あの男の声は聴こえなくなっていた。

しかし僕には変化が現れていたのだった。

そう、それは音に敏感になっていた。

そして全ての音が楽譜みたいに、ドレミファソラシドと音符を聞き分けることが出来た。

苦手だった英語の発音も手に取るように解る!

音楽の授業も楽しくなった。

そして僕は音楽室にある習った事も無いピアノを触った。

そして音を鳴らして見た。

心に流れるメロディを恐る恐る指で爪弾く。

ポロン〜と音が奏でる。

次第にその手は両手でピアノを弾いていた。

気が付くとピアノの周りには大勢の生徒や先生が取り囲んでいた。

「え?ごめんなさい!」

我に返った僕は慌ててその場から逃げ出した。

「ヒャ〜!ごめんなさい〜!

勝手に弾いて怒られるとこだったよ〜。」

和夫は、自分がどんなに素晴らしい演奏をしたのか気が付いていなかった。

これからたっぷり音楽の世界に浸って行く和夫であるが

まだこの時には知る由もない無かった。


つづく

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「作家勘太先生の妄想」

みなさん、ご訪問ありがとうございます〜♪

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勘太は今日も妄想物語を書いていた。

〜その時、アリサヤはオナラをした。あまりの臭さに敵は逃げ出したのである。
こうしてアリサヤは地球の平和を守ったのであった。
めでたしめでたし…。
終わり。〜

「やったー!遂に完成だ!これを持って出版社に投稿しよう!」
勘太は自分のブログに作品をアップするだけではもの足らず、出版社に投稿するようになっていた。
もちろんそんな素人の作品が採用されるはずも無く。
「あー、また君か!分かったから、そこに置いておいてくれ〜。」
編集部は忙しく素人を相手にしてる暇はない。
適当にあしらって帰らせた。
それでも勘太は編集部が作品を受け取ってくれたと大喜びで、また次の作品を書くのであった。
そんな忙しい編集部で事件は起きたのである。
「編集長、芥川賞作家の先生の作品はこれですか?」
新米の編集員が聞いた。
「そうそうその棚に置いてあるやつだよ。急いで印刷に回しておいてくれ。」
編集長はろくに確かめもしないで、指示を出した。
そして新米編集員もまた確かめもしないで、印刷に回したのである。
こうして勘太の大長編小説「アリサヤと7人の盗賊」は大手出版社から
世に出たのである。

ところが世の中は不思議なもので、勘太の単純明快な物語が大ウケ!
増版に次ぐ増版で、瞬く間に勘太は時の人になったのである。
しかもブログも大人気!
1日に何万もの訪問者数をカントしていた。
そして勘太のブログに掲載していた「月と太陽」は映画化が決まった。
しかもワタやん役はワタやん本人!
Rコーチも本人が努める事になった。
アリサヤ役もアリサヤが演じることになった。
そしてその天然キャラが受けて、これまたアリサヤも女優の仲間入りだ。
アリサヤは女優として成功した。
ライバルは綾瀬はるかか石原さとみ!

しかし勘太にゴーストライター疑惑が持ち上がった。
「耳が聴こえないと言うのは嘘だったんですか?」
記者の質問が飛ぶ!
「初めから耳が聴こえないとか言った覚えはありません!」
と言うと
「開き直るんですか?」と突っ込みが入った。
「女優アリサヤさんと不倫関係にあるって言うのは本当なんですか?」
これまたとんでも無い質問が飛んだ。
「アリサヤさんとは会った事もありません!」
週刊誌には「作家勘太氏、アリサヤとの愛人関係を認める」と言うゴシップが
踊った!
なんと言う世界なんだ!

