ボクシングを始めた少女

みなさん、ご訪問ありがとうございます

清と井口の壮絶な戦い!
清はモンスター井口を倒し世界チャンピオンに!
しかしその瞬間!

清はイジメを苦に自殺していた。
しかしあまりに哀れに思った神が清に人生の素晴らしさを与える為に
ちょうど同時刻に事故死した極悪非道の翔太と身体を入れ替えた!
そして格闘技に目覚める清!
清は元の身体に戻って、本格的にボクシングを始める。
遂にモンスター井口を破り世界チャンピオンになった清!
清が人生を充分謳歌したと思った神は清が生き延びて変わってしまった世界を元に戻した。
清はマンションの屋上から飛び降りた瞬間に戻り、清は死んだ。
しかし清はまだまだこの世に未練を残していたのだった。
そして…。

アリスはベットで寝ていた。
しかしアリスは今日もうなされていた。
自殺した少年がアリスに語りかけて来るのだ。
「アリスさん、僕自殺してしまったけど、本当は世界チャンピオンになったんだよ。
ねえ信じてくれるかい?
僕のカウンター凄かったんだから。。。
そしてミキちゃんって言う可愛い彼女もいたんだよ。
ねえねえアリスさん!」
夜毎アリスに取り付く清の魂!
本当はまだまだこの世に未練たっぷりの清だった。

「ねえ、アリスさん!俺、悪の帝王って呼ばれていたんだよ…。」
今度は翔太の魂が…。


アリスは夜毎の清の魂の訪問に悩まされていた。
「ねえねえ、アリスさん。
僕もっともっとボクシングやりたいんだ!
もっともっとボクシングやりたいんだ!」

「そう、だったらやれば良いじゃない…。
フニャフニャ。。。。zzzzzzz」

「え?本当?ありがとう!」

「え?何?」

翌朝、トレーニングを始めたアリサヤがいた。
「えーん。。。私の身体を使ってボクシングするなんて聞いて無いよ〜」
こうして清はアリスの身体を使ってボクシングを始めた!
アリスは女子ボクシング界に旋風を巻き起こすのである!

アリスの活躍に乞うご期待!


アリスは王拳ジムの門を叩いた。
「あの〜入門したいのですが…?」
するとワタやんがやって来た。
「悪いね。うちは女子はやって無いんだよ!
悪いけど、よそを当たってくれないか?」
「ワタやん、そう言わずに、お•ね•が•い…。」
アリスのふくよかな胸が揺れる。
かすかに乳首の影が浮かんでいた。
練習生たちが皆一斉にワタやんを見た!
「何でワシの名前を知ってるんだ!」
アリスは女の魅力で入門を勝ち取った。

井口がスパーリングをしていた。
「オラオラ!もっと歯ごたえのある奴はいないのか?
全然練習にもならないぜ!」
。。。。。
あれが本来の井口の姿だったのか?

「こら!井口!もっと真面目に練習に取り組め!」
ワタやんが怒鳴りつける。
「へッ、日本チャンピオンどまりの元三流ボクサーの意見なんて聞きたく無いね!」
井口は練習を切り上げ帰って行った。
「全くあいつにも困ったもんだ!
折角良い素質があるのに、あのままじゃ駄目になってしまう!
あの鼻っぱしを誰か折ってくれると良いんだが…。」
ワタやんはつぶやいた。

「ねえねえ、女子の入門者が入ったって本当!」
可愛いシュートカットの少女が入って来た。
〜あ!ミキだ!可愛いなぁ。。〜
「ねえ、ちょっとスパーリングやりましょうよ!」
ミキは強引にスパーリングに誘った。
「こら!ミキ!遊びと違うんだぞ!」
ワタやんは怒鳴ったが、まあちょっと見てみようか。。。
そう言う事で、いきなりミキとスパーリングをする事になったアリサヤ。
カーン
ゴングはなった。
ミキが速いジャブで攻めてくる!
あの時と一緒だ!
アリス風のようにミキのパンチをかわした。
「え?何…。この感触。。。
以前1度体験したような感覚。
懐かしいような切ない感覚は何?」
ミキにも清との想い出が脳裏に残っているのだろうか?
時間を戻されても…。
ミキは突然泣き出してしまった。
「ミキちゃん…。」
アリスはどうする事も出来なかった。

アリスは清が王拳ジムに移ってから通った高校に行った。
そこでは浩一がやはりイジメられていた。
浩一にボクシングの才能が潜んでいるのは分かっていた。
アリは浩一を王拳ジムに誘った。
女性と話しなどしたことが無い浩一は、顔がポーッとなりながらも
アリスの言われるがまま、王拳ジムに着いて来た。
まさか地獄のトレーニングが待っているとも知らずに…。
「ワタやん!こいつを鍛えてやってくれないか?」
アリスはワタやんに浩一を差し出した。
「ええ?なんだと?このひ弱なこいつを鍛えるのか?」
まさかこのひ弱な浩一が井口の鼻っ柱を折る事になろうとは
この時ワタやんは夢にも思っていなかった。
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ドローイング•バック 最終章

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
いつも読んでくれてありがとう!

いよいよこの物語も最終章になりました。
井口との戦いにも決着が着きます。

井口が清のカウンターについて分析しているように
清もまた井口のボディーブローの分析は徹底的に研究していた。
もともと清は筋肉の微妙な動きで次のパンチを予測する力に長けていた。
井口のビデオは何度も何度も繰り返し見ていた。
いつも目の前には井口の残像が映っていた。
何度も何度もシャドーボクシングでシュミレーションしていた。
研究して分かった事はただ一つだった。
それはやって見なければ分からないと言う事だった。
まさにやって見なければ分からない!
全くその通りだった。

ミキは何だか段々清が遠くに行ってしまうような気がしてならなかった。
黙々と過酷な練習をしている清。
声をかけるのも気が引ける程だった。
スピード!切れ!パンチ力!
どれも申し分無かった。
「最近のあいつは鬼気迫る物を感じるな!
初めての世界挑戦なんだから無理も無いが…。」
ワタやんは清について語った。

「OH!ブラボー!井口!素晴らしい!最高の仕上がりだ!
何時でも東京に行けるぞ!」
ボブは目を細めて言った。
井口はパーフェクトな仕上がりだった。
スパーリングも何百ラウンドとこなし、高地トレーニングも
全ての事はやった。
プロテストの借りを返す!
ただそれだけだった。
いよいよ東京に出発だ!
あっと言う間の3ヶ月だった。