勘太は、こうなるのを恐れて作家デビューするのをためらっているのである。

終わり
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モンスター井口 最終章

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
モンスター井口編もついに最終章!
って、まだ今から書きますけど…(^^;;

初めから読みたい方は「月と太陽」からどうぞ。
初めての方は上の作品集からお読み下さい。
感想なんて、聞かせてもらえると嬉しいです。

「モンスター井口 最終章」

世界タイトルマッチを前日に控えた日、イチゴと井口はジムの片隅で話をしていた。
「井口さん、いよいよ明日、念願が叶う日ですね。
絶対に勝って世界チャンピオンになって下さいね。」
イチゴは心の底から思った。
「ああ、ありがとう。お前も日本チャンピオンのタイトル挑戦頑張れよ。
お前だったら、勝てるはずだ!気合を入れて行けよ。」
「はい、ありがとうございます!井口先輩の為にも絶対に勝ちます。」
イチゴは嬉しくて、つい大声で応えた。
井口はそんなイチゴが可愛く見えて来た。
「イチゴ、明日はお互いに頑張ろうぜ。そして2人とも勝ったら一緒になう。」
井口はイチゴの愛らしさに、素直さに、自分の気持ちを打ち明けた。
そして優しく抱きしめた。
イチゴはちょっとびっくりしたが嬉しくて、
言葉にならず、ただただ涙が溢れ出て来た。
「はい…頑張ります。ありがとうございます…。」
イチゴの想いが通じた瞬間だった。

イチゴは井口への想いを秘め、見事チヒロを破り、日本タイトルを手に入た。
井口さんに喜んで貰える!
井口さん!頑張って!
井口の相手はレジャンドチャンピオンと言われる程の名チャンピオンだ。
モンスター井口と言えども、簡単に勝てる相手ではなかった。
なんと戦歴は45勝無敗!
タイトル防衛も10回を超えていた。
そしてKO率は8割を超えていた。
まさに井口以上のモンスターである。
そんな相手に井口は勝てるのか?
イチゴとの約束は守れるのか?

ゴングは鳴った。
マイケルは名チャンピオンと言われるだけあって落ち着いている。
井口が牽制のジャブを放っても軽くかわし、獲物を狙うような眼で井口を見ている。
井口は精神的に押されている。
国内選手では敵なしだった井口もこのチャンピオンには圧倒されている。
しかし彼は挑戦者、立ち向かって行かなければならない。
彼が優っているものは若さだけだった。
彼は果敢に攻めた!
しかしマイケルの強烈なパンチが飛んで来る。
1ラウンド終盤、マイケルの連打が井口を襲う!
井口はロープに詰まりながら、何とか堪え1ラウンドを終了した。
「どうした!井口!いつものお前らしく無いぞ!
パンチ力じゃお前の方が上だ!自信を持って行け!」
ワタやんが言う。
「ああ、分かってる!」
井口は応えたがまだ硬さが抜けていない。
「井口くん、力を抜いて、相手を良く見るんだ!
力は井口くんの方が上だよ!」
浩一も声をかけた。
何とか井口くんの硬さを取らなければ…。浩一は思った。
2ラウンドが始まる。
マイケルはゴングと共に猛攻を仕掛けて来る。
またロープに詰められる井口!
「井口くん!パンチを出すんだ!」浩一の声が響く!
井口もパンチを繰り出すが、なかなか当たらない。

マイケルは華々しい戦歴を打ち立てレジャンドチャンピオンの称号を得ている。
しかしどんな凄い選手でも、年齢との闘いが待っている。
それはマイケルでも同じだった。
幾ら鍛えても体力の衰えは隠せない!
早いラウンドで決めるんだ!
マイケルは、そう自分に言い聞かせていた。
「ユーハ、スバラシイセンシュダトキイテイル。
シカシオレハマダチャンピオンノザヲユズルツモリハナイ!
ユーハ、マダワカイ!
ユーハ、オレサマガインタイシタアトニチャンピオン二ナルガイイ!」
カルロスはそう言いながら、若い井口にパンチを繰り出した。
「井口さん、頑張って!」イチゴは祈りながら試合を見つめていた。
井口はマイケルの猛攻をなんとか凌いで2ラウンドを持ち堪えた。