決戦の日は来た!
前日の計量の日、2人は無言だった。
あえて話す事は何も無い!
言葉は拳で話す!そう言わんばかりだった。
数多くの報道陣で埋め尽くされた。

「本当にこの日が来たのね。」
ミキは涙が溢れ震えが止まらなかった。


翔太は悪の帝王などと言われていた時、清と身体が入れ替わってしまった。
それによって、今まで気付かなかった事を色々学んだ。
元の身体に戻り、多くの仲間も出来た。
翔太はその仲間たちと高校卒業後、会社を設立し
土木工事などの下請けを手掛けるようにした。
仲間内の団結は強く、工事も早い!
そんな評判が評価を呼び会社は急成長して行った。
翔太は百合子と結婚した。
2人の共通の話題は清の活躍!
清の快進撃に2人は嬉しくてたまらない。
その清が今日は世界タイトルに挑戦だ!
全く驚かされる事ばかりだ。
「あの清君が世界タイトルに挑戦!絶対に勝って欲しいね。」
「ああ!全くビックリだよ!絶対に勝つさ!」
2人は仲間たち共に応援に駆け付けていた。

「清、やることは全てやった!
清!行くぞ」
ワタやんが清に声をかけた。
「はい!」
「清!がんばってや!」
ミキは涙ぐんでいた。
「ありがとう!」

張り詰める緊張の中、清はリングに向かった。
いつもこの瞬間、逃げ出したくなる程怖い!
相手に倒されてしまうんじゃ無いかと思ってしまう
みんなその恐怖を打ち消し、リングに向かうのだ。
キヨシ!キョシ!キョシ!
キョシコールが鳴り響く!
武道館はぎっしり満員だ!
そして歓声が一段と高くなった!
モンスター井口の登場だ!

単身、アメリカに渡り波いる強豪を撃破し掴んだ世界タイトル!
今日はその世界ベルトを引っさげての登場だ!
高校時代、全ての大会を制しプロ入り!
華々しいスタートを切るはずだった井口!
そのプロテストでまさかの躓き!
この清に倒されてしまったのだ!
井口に取ってはあの時の借りを返す大舞台だった!
世界チャンピオンになって、清を迎え撃つ!
井口は凄い男である。
そして清も井口の期待を裏切ること無く、ここまで全勝で勝ち上がって来た。
マスコミは2人の因縁対決を煽った!
随分前から特集していた。
会場は大盛り上がりだ。
遂にこの2人の激突が実現されたのだ!
勝つのはどっちだ!
どちらも負けられない一戦!

清はボクシングを始めてまさかここまで勝ち上がれるとは思ってもいなかった。
まるで夢の中のようだ!
イジメられっ子だった自分が世界タイトルに挑戦している。
信じられない。
翔太くんと身体が入れ替わり、沢山の体験をした。
イジメられていた怒り憎しみ!
そしてそれぞれの立場を守る大変さ。
ボクシングとの出会い!
そしてワタやん!
ミキちゃん!
翔太くん!百合子さん!
浩一くん!
アニマル浜田さん!
園田くん!神田くん、獄山さん、影山くん
みんなの顔が浮かんだ!

井口は思った。
目の前のこいつのおかげで俺の人生は大きく変わった!
しかし俺はむしろ良かったと思っている。
お前がいなかったら俺はここまでなっていなかっただろう。
俺はお前を倒す為に歯を食いしばって、ここまでやって来たんだ!
今日はプロテストの借りを返させてもらうぜ!
倍返しだ!

君が代の国歌が流れた。
演歌歌手の天道よしえが歌った。

ミキは祈った!
神様!お願い!清を勝たせて!

カーン!
ゴングは鳴った!
2人がぶつかり合う!


ゴングは鳴った。
井口の闘志がメキメキ伝わってくる!
シュッシュッ!
井口がジャブを繰り出す!
バシッバシッと清も打ち返す!
初めから凄まじい攻防だ!
撃てば離れ離れれば打ち込む!
パンチの速さ!パンチの強さ!
一瞬たりとも気を抜けない!
「清!思った通り期待に応えてくれる相手だ!
全力で倒させてもらうぜ!」
ドンッドンッ!バシッ!
徐々に井口のパンチが清を押し込んで行く!
井口のパンチが顔面に襲いかかる!
それを紙一重でかわしパンチを打ち込む清!
一進一退のまま1ラウンドが終了!

「良いぞ!清!
なかなか良い動きだ!パンチも切れてる!
手数で打ち負けるな!そしてタイミングを掴むんだ!
しかしさすが井口だな!」
1ラウンドが終わりワタやんがアドバイスを出す。
「ハアハア…。井口さんは強いっす!でも、負けない!」
第2ラウンドが始まる!
「清…。がんばってや…。」ミキは祈るよりはかに無かった。
「清くん、凄いよ!なんてハイレベルの戦いなんだ!」
浩一は身体が震えた。

清は冷静に井口のパンチを見ていた。
想像通り凄い強いパンチだ!
しかし読み切ってやる!

清、なかなかやるな!
アニマル浜田の時のとは大違いだ!
全くこの進化には驚かさせられるぜ!
しかし俺は負けない!

打ち合いは続く!
試合は3ラウンドに入った。
井口のパンチに清が少しづつ合わせる!
パンチの一つ一つがカウンターになって来た。
これは防御していても、かなりの衝撃で井口を襲って来る。
なんとも厄介なパンチだ!

清は段々井口のパンチが見えて来た。
遂に井口の左肩の筋肉がピクリと動いた!
来る!あの必殺の左ボディーブローが!
清の顔に恐怖の影が浮かぶ!
清はすかさず、右脇をガード!
何度も練習した対策だった!
井口の殺人ボディーブローが!
いやボディーじゃ無い!
えっ?
殺人パンチは顔面へと飛び込んで来た!
バッキッ!
ぐあぁッ!
清は真面にパンチを食らった!
ぐらつく清!
そこに容赦無く井口のパンチが飛び込んで来る!
一体どうなったんだ…。
清は堪らず倒れた。
キヨシー!タテー!
ワタやんの声が聴こえる様な気がする。。。
何だどうなったんだ…。
やっぱり井口さんは強いや…。
僕の動きを読んでたんだ。
あの些細な動きで僕がボディーを警戒すると読んでたんだ。
正に究極のフェイントだ!
見事にやられたよ。

立て!清!立つんだ!
ワタやんの声が響く!

清は立てるのか?
頑張れ!清!
立て!立つんだ!


清は立った。
しかしダメージは大きい!
容赦無く攻め込んで来る井口!
清は防御を固める。
そこに井口の殺人ボディーブローが炸裂!
ぐあぁぁぁぁッ!
井口の必勝パターンだ!
勝てる!
井口は確信した!
とどめのパンチを思いっきり打ち込む!
そこに清のパンチが飛び込んで来た!
渾身のパンチ!
見事なカウンターパンチだった。
「ドローイングバックや!」
ワタやんが叫んだ!
井口は崩れ落ちた。
井口!立てない!
「オー!マイ ゴット!」
ボブが叫んだ!