「井口!ワレしっかりせんかい!お前もモンスターって言われてるんやさかいな!」
ワタやんが井口に声をかける。
「ああ、分かってる!」
井口はしっかりした口調で言う。
浩一は井口が大夫落ち着いて来たのを感じた。
この痺れるような感じ、これが世界戦なんだね。
浩一は全身が鳥肌が立っていた。
「さあ、頑張って行こう!」
浩一は井口を送り出した!
「井口、頼むでぇ〜」隣でワタやんが祈っている。
本当に神に祈って勝たせて上げたい。
井口、頑張れ!
ようやく井口も落ち着きを取り戻し、カルロスの動きを把握することが出来て来た。
井口のパンチも当たるようになった!
その度に会場は大興奮だ!
井口のパンチがボディーに炸裂!顔をしかめるカルロス!
「効いてるで!イッテモウタレ〜!」ワタやんが叫ぶ!
井口が続くパンチを繰り出した時、カルロスのスクリューパンチが井口のこめかみにヒットした!
ゴンッと言う音と共にコーナーに頭をぶっつけ倒れた。
それはまるで時間がユックリ流れて行くようだった。
みんな一瞬凍りつく!
イチゴが悲鳴を上げた!
井口はそのまま起き上がることはなかった。

静まり返る会場!
泣き叫ぶイチゴとミキ!
浩一は目の前の出来事が信じられない!
レフリーが試合を止めた!
担架が運ばれ井口は病院へ運ばれた。
救急車に乗り込むワタやん!
緊迫した状態が続く。
後を追う浩一、ミキ、そしてイチゴ…。

井口は危険な状態だった。
そんな馬鹿な…。あの井口さんがパンチを受けて危篤だなんて…。
神様…。お願い助けて…。
イチゴは祈った。
イチゴは初めて井口を見た時の事を思い出していた。

初めてインター杯に出場した時、何も分からずオドオドしていた。
そして高校のみんなと離れてしまって、半分泣きかけていたとき
「どうしたんだ?何?学校のみんなとはぐれて、迷子になってしまった?
ハハハハ…。馬鹿な奴だな。
あそこに受付があるから、俺が聞いて来てやるよ。
何て言う高校なんだ?」
その時、学校のみんながイチゴを見つけてくれた。
「あーっイチゴ!何処行ってたの?みんな探してたのよ!」
そう言われながらみんなに連れて行かれてしまった。
その声をかけてくれた彼が、高校1年の時から騒がれていた井口だった。
それを知った時、イチゴは驚いた。
「あの…モンスター井口。」
その時から、イチゴの心は井口へと想いが募って行った。
そして井口の試合を見に行った。
凄い試合だった。
とにかく他の選手達とはレベルが違っている。
ヘッドギアをも吹き飛ばすパンチ!
ボディに打ち込まれるとみんな倒れ込み立ち上がれない。
井口の試合を初めて見た時の衝撃は今でも忘れない。
その時から井口はモンスターと言う声が浸透して行った。
イチゴは井口の試合を殆ど見た。
そして王拳ジムと井口が契約したと聞いた時、自分も王拳ジムに入ると決めたのだった。

井口は一命は取り留めた。
しかしコーナーポストにブツかった時、首を損傷し脊髄を痛めてしまい
首から下が一生動か無いと言う。
そんな…あの井口が…。
みんなのショックは大きかった。

真夜中の井口の病室に、イチゴはいた。
意識が戻った井口…。
井口は自分が再起不能…身体が動かせなくなったことを知っていた。
井口はイチゴを見て「スマナイ…。」と言って涙を一筋流した。
そして「タノム…。シナセテクレ…。オネガイダ…タノム…。」と言った。
イチゴは涙を流しながら
「大丈夫よ。私が付いているわ。一生あなたのそばにいる。」

イチゴは日本ベルトを5回防衛し、その後東洋太平洋チャンピオンのベルトを摑んだ。
そして遂にユカ・メンドーサとの対戦!
試合は激しい攻防だった!
最後にイチゴは井口の必殺パンチのボディブローでユカ・メンドーサをマットに沈めた。
なんと!世界チャンピオン!イチゴの誕生だ!
「井口さん!やったよ!」
その後、波いる世界の強豪選手達の挑戦を退け、連続防衛を果たしイチゴは引退した。

イチゴはその後、井口と一生共に暮らした。
身体を動かせない井口。寝たっきりの井口だったが井口のそばにいられるだけで幸せだった。

「ねえ、あなた綺麗な景色ね。」
イチゴは車椅子で井口と海の見える病院の屋上に来ていた。
心地良い風が吹いてる。
井口とイチゴのリハビリは続く!