この瞬間清の勝ちが決まった!
会場は湧き上がった!
清の手が大きく挙げられる。
ワタやんも飛び出して来た!
「やったなー!やったなー!」
ワタやんは涙を浮かべていた。
ミキも目の前の出来事が信じられなかった!
たった今まで倒れる寸前の清が…。

「やった!この僕が世界チャンピオンだなんて!
信じられないよ!
もう死んだって構わないくらいだ!」
清は叫んだ!

ソウカ、ソレハヨカッタ
ソレデハモドロウ!

そう言う声が聴こえた。

うわぁぁぁぁぁぁぁっぁ〜!!!!!
周りが歪み始めた!
ミキがワタやんが…。
清!清ー!
うわぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!!
ぐるぐる回り出した!

気が付くとあの場面に戻っていた!
そう、清がマンションの屋上から飛び降りた瞬間に!
うわぁぁぁぁぁぁぁっぁ!
アワレナショウネンヨ
コレデモウオモイノコスコトハナカロウ

新聞には二つの記事が載っていた。
『少年、イジメを苦に自殺!
マンションの屋上から飛びおりる!』

そしてもう一つは
『不良少年バイクで事故死!』

そう、あの時2人は
死んでいたのだった。

「清の奴自殺したらしいぜ!」
イジメっ子グループの1人が園田に言った。
「そうか?ちょっとやり過ぎてしまったかな?」
「ワハハハハ」みんな笑った。
園田達は清の傷みなど何も感じない!

極悪高校は翔太の事故死により獄山の支配が続いた。
しかし邪気工業の影山によって獄山は倒され
極悪高校は邪気工業の支配下になった。

虐められっ子の浩一は清の自殺の記事の新聞を見ていた。
「僕みたいにイジメられてる子もいたんだね。
でも、自殺までするなんて…。」

井口は王拳ジムに所属し、デビューから連戦連勝だった。
天狗になっていた井口はトレーナーのワタやんの言うことにも
耳を貸さず、あまり練習もしなかった。
「ふん!俺は天才なんだ!
練習なんかしなくても俺は無敵なんだよ!」
それでも井口は勝ち進んだ。
アニマル浜田とも戦った。
少し手こずったがKOで下した。
しかし世界ランカーの全米チャンピオンのカルロスとの戦いに敗れた。
世界の壁は井口には高かった。
井口は平凡な選手のまま引退した。

ミキは思った。
何か足りないような気がするなぁ。。。
ミキの足元を古新聞が風に吹かれ舞っていた。

そこには
少年、イジメを苦に自殺!
マツモト清くん(16才)イジメを苦にマンションの屋上から
飛び降り自殺
と言う記事が載っていた。

ミキは風になびく髪を手で抑え
「なかなか強い男っていないのよね。」
とつぶやいた。

おわり

みなさん、最後まで読んでくれてありがとうございました。


あとがき
みなさん、最後まで読んでくれてありがとうございました。

清が、マンションの屋上から飛び降りた時
神様があまりに清を不憫に思い、悔いのない
ようにと配慮してくれたのです。
清は翔太と入れ替わり、イジメらりてばかだったのに
色々な体験をした。
そしてボクシングに打ち込み、世界チャンピオンにまで
登りつめた。
これは現実の、清が努力した結果なのです。
清が世界タイトルを取り、納得した人生を送ったと確認した神は
時間を戻し、清が自殺して死んでしまった
本当の世界へと世の中を元に戻したのです。
奇しくも清に関わった人たちの人生も変わって
しまいました。
清が自殺して死んでしまった世界と清が生きつづけた世界との
違いもまた面白いものです。
清が死んでしまって、清がいない世界では、井口は
才能に溺れて練習もせず、それでも国内では勝ち進めるけど
世界ではそんなに甘くない!
努力していた時には、1ラウンドで倒したカルロスにも
敗れて落ちぶれて行くのです。
百合子はどうなるのでしょう?
百合子は清の自殺にも、それほど関心を示さず、何事も無かった
かのように日々を過ごし、短大に進み就職して
そこで知り合った彼と平凡な家庭を築くのです。

清は生きた証として、世界チャンピオンになったと自負を抱いて
死んで行ったのです。
そして翔太も清が勝った時点で、事故った瞬間へと戻って行ったのでした。

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ドローイング・バック その10

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
先日、ボクシングの試合がテレビで放送されました。
長谷川穂積応援していたのですが残念な結果になってしまいました。
ハードパンチャーだった長谷川が打ち負けている。
なかなか思うようには行きませんね。


ついに清とマイケルとの試合が始まった。
マイケルは今だに信じられなかった。
このひ弱なボーイが無敗で勝ち上がって来たとは
おまけにプロテストの時にあの井口を1発で倒したなんて…。

マイケルは貧しい貧困の国で育った。
窃盗や犯罪がはびこむスラム街。
力だけが頼りだった。
彼がここで這い上がるにはボクシングしか無かった。
ジムにはマイケルのように這い上がる事を夢見て沢山の少年が
集まっていた。
その中で這い上がれるのはホンの一握りだった。
マイケルはグングン頭角を現して行った。
マイケルのボクシングセンスは群を抜いていた。
プロデビューすると次から次に相手を倒して行った。
マイケルの戦い方は芸術的だった。
観客を惹きつけるパンチ!
観客は熱狂した。
彼は世界王座の地位に登り詰め
防衛記録も10回を超えた。
レジェンドチャンプ!と評された。
しかしその彼にも年齢の衰えは隠せなかった。
15回目の防衛戦。
相手は若い東洋人だった。
東洋人のジャブは良いカモだった。
実力は無いくせに、資金を背景に巨額なファイトマネーでタイトル戦を組んで来る。
あまりに早く倒しては気の毒だと思うくらいジャパニーズの選手とは
力の差があり過ぎた。
井口戦もそう言う心の緩みがあったことは確かだった。
しかし彼は今までのジャブとは違っていた。
それでも俺は試合を有利に進めていたし、勝てる自信はあった。
あのボディーブローを喰らうまでは…。
あんな強烈なボディーブローは初めてだった。
その後の井口は容赦なく畳み込んで来た。
この俺様を相手にである。
俺は世代交代の時期を感じた。
俺はマットに沈んだ。
このボクシングを始めて初めての事だった。

俺は引退を考えた。
もう充分戦った。
そんな俺に再戦の話が持ち上がった。
相手はあの井口を1発で倒した事があると言う事だった。
俺は興味を注がれた。
あの井口を1発で倒すとはどんな奴なんだ!