そしてある日…。
「あなた!今、足が動いたわよ!」
イチゴが嬉しそうに言う。
井口が微笑む。

辛いリハビリもふたりには幸せな日々だった。
ふたりはいつまでも寄り添い生きて行く。
いつまでも…。
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「あなた…綺麗ね。」

気が付けば桜の花びらがふたりを包んでいた。

おわり

あとがき

みなさん、最後まで読んでくれてありがとうございました。

最終章は幸せとは何だろう?って感じの終わり方になりましたね。
おそらく周りの人は可哀想だと言う人が多いかも知れない。

そしてイチゴの献身的な介護のお陰で、井口は少しずつ機能が回復して行くのである。
それはホンの少しずつ…。
そのホンの少しがふたりには大きな喜びとなって行く。

華々しいリングの上で、栄光を掴むもの
敗れて消え去るもの。
それでもリングに情熱を燃やすもの達がいる。

ミキは浩一と結ばれた。
浩一はワタやんとトレーナーとして、選手を支える。
また今年有望な新人が入って来た。
「浩一!しっかりしごいてやるんだぞ!」
ワタやんが言った。
「はい!任せておいて下さい!」
浩一は新人のトレーニングメニューを作成していた。
女子部のメンバーも大幅に増え、Rコーチは大忙しだった。
そしてミキも元日本チャンピオンの肩書で、トレーナーとしてRコーチを支えた。
そう、ミキもイチゴが返上した後のベルトをかけて、チヒロと再戦!
見事リベンジを果たし、日本チャンピオンに輝いていたのである。
引退後、ミキは浩一と結ばれ、可愛い赤ちゃんを産むのである。
気が付けば、ワタやんもおジイちゃんになるのであった。

長い物語、最後まで読んでくれて
ありがとうございました。
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モンスター井口 その3

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
同じ物語、読んでくれている人は、あらかたストーリーが分かっている中で
違った観点からの物語。
ミキの気持ちは…?井口は…?

ミキのデビュー戦も決まり、練習も最終段階になろうかと言うのに
ミキはドンドン調子を落として行く。
井口は見ていて気が気で無かった。
しかし上手くアドバイスを与えられない。
「何やってんだよ!そんなんじゃデビューなんて止めっちまえ!」
相変わらず、冷たい言い方しか出来ない。
いつも良いところまで追い詰めるものの最後は逆転のパンチを食らって倒されてしまう。
今まで遠くで見ていた浩一が口を開く。
「追い込んだ時、一呼吸置くのが良いですよ。」浩一のアドバイスは的確だった。
ミキは調子を戻して来た。
これなら行ける!
手応えを掴んで来た。
それと同時にミキと浩一は急接近して来た。
井口は気が気でない。
ミキに笑顔が戻って来た。
浩一と話が弾む、波長が合うと言うのはこう言う事なんだろうなぁと思った。
ミキは浩一の優しさに惹かれ始めている自分に気が付いて来た。


井口は浩一とスパーリングを行っていた。
浩一もかなりの上達だが、やはり井口との差は歴然としていた。
しかしジムの中でこれ程井口とやりあえる選手はいなかった。
そしてお互いボクシングの技術に付いて語り合った。
井口は次はアニマル浜口戦を控えていた。
ハードパンチャーで名を売っている連勝中の選手だった。

そして浩一はミキの指導に付ききっりだった。
まるで選手と言うより、トレーナーと言った感じである。
浩一はミキと共に必殺技にフュニッシュパンチの修得に励んでいた。
ミキのフュニッシュブローに選んだパンチは必殺コークスクリューカウンターパンチだ!
拳を回転させながら放つ威力倍増のパンチである。