それが今目の前にいるこの貧弱なボーイだったとは…。

ゴングは鳴った!
悪いがこんなボーイ!
1発で沈めてやるぜ!
そして井口に取られたベルトを取り返しに行かせてもらうぜ!
世界ベルトはやっぱり俺が巻くのが似合ってるからな!
マイケルは勢い良く清に襲いかかった!

マイケルはパンチを打ち込む!
清はそれをかわし、ブロックする。
清はジャブを出す!
マイケルは軽い身のこなしでそれをかわす。

「防御は鍛えられている。
この前のスパーリングの選手とは大違いだ。
しかしパンチ力はそれ程あるとは思えない。
井口を倒した秘密が潜んでいるとは到底思えない!
もう、お前の力は分かった!
悪いが俺のサンダーパンチで早い回に倒させてもらうぜ!」
マイケルは早い回での勝利を確信していた。
マイケルのサンダーパンチ!
デビュー以来このパンチで相手をなぎ倒して来た。
破壊力抜群の左ストレートだった。
ジャブジャブ!
ワンツー!
マイケルは容赦なく打ち込む!
そしてとどめのサンダーパンチが炸裂した!
清の目がパンチを捉えた!
今だ!
バキッ!
グワッ。。。。
マイケルは膝から崩れ落ちた。
清のカウンターがサンダーパンチに合わせて火を吹いた!
「グアァ。。。。これだったのか。。。
井口を倒した秘密は。。。」
マイケルは薄れ行く意識の中でつぶやいた。
レフリーが試合を止めた!
なんと清が前世界王者のマイケル・ゴードンを破った!
会場は割れんばかりだ!
こんなに進化していた清!

ちょうど同じ時期、井口も指名試合を行っていた。
挑戦者世界ランク1位のジョー・マッケンジーと戦っていた。
初回から井口のボディーブローが炸裂!
挑戦者はマットにうずくまった。
強い!井口!

こうして井口と清戦いが現実の物となった。
宿命のライバル!
井口と清!
ついに決着の時が来た!


井口と清は揃って勝利をおさめた!
清は世界ランク3位まで登り詰めた。
井口のボディーブローか清のカウンターか?
ボクシングファンは盛り上がった。
日本人同士!
しかも無敗同士だった。
無敵の王者!
しかし挑戦者はプロテストの時にこの王者を1発で倒している!
因縁の対決だ!
そして挑戦者は前世界チャンピオンを1ラウンドで倒しているのだ!

ミキは清と歩いていた。
「桜もちっちゃたわね。」
清とこうして2人で話すのはいつ以来だろう。
清は壮絶な戦い、過酷な練習。
そして不利な条件でも相手を倒して行った。
「清、マイケル戦凄かったな。
あんな強敵をまさか1ラウンドで倒すとはビックリしたで。
ホンマ清のカウンターは凄いわ!」
ミキは清に寄り添って歩いた。
本当に怖い程順調だった。
いよいよ井口との世界戦。
井口君は強敵だ!
カウンター対策も練られているだろう。
しかしやるしか無いんだ!
そにために僕は頑張って来たんだから!
しかしこれに勝つと次の目標は何なんだろう?
いや、井口との対戦に集中しよう!
清は、井口戦の後を考えると少し不吉な予感がしていた。

清はミキとの甘い会話も程々に練習に打ち込んで行った!
不安を蹴散らす為にまた練習!
その勢いはワタやんのミットを弾き飛ばす程だった!
「フーッ、お前課題だったパンチ力も見に付けて来たな。
もう充分ハードパンチャーの仲間入りだ!」
清はもっともっとパンチを磨かなくてはと思っていた。
こんな物じゃ足りない!
もっと強烈なパンチを打たないと井口君には勝てない!

「おい!井口!飛ばし過ぎだ!ペースを抑えろ!」
ボブは叫んだ!
気持ちは分かるが飛ばし過ぎだ!
ボブは井口のペースを抑えるのに必死だった。
他の連中には、もっと練習しろと発破かけるのに
井口の場合はペースを落とせ!と逆の事を言っている。
こんな奴は全く初めてだぜ!
ボブは井口にカウンター対策をしっかり教えていた。
ボブは今までの数々のカウンターの名手を見て来ていた。
もちろん、その長所も欠点も熟知していた。
独自に清のパンチの癖、カウンターの取り方もタイミングも
井口に叩き込んだ!
もはや井口は清のカウンターをもらう事は無いだろう!
まさに井口はパーフェクトな選手だ!
きっと偉大なチャンピオンになるだろう!

清のカウンターは徹底的に分析されている!
清はどう戦うのか?
試合の日にちはちかづいて来ている。
3ヶ月後
会場はなんと武道館だ!

つづく
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ドローイング・バック 9

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

井口はプロテストで清にやられてる挫折した。
そしてアメリカにひとり渡ったのである。
挫折して強くなる。
なかなかそう言う人はすくないのかも知れません。
でも誰でも挫折は味わった事はあるよね。
それを糧に頑張って行きたいですね。

清は走った。
前世界チャンピオンとの一戦が決まった。
伝説のチャンピオン マイケル・ゴードンだ。
井口くんに敗れて、今度は死に物狂いでぶつかって来るだろう?
勝てるのか?
勝たなくちゃいけない!
井口さんと戦う為にも
ミキちゃんやワタやんのためにも
そして自分自身のために

マイケルとの試合は三ヶ月後!
そして勝ったら、いよいよ世界挑戦だ!
清は厳しい練習をこなして行った。
井口の成長も凄いが清の成長も凄かった。

試合は日本で行われることになった。
なんとゴールデンタイムにTV放送もされる事になった。
世界タイトル戦並みだ!

マイケル・ゴードンが来日!
スパーリングを公開!
なんとスパーリングの相手はアニマル浜田だった。
「良いか浜田、お前のパンチをマイケルにぶつけてやれ!
倒しても構わないぞ!
お前の力を見せる良いチャンスだ!」
浜田陣営の会長が言った。
「俺のパンチを受けて立っていられる奴はいないぜ!」
カルロスの公開スパーリングが行われた!
場所は浜田陣営のジムだった。
報道陣も沢山訪れ
「これは良い宣伝になるわい!」
浜田陣営の会長はホクホクだった。
井口に敗れたとは言っても、伝説の前チャンピオン!
「アノトキハタマタマチョウシガワルカッタダケダ
コンドタタカエバカナラズカテル!」
マイケルは言った。
その言葉は力強かった。

スパーリングは始まった!
浜田は自慢の強打を武器にマイケルに襲いかかった!
「へへっ、一発で決めてやるぜ!」
ブンッ!
浜田のパンチが炸裂!
しかしマイケルの体がスッと消えた!そして鋭いパンチが浜田にヒットした!
どうなっているんだ?
浜田はマイケルを見た。
マイケルは余裕綽々でこい来いとアピールしている!
クソー!舐めやがって!
浜田はマイケルにパンチを繰り出す!
しかしまたスッと消えて浜田はマイケルのパンチを浴びた!
ドスン!ドスン!
どれもこれも強烈なパンチだ!
浜田はロープに追い詰められサンドバック状態だ!
「もう止めてくれ!」
会長が叫んだ!
マイケルのパンチが浜田のテンプルに炸裂した!
ドッタ!
浜田は倒れた!
大丈夫か?
担架が運ばれた。
浜田の意識はまだ戻っていない!
報道陣は唖然とした。
みんな浜田の実力は知っている。
その浜田を一方的に…
しかもヘットギアを着け、分厚いグローブを着けているのに
あの破壊力!
まさに化け物だった!

新聞の見出しは踊った!
「伝説の前チャンピオン!まさに怪物!
スパーリングの浜田再起不能!
前回井口戦は調子が悪かっただけ!」
「強いマイケル!前回井口戦は拳を痛めていた!
タイトルは取り戻す!」
浜田陣営の会長の話
「全くレベルが違い過ぎた。
浜田に気の毒な事をしてしまった。
あんなに強いと分かっていたらスパーリングなんてさせなかった。」

あのアニマル浜田を一方的に攻め、再起不能にしてしまったマイケル!
清は大丈夫なのか!
試合の日は近づく!


清も世界トップレベルに成長!
次の試合勝てば、いよいよ世界タイトル戦だ!
しかし今度の相手は前チャンピオン!
破壊力は抜群だ!
あのアニマル浜田を再起不能に!
清はどう戦う?

ついに計量の日。
マイケルは清を見て
「あんな貧弱な奴が相手で大じぃうぶなのか?」
マイケルはトレーナーに聞いた。
「ああ、あいつはああ見えても、あの井口を一発でマットに沈めたそうだ!」
「え?あの井口を…?信じられない…。」
マイケルは改めて清を見つめた。
しかしどう見ても、奴が井口を倒したとは信じられなかった。

計量は2人とも問題なくクリアした。
いよいよ試合は翌日だ。
ミキは清に言った。
「明日、頑張ってね。
清が世界タイトルに挑戦なんて信じられない!」
「あはは…。明日勝ったらの話だよ。」
「絶対勝ってよ!ミキ応援してるから。」
「ああ、分かってるよ。ミキちゃん、ありがとう!」

ワタやんは木の陰から2人の会話を聞いていた。
「ミキも大人になりやがって…。」

いよいよ試合の当日!
後楽園ホール。
ボクシング会場としては伝統の場所だ。
今まで数々に名試合が行われた場所である。
なんとこの日、あの浩一がデビューするのである。

浩一はあれからボクシングを本格的に始めていた。
清との出会いで浩一の生活は一変した。
イジメられていた浩一は清から教えてもらったジャブを執拗に
何かにとりつかれたように繰り返した。
そう何か不思議な力が宿ったように急激に強くなっていた。
そしてボクシングジムに通い本格的にボクシングを始めていたのだった。
そして今日がデビュー戦!
今日、この日にデビュー戦を行うと言うことは、それなりに期待されて
いるのだろう。
頑張ってもらいたいものである。
もちろん、今の清に浩一を応援するような余裕は無い!
頭の中は、対マイケル戦の対策だけだった。

「む〜ん。。。。マズイな!」
ワタやんは唸った。
あのアニマル浜田がやられたとあって、必要以上に硬くなっている。
そんな中、同級生の子が今日デビュー戦を戦うとミキから聞いた。
ワタやんは清にその同級生の試合を見せることにした。

「えー?浩一くんがデビューするの?
全く知らなかったなぁ。。。。」
清は本当にビックリしていた。
「きっと清を驚かそうと思って黙っていたんやな。」
ミキが笑いながら言った。
ふふふ…。少し緊張が解れて来てるみたいや。
浩一はんに感謝やな。

浩一の試合は始まった。
基本に忠実なスタイルだった。
特に清が教えたジャブは、清の教えを忠実に守っている感じだった。
鋭いジャブジャブ!
それだけでもう相手を圧倒していた。
ステップの華麗さ!
畳み込むスピード!
どれも素晴らしかった。
デビュー戦は浩一の圧勝だった。

清は浩一と目が合った。
「あっ!清くん!」
浩一は大喜びしていた。

よし!自分も頑張るぞ!
浩一の試合は清に勇気を与えた。

いよいよマイケルとの試合は間近だ!
念入りに身体を解す清!

会場には翔太や百合子!
昔の仲間の面々が応援に駆けつけてくれていた。
「清ー!頑張れ!」そんな声援が沢山かけられた!

いよいよ清とマイケルの試合が始まる!
清は勝てるのだろうか?
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トローイング・バック その8

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
いつも読んでくれてありがとうございます。
昨日、誕生日を迎え一つ歳を取ってしまいました。
すっかりおじさんです。
みなさん、ご訪問ありがとうございます。

〜これまでのあらすじ〜
イジメられっ子の清と悪の帝王の翔太が入れ換わってしまった。
翔太の身体を使って色々な強敵と格闘する清。
イジメられっ子になってしまった翔太。
ひ弱な清の身体を鍛え直す。
最強の相手影山との戦いの途中、2人の身体は元に戻った。
2人とも成長して行く。
元の身体に戻った清はボクシングを始めた。
プロテストの相手はなんと高校時代全ての大会を制したモンスター井口だった。
井口をプロテストで倒した清。
いよいよデビュー戦を戦う。デビュー戦の相手は格上の連戦連勝のアニマル浜田だった。

〜〜〜始めから読む人は、ココ「月と太陽」をクリック


さて今後に展開。
少し話を進めて行きましょう。

清はデビュー戦、格上のアニマル浜田を破った。
あのハードパンチャーの浜田を見事なカウンターで破った。
会場は大興奮だった!