いよいよミキのデビュー戦の日はやって来た。
相手はクラッシャーデビルの後輩のチヒロ。
クラッシャーと同じハードパンチャーだ!
デビュー以来3連勝中
しかも圧倒的な強さでKO勝ちを収めている。
試合は始まった!
試合は一進一退だ!
だが自力に勝るチヒロが押して来た。
お互いフュニッシュブローを放つ!
チヒロのボンバーパンチ対ミキのコークスクリューカウンターパンチ!
ミキのパンチはチヒロの頬をかすめ、チヒロのパンチはミキの頬に炸裂した。
ミキは倒れ立てなかった。
試合後、泣きじゃくるミキに優しく慰める浩一。
「良く頑張ったよ。次は必ず勝てるよ。」
ミキの心は浩一へと傾いて行った。


井口はこの苛立ちを対戦相手のアニマル浜口にぶつけた!
見事に必殺のボディーブローで2ランドKO勝ちを収めた!
井口は連勝街道真っしぐらだ!
浩一とのスパーリング後、練習に身を入れていた。
ワタやんの指導にも従っている。
元々の素材!正に国内では敵無しであった。
浩一はデビュー戦を勝利したもののその後網膜剥離を発症し、あっさり現役を引退。
トレーナーの道を歩むのである。
井口は日本チャンピオンベルトを手にし、その後東洋太平洋チャンピオンにまで登りつめた。
そして念願の世界タイトル戦へと駒を進めて来たのであった。


井口はついに世界タイトルに挑戦する日がやって来た。
王拳ジムとしても久々の世界タイトルマッチだった。
ジムを上げての大興行だ。
何と試合会場は日本武道館!
派手な演出で開催された。
ワタやんもRコーチも鳥肌が立っていた。

前哨戦ではイチゴとチヒロの日本タイトルマッチが行われ、
そして姫野ココロがユカ・メンドーサの世界タイトル挑戦する
タイトルマッチも行われる。

チヒロはミキと試合の後も全勝で勝ち上がり日本チャンピオンのベルトを手にしていた。
そのベルトにイチゴが挑戦するのだった!
「絶対に勝って井口さんに勢いを付けて見せるわ!
井口さんの為にも絶対に勝つ!」
リングサイドではミキも応援している!
Rコーチは言う
「あなたなら絶対に勝てる!
きっとアリサヤさんもこの会場の何処かで応援してくれてるはずだわ」
リングサイドで、ボリボリお菓子を食べながら観戦している太った女性がいた。
まさかその女性がアリサヤだと気付く者は誰もいなかった。
試合は一進一退!
正に実力伯仲!
アマチアからのテクニックはイチゴの方が1枚上手だ!
しかしチヒロはクラッシャーデビル譲りのハードパンチャーだ!
恐らく彼女のパンチは国内女子選手の中ではトップクラスだろう!
それでもイチゴは負けられない!
井口の為に!
井口さん!井口さん!井口さん! 絶対に勝って見せるわ!
イチゴは井口への想いをパワーに変えた!
イチゴは外見には見えない激しいパワーの持ち主だった。
激戦の末、イチゴはチヒロを倒し、日本チャンピオンのベルトを手に入れた!
「井口さん!やったよ!見てくれましたか?」
イチゴは心の中で叫んだ。

そして国内女子最強の選手!
姫野ココロが世界チャンピオンのユカ・メンドーサに挑戦する。
恐るべきパワーのユカ・メンドーサに姫野はどう戦うのか?

ユカ・メンドーサが腕を振る!
ブンッブンッ!と凄い音だ!
ゴングは鳴った。
両者が拳を合わせ試合は始まった。
勢い良く王者ユカ・メンドーサが飛び出して来た。
姫野は可憐によけカウンターのジャブを繰り出す!
それでも構わず王者は強力なパンチを繰り出す!
「凄い…。これはクラッシャー・デビルも顔負けだわ!」
パワー・スピード・迫力ともクラッシャーのレベル以上だ!
姫野はブロックしていても、体ごと吹っ飛ばされた。
姫野は翻弄した。
試合後半、ついに姫野は力尽き、マットに沈んだ。
ユカ・メンドーサは勝利の雄叫びを上げた!
姫野はそのまま引退した。

いよいよ井口の出番である。
派手な音楽、レーザービームの中、チャンピオンと井口が登場!
〜本日のメイイベント!
世界歴代チャンピオンの中でも屈指の名チャンピオン!
マイケル・ゴードン!
対する挑戦者は日本が誇るハードパンチャー
モンスター井口!〜
全く派手な紹介だ!

会場は沸き立つ!
テレビも全国に中継された。

セコンドにはワタやんと浩一が付いている!
「井口!1発頼むで!」ワタやんが気合を入れる。
「井口くん、絶対に大丈夫だよ!絶対勝てるよ!」浩一も声をかけた。
リングサイドではミキも見つめていた。
そしてチヒロを破ったイチゴも駆けつけていた。
井口はミキと腫れた顔のイチゴを見て、心に闘志を燃やした。
試合は始まる!
それぞれの希望を載せて!
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モンスター井口 その2

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
あの物語の裏でどんな物語が展開していたのか?

最初から読む人はココから

井口はリングに上がった。
ミキがこっちを見ているのが分かる。
「用意は出来たぜ!早く来いよ!」
井口はシビレを切らして言った。

ワタやんは考えた。
確かに浩一の成長は著しい!
こんなに吸収の早い子は初めてだ。
しかし相手は井口だ。
下手すると潰されて気まうかも知れない。
どうする…。
ワタやんは浩一の目を見た。
浩一の目の奥に闘争心の光を見たとき、やれせて見ようと思った。
「それじゃ、お手柔らかに頼むぜ!」
こうして井口と浩一のスパーリングは始まった。
いつの間にかリングサイドには多くの練習生達が集まって来ている。
井口は胸のモヤモヤを爆発させるように拳を振り下ろした。
バキッ!
見事なカウンターだった。
井口は倒れた。
あの天下無敵のモンスター井口が初心者の練習生のパンチに倒されたのだ!
なんなんだ?あのパンチは…。
井口は意地とプライドで立ち上がった。
しかしダメージは膝にまで来ていた。
襲いかかる浩一!
井口は防戦一方だ。
これ程長く感じたラウンドは今まで経験した事が無かった。
ミキは泣きたくなるような想いで井口を見ていた。
こんな姿の井口を見るのは初めてだ。
勿論、ミキだけでは無くみんな初めて見る光景だった。
なんとか一泡食わせることが出来ればと思っていたワタやんは浩一の想像以上の
上達ぶりに驚いていた。
「なんと言う奴だ…。あの井口をここまで追い詰めるとは…。」
2ラウンドが始まる。
まだ井口のダメージは抜け切って居ない。
襲いかかる浩一!
耐える井口!
もう限界だった。
やられる…。
この俺が初心者の練習生に…。
その時だった。
「ボディーを打って!あなたの得意のボディーを撃ち込むのよ!」
そんな声が聴こえた。
井口は最後の力を込めて浩一の空いたボディーにパンチを撃ち込んだ!
浩一のパンチは井口の頬をかすめ、井口のパンチは浩一のボディーに炸裂した。
浩一は倒れた。
起き上がる事は出来なかった。
駆け寄る練習生達。
井口はそっとリングを降りた。
そして声がした方を見ると、新しく入った子が見えた。
名前は確かイチゴと言っていた。
高校時代、幾つもの大会で見たことがある子だった。


イチゴは井口に憧れていた。
そして憧れは恋心に変わって行った。
イチゴは井口を追いかけて王拳ジムに入った。
イチゴはインター杯を制し、色んなところから声が掛かっていた。
それらを全て断り、王拳ジムの門を叩いた。
なんと今年から女子部が開設されたとのことだった。