「僕が勝ったんだね。信じられないよ。」
清は試合のことを思い出していた。
凄いパンチの浜田、清はパンチをブロックするので必死だった。
2ラウンド目段々浜田のパンチにも慣れ、浜田のパンチが見えるようになった。
浜田が振りがざすパンチに自分のパンチを合わせることが出来た。
あれがカウンターパンチなのか。

清は練習を重ねた。
ある日、TVのスポーツ番組でモンスター井口が全米チャンピオンのタイトルを取ったと流れた。
その後も清はカウンターを武器に勝ち続け、日本チャンピオンになり
防衛を重ねたのち東洋太平洋チャンピオンのタイトルも勝ち取った。

そして井口は念願の世界タイトルに挑戦していた。
相手は伝説のチャンピオン、マイケル・ゴードンだった。
そして井口は強打でついに伝説のチャンピオン マイケル・ゴードンを
マットに沈めた。
まさにモンスターその物だった!
そして、なんと井口は初防衛戦に清を指名して来たのであった。

清はワタやんと井口の世界タイトル戦をTVで見ていた。
「しかし大した奴やなぁ。井口はお前にやられて目が覚めた感じや。」
ワタやんがつぶやいた。

王拳ジムに所属していた頃の井口は横柄だった。
高校8冠をぶら下げ鳴り物入りでジムに入って来た。
大金の契約金で入って来たと言う噂だった。

あの頃の井口は周りを馬鹿にした様な所があり
ワタやんの指導にも耳を貸さなかった。
派手なスパーリングを好み、ジムの練習生相手に
格の違いを見せつけていた。
まさに天狗になっていた。
そしてプロテストでその天狗の鼻はへし折られることになるのである。

プロテストで一発で倒され、ジムとの契約も破棄され
井口は誰にも気づかれないようにジムを去った。

あの井口が世界タイトルに挑戦している。
ワタやんは複雑な心境でTVを見ていた。
井口の契約破棄が決まった時、ワタやんは反対した!
しかし会長の態度は冷酷だった。
その会長は今頃になって後悔していた。
「チキショー!
あん時、契約破棄なんてしなければ良かった!」
ワタやんは思っていた。
「井口はおそらくあのままうちのジムにいたらダメになっていただろう。
プロテストの悔しさをバネにアメリカでは相当頑張ったんだな。
井口のプロテストでの敗北は彼に取っては良かったのかも知れない。」
そう思いながら、ワタやんは清を見つめた。

試合はチャンピオン有利に展開していた。
世界タイトルの緊張からか井口に何時もの動きが見られなかった。
身体が硬いのが感じられた。
良いパンチをもらっていた。
流石世界チャンピオンだ!
今までの相手とは違う!
中盤になっていた流れを変えたのは井口のボディーブローだった。
あのボディーブローを喰らった者は息が出来なくなり地獄の苦しみを味合う。
チャンピオンの動きが止まり、井口の猛攻が続いた。
チャンピオンついに堪え切れずにマットに沈んだ!
20140419190755a15.jpg

「ワーッ!凄い!」
清は思わず声を上げた!
そしてもっと驚く事になる!

リングの上で表彰がまだ行われている時に井口はマイクを取って叫んだ!
「清!見ているか!俺は世界チャンピオンになった!
お前の挑戦を待ってる!分かったか!」
なんと言うことだ!
井口はリンク上で初防衛戦の相手に清を指名して来たのだ!
ボクシング界は騒然とした!
清とは誰だ?

清はワタやんと目を合わせ、笑った…。
しかしその声は震えていた。


ミキは清と寄り添い歩いていた。
「ねえ、清。。。うちのジムに来て
ずっと壮絶な戦いばかりだったね。
ミキ、ずっとずっと心配していたんだから!」
清は戦うことが使命の如く、練習に励んでいた。
そして組まれる試合も格上の相手ばかり
強敵中の強敵ばかりだった!
そしてことごとくそれら強敵をカウンターで仕留め
東洋太平洋チャンピオンに輝いて、世界ランキング9位に
名を連ねていた。
そして井口からの挑戦者指名!
清陣営に取ってはまたとないチャンスで有る!
ドンドン成長する清に
ミキの恋心も大きく膨らんで来ていた。
清は恋愛とか苦手でどう言う風に女性に接して良いか分からなかったが
相性と言うものなのだろうか?
ミキとはそんな気負いも無く、素直に話せた。
「井口さんから世界タイトルの指名だなんてビックリしちゃうよね。」
「絶対勝ってや!
そして私を世界チャンピオンのお嫁さんにして!」
ミキは言った後、思わず顔が真っ赤になってしまった。
清も顔を真っ赤にして
「うん!頑張るよ!」と答えた。

井口は清とのプロテストで敗れたことをずっと引きずっていた。
その事はボブにも何度も伝えていた。
「俺はあいつと決着をつけないと本当の世界チャンピオンになれないんです。
お願いします!あいつと戦わせて下さい!」
「本当はこっちが望む相手とタイトルマッチをするのは
もっと防衛を重ねた後でしか出来ないんだがお前の望みだ
なんとか努力しよう!」
ボブは言った。
しかし本当は次の対戦相手は協会からの指名試合が入っている。
この指名試合の前に強引に押し込むのはちょっとキツイな…。
実現出来るとしても、この指名試合の後だな。
相手の清の方ももう一戦世界ランカーと戦って、世界ランキングを
上げてもらわないと興行的にはキツイ!
そう言う事で、お互いもう一戦づつ試合をこなして、両者が勝てば
清と井口の世界タイトルが実現する事になった!
なんと!清の相手は前世界チャンピオンのマイケル・ゴードンだった!
勝った方が世界タイトルに挑戦出来る!
カルロスとしても世界チャンピオンに返り咲く為には絶対勝たなければ
いけない試合である!
そして井口は世界ランキング1位のジョー・マッケンジーとの指名試合を
受けなぇればならない!
ともに簡単に勝てる相手では無い!
試合したいからと言って、直ぐに出来るような甘い世界では無かった。
それでも清陣営にしてみれば、大抜擢だった!
これだけの興行をする為には莫大な資金が必要だった。
もちろん今回の興行も大金が動く!
しかし大金を積んでもなかなか実現出来ないのが世界タイトル戦なのである。

清は前世界チャンピオンに勝てるのか?
井口は世界ランキング1位を撃ち破ることが出来るのか?
頑張れ!清!
頑張れ!井口!
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トリーイング・バック その7

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

〜これまでのあらすじ〜
イジメられっ子の清と悪の帝王の翔太が入れ換わってしまった。
翔太の身体を使って色々な強敵と格闘する清。
イジメられっ子になってしまった翔太。
ひ弱な清の身体を鍛え直す。
最強の相手影山との戦いの途中、2人の身体は元に戻った。
2人とも成長して行く。
元の身体に戻った清はボクシングを始めた。
プロテストの相手はなんと高校時代全ての大会を制したモンスター井口だった。
井口をプロテストで倒した清。
いよいよデビュー戦を戦う。デビュー戦の相手は格上の連戦連勝のアニマル浜田だった。

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清と井口、終生のライバルとなるのです。
プロテスト、油断していたとは言え
あの井口を一発で倒すことなど不可能事!
それをやってのけた清。
井口は辛くなるとその事を思い浮かべ
あの悔しさをバネにして歯を食いしばるのです。
井口の才能をさ更に研ぎ澄ます!

井口は、描いていてとても魅力的な人物です。
プロテストでやられた清を憎まず、自分の未熟さを痛感する井口!
それを糧に1から出直す。
しかし才能は裏切らない。
更なる努力で這い上がる。
名碗トレーナーのボブの元、身体を鍛え直しメキメキ才能を開花する。
モンスター復活!
いやパワーアップしたモンスター!
アメリカのボクシングファンをも魅了する。

ボブは言った。
「あいつは俺の言ったことをドンドン吸収する!
こんな素晴らしい選手は初めてだ!
奴を世界チャンピオンに出来なかったら
俺はトレーナー失格だ!」

ボブは井口のデビュー戦をいきなり州チャンピオンのカルロスにぶつけた。
普段だったらこんなマッチは実現しない!
デビュー戦でいきなり州チャンピオンに挑戦することなど常識破りだ!
しかも相手のカルロスは実力ナンバワンの選手だった。
それだけに全米はこの井口に注目した。
みんなはカルロスの世界戦へのウォーミングアップとしか見ていなかった。
しかしそのカルロスを1回でマットに沈めた。
井口とは何者だ?

「全く奴にはワクワクさせられるぜ!
あのパンチの破壊力は凄いぜ!
しかもそれをひけびらかさない。
だから奴のパンチを受けたやつはたまげるだろうぜ!」
ボブは井口が可愛くて仕方が無いと言った感じだった。
ボブはすっかり井口に惚れ込んでいた。
この名将ボブを虜にさせるとは全く凄い事なのである。


アニマル浜田は屈指のハードパンチャーだ!
強打者との戦いは神経をすり減らす。
一発もらったらそれで決まってしまうからだ。
打ちまくる浜田!
それをブロックでかわしながらタイミングを測る清!
しかし浜田のパンチはブロックの上からでも効いてくる。

「なにやってんだ!かわせ!右に回るんだ!」
トレーナーのワタやんの声が響く!

ゴングがなりなんとか1ラウンドが終わった。
「おい!大丈夫か?」
トレーナーのワタやんが心配そうに清に声をかけた。
「ハアハア。
ハイ、大丈夫です。」
「もっとスッテプを踏んで、リズム良く動くんだ!」
「ハイ!」

カーン!
2ラウンドのゴングがなった。
またしてもパワー全開で襲いかかる浜田!
浜田はこのラウンドで決めてやると言った感じだ!
清がスッテプを踏む間も無くパンチを打ち込む!
一発一発が爆弾のようだ!
ドスンッ!ドスンッ!
浜田のパンチが清の顔面を襲った!
そのパンチに清は自分のパンチを合わせた!
浜田のパンチは清の額をかすめ
清のパンチは浜田の顎に決まった!
それは一瞬の出来事だった。
浜田は崩れ落ちた。
浜田は薄れ行く意識の中で
何が起こったんだ…?
浜田はマットに沈んだ!
レフリーが大きく手を振って試合を止めた!
観客が歓声を上げた!
20140415210920904.jpg


清のパンチが浜田の顎を捉えた!
勝負は一瞬だった。
なんで攻撃していたアニマル浜田が倒れてるんだ?
みんな信じられない様子だった!

井口は思わず立ち上がった!
「あのパンチだ!
俺が喰らったパンチも!
そうかあのパンチだったのか…。
あれじゃ立てない筈だ!」
井口は武者震いした!
「ビザの関係で、仕方なく1時帰国しただけだったが
おかげで良い物が見れたよ。」
井口は心の中で、つぶやいた。
絶対に倒してやる!
清を永遠のライバルと心に誓った。
井口はそのまま空港に向かいアメリカに舞い戻った。
井口の目に、あのカウンターが焼き付いて いた。
目を閉じるたび、あのカウンターが蘇った。

清が勝った!
周りは大喝采だ!
翔太に百合子!
影山に獄山!神田!
大喝采だった!

「清くん!凄いよ!あんな強い人に勝つなんて!」
浩一は感動していた。

「やった!」
ミキが清の元に駆け寄った!
「清!やったな!うちもうハラハラしどうしやったで!」
ミキは涙ぐんで言った。
「ミキちゃん、ありがとう!」

「見事なカウンターだったぞ。」
ワタやんが言った。

アニマル浜田陣営の目論みは見事に崩れ落ちた。
この試合は夜のスポーツ番組で何度も流れた。
王拳ジムには次の清の試合のアッファーが殺到していた。
清は日本ボクシング界の風雲児となっていた。

ボブは驚いていた。
井口がビザの関係で1時帰国から戻って来た途端
今まで以上に井口は練習に燃えていた。
まるで何かに取り憑かれたようだった。
「ヘイ!井口!飛ばし過ぎだぞ!もっと抑えろ!」
ボブは思わず井口に言った。
「本当になんて奴なんだ…。」
ボブは井口を頼もしく見ていた。

井口はその後も連勝を重ね、ついに全米チャンピオンに挑むことになった。
全米チャンピオンのマイケル・ジャックはもうタイトルを8度も防衛している
名チャンピオンだ。
井口に取っても強敵だ。
いや強敵のはずだった。
そのチャンピオンも、強烈なボディーブローで5ラウンドにマットに沈めた。
井口に取っては全米チャンピオンのタイトルでさえ、通過点でしか無かった。

止まらない井口の快進撃!
そのニュースは日本にも伝わっていた。
「井口の奴、ついに全米タイトルを取りやがった。
世界タイトルも時間の問題やな。。。
さずがモンスターや!」
ワタやんは唸った。
「清!お前も負けられへんで!
なんたって、井口を外してお前を取ったんやから
ガッカリさせんどってや!」
清にとっては凄いプレッシャーである。
しかしこの世界!
勝つしか無いのである。
勝って行く者だけが這い上がって行ける厳しい世界だ。

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トローイング・バック その6

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

いよいよ清のデビュー戦!
楽しみですね。

晴れ渡る空。
清はデビュー戦を迎えた。

「良いか、ハードパンチャーは沢山いる!
今日の相手のアニマル浜田も屈指のハードパンチャーだ!
そしてお前がプロテストで破ったモンスター井口もハードパンチャーだった。
お前の武器はカウンターだ!
お前のカウンターは天性の物がある!
それを肝に銘じて戦うんだ!」
昨日のトレーナーワタやんの言葉が頭をよぎる。
20140413052235207.jpg


「そうだ!如何に相手の力を利用するか
タイミングを測らなくちゃ勝てない。」

何と試合会場にはTVカメラまで来ていた。
モンスター井口の特番を組んでいたTV局がプロテストで敗れた事で
清に乗り換えていたのであった。
アニマル浜田陣営は清に勝って
このプロジェクトを浜田の方に向けさせようと目論んでいた。
どっちにしてもお互いこの試合に勝たないことには話にならない。
勝った方が上に上がって行くのである。

清に敗れたモンスター井口は活動の場をアメリカに移していた。
そして本場アメリカで衝撃デビューを果たしていた!
なんとデビュー戦で州チャンピオンのカルロスを1回2分3秒でノックアウト
していた。
カルロスは世界チャンピオンに1番近い男と評されていたのである。
アメリカボクシング界に衝撃が起こった。
そしてアメリカボクシング界に井口旋風が起きていた。
井口は2試合目もKO勝利をした。
井口の強さは本物だった。
その井口にプロテストとは言え、井口の人生にとって初めて土を着けた男。
それが清だった。
そしてその井口もお忍びでこの清のデビュー戦を見に来ていた。

アニマル浜田は屈指の強打で対戦相手をマットに沈めて来た。
浜田は自分のパンチに絶対の自信を持っていた。
俺のパンチを受けて立っていられる相手はいない!
世界チャンピオンだって1発で倒して見せるぜ!