部員はちょっと太り気味のアリサヤさん、お転婆なミキちゃん!
2人とも何の実績は無かった。
そんな2人を見て、女子部は大丈夫なのか?
イチゴは不安を感じていた。
そこになんとあの伝説のコーチRがやって来たのである。
イチゴは目を疑った!
あの80連勝を打ち立てたレジェンドRだ!
Rコーチの練習はキツかった。
太り気味のアリサヤさんもドンドン身体が絞られて行った。
そんな時、練習生の浩一とモンスター井口のスパーリングが始まった。
モンスター井口と初心者の練習生で無茶だ!
下手するとその練習生は再起不能になってしまうわ!
みんなそう思っていた時、井口が倒された。
ジムに衝撃が走った。
横暴無人な井口の態度にみんな碧壁していた。
みんなの顔にやった!と言う表情が現れていた。
そんな中、ミキとイチゴだけが泣きそうな顔になっていた。
イチゴはその時、ミキの気持ちに気付いた。
女としての勘であった。


井口は頭からタオルを被ってベンチにうずくまっていた。
まるで敗者のようだった。
そこにミキがやって来た。
「ふっ無様な姿を笑いに来たのか?」
井口はミキに悪態をついた。
「バカ!心配したんだから…。」
ミキは泣いていた。
そう言って走り去って行った。
なんなんだ…。あいつは…。
井口は胸が痛むのを感じた。
そんな姿をロッカーの影でイチゴは見ていた。

Rコーチの指導のもと、女子部の練習はハードだった。
そしてイチゴは2人のレベルの高さに驚いていた。
何でこの2人が今まで無名だったのよ!
インターハイでもこんな凄い選手達はいなかったわ!
特にアリサヤにはイチゴの動きは全て読まれていた。
パンチを繰り出すたびカウンターが飛んで来る。
パンチを当てることが出来ない。
そしてミキのスピード!
スピードが売り物だった私が着いていけない!
私がスピードで押されるなんて…。
そんな中、アリサヤのデビュー戦が決まった!
「さあ、王拳ジム女子部のデビューよ!みんなをあっと言わせましょう!」
Rコーチの鼻息が荒い!
相手はローズジムの…

あれ?誰だったけ?

アリサヤのデビュー戦!
相手は王者姫野ココロを苦しめたクラッシャーデビルだ。
しかしアリサヤは見事2ラウンドKO勝ちを決めた。
沸き立つ女子部!

次はミキのデビュー戦が組まれる事になった。
しかしミキの調子が上がらない。
井口への想いが募り、練習に身が入らないのだ。
五分に戦っていたイチゴとも、最近は立て続けにやられている。
イチゴはミキだけには負けたく無かった。
井口さんへの想いは私の方が上よ!
勿論口には出さないが心で叫ぶ!

「へっ、どうしたんだよ!全然練習に身が入って無いぜ!
そんなんじゃ、誰と戦ったて勝てやしない!あんまりガッカリさせんじゃ無いぜ!」
リングを降りたミキに井口は言った。
「あんたには関係無いでしょっ!」
ミキは涙を浮かべて走って行った。
バカ!バカ!みんなあんたのせいじゃない!
私の気持ちも知らないで!

ある日、ミキはイチゴと井口の会話を聞いたのである。
「この前は、アドバイスありがとな!あの言葉で救われたぜ!
あのスパーリングは負けも同然だったが、何とか面目を保つことが出来た。
お前のお陰だ。礼を言うぜ。」
井口はイチゴに言った。
イチゴは顔を真っ赤にして
「井口先輩、私の事覚えてくれてます?」と聞いた。
「ああ、幾つかの大会で見かけたことがあるよ。」
井口はインターハイを思い出しながら言った。
「私、先輩のこと憧れていました。そしてずっと好きでした。」
イチゴは顔を真っ赤にして打ち明けた。
「え?そ、そうか…ありがとう。」
井口も顔を赤らめて答えた。
今までボクシング一筋で恋愛なんて考えたことが無かったのである。
ミキは胸が張り裂けそうだった。
そ、そんなイチゴさんが井口さんの事を好きだったなんて…。
練習中もその事が頭から離れない。
ミキはドンドン調子を落として行った。
そんな調子でデビュー戦は大丈夫なのか?
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