モンスター井口がいない中、この階級では日本でおそらく最強の
選手だろう。
この相手に清はどう戦うのか?

会場の隅で井口はひっそりと見ていた。
プロボクサーの父を持ち
幼い頃からボクシング漬けの家庭に育った。
小さな時から色んな大会に出場し、全て勝ち抜いて来た。
いつの間にかモンスターと恐れられるようになっていた。
プロテストも形式だけの筈だった。
相手は見るからにひ弱で、虐められっ子が
イジメられるのが悔しくてボクシングを始めた典型的な子だった。
本気で行ったら、相手を再起不能にしてしまう。
手加減と言うより、形だけのスパーリングの積りだった。
軽くパンチを出した所に凄く強烈なカウンターを喰らった!
そのあと気が付いたのは控え室で周りにドクターがいた。
そして全てを失くしてしまっていた。
ジムとの契約も白紙に戻され、TV局も離れて行った。
全ての人間が信じられなくなった。
しかし相手の清を憎む気持ちにはならなかった。
全ては自分の油断が悪いのだ。
相手の力を計れなかった自分の未熟さが全てだった。
日本での全てを捨て、俺は単身アメリカに渡った。
一から出直しだ。

アメリカでの生活は荒んだった。
なんのコネも無い、拳だけが頼りだ。

井口は地図を片手にニューヨークマンハッタンのジムの扉を開けた。
「ヘイ、ボブ!入門希望者だぜ!」
ガタイのデカイ奴がトレーナーらしき男に声をかけた。
「へッ、なんだイエローか?
イエローが入門とは珍しいな!
ここは遊びでやっているとこじゃ無いんだ
悪いことは言わないから帰んな!」
ボブと呼ばれた男は井口を一目見ただけで軽くあしらった。
「そうかい?俺にはみんな遊んでいる様にしか見えないけどな!」
井口はボブに言った。
「なに?ワハハハこのジムが遊びに見えるのか?
面白い坊やだ。
気に入ったぜ!
グローブを着けてリングに上がんな!」
井口はグローブを着けてリングに上がった。
「おい!ジョージ!ちょっとこの坊やの相手をしてやってくれないか?
この坊やはここが遊びに見えるんだとよ!」
おい、いくらなんでもジョージとやらせる事無いだろう!
みんながビックリしてボブを見た。
ジョージはこのジム切ってのハードパンチャーだった。
おまけに狂ったブルドーザーと呼ばれる程ラフな試合運びで
スパーリングの相手をすぐ壊してしまい
スパーリングの相手さえいない程だった。
そんなジョージといくら井口でも無茶だ!
井口は無事で居られるのか?

ジョージは呼ばれリングに上がった。
ニューヨークマンハッタンのボクシングジム。
井口はただ適当にジムを訪れているのではなかった。
世界チャンピオンを多く輩出しているジム。
特に名碗トレーナーのボブ・マクワリーを目指してやって来たのだった。
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「ヘイヘイ、ボブ良いのかい?」
ジョージはボブに言った。
「ああ、気合を入れて行けよ!」
ボブの目が光った。
カーン
ゴングは鳴った。
勢い良く襲いかかるジョージ!
流石本場アメリカである。
動きも速い!
パンチも重い!
ドスンッ!ドスンッ!
ガードの上からでも平気で打って来る!
井口がジョージのパンチをよけ、ボディに一発パンチを放った!
ドンッ!
ジョージの顔色が変わった!
井口は表情を変えずパンチを打ち込む!
ズドンッ!ズドンッ!
ジョージが後退する。
みんな驚きの声を上げた!
あの狂ったブルドーザーと呼ばれているのジョージが後退するなんて!
それでも井口はボディを打ち続ける。
ジョージは堪らずマットに膝をついた。

うおおおッ! なんと言うことだ!
みんなは歓声を挙げた!
「ようこそ!井口!」
ボブは井口に向かって声をかけた。
「え?俺のこと知ってるんすか?」
「ああ、君の情報は掴んでいた。
アメリカに渡り、このニューヨークに来ている事も分かっていた。
絶対このジムに来るだろうと思っていたよ。
我々のジムは情報網は発達している。
君の事はずっと前からマークしていたからね。」
流石情報社会のアメリカである。

こうして井口のアメリカでのボクシングが始まった。
井口は徹底的に鍛え直された。
「良いか!ここにはお前クラスの奴は五万といるんだ!
勝ち上がって行かないとお前に明日は無いぞ!」
フッ、そんな事は百も承知している。
それを体験して、ここにやって来ているのだから。

ボブの練習はハードだった。
「これだ!俺が求めていた物は!」
井口は楽しむ様に練習をこなして行った。
井口の練習に取り組む姿勢!
練習量!ともにこのジム1番だった。
マイペースで練習をこなしている他の選手達とは明らかに違っていた。
「ジャパニーズは良く働くと聞いていたが、練習もこんなにやるなんて
まったく驚きだよ。」
他の選手達は井口の練習量に舌を巻いていた。

浩一も清のデビュー戦に応援に来ていた。
もちろん翔太や百合子、影山や獄山、神田も来ていた。
会場は大盛り上がりだった。
正直タイトルマッチでもないのに、こんな事は初めての出来事である。
モンスター井口を破った実力は本物なのか?
それともただのビギナーズラックだったのか?

「いよいよ清くん、デビューするのね。相手の浜田さんって強いの?」
百合子は一緒に来た翔太に聞いた。
「ああ、相当強い!実は俺は1度あいつと戦った事がある。
あいつのパンチは本物だった。
一発一発が重くて強かった!
俺がボクシングを始めたのも奴と出会ったからだ。
もちろん俺は喧嘩に忙しくて、本格的にプロを目指す事はなかったがな。
チクショウ!血が騒ぎ出したぜ!」
翔太は拳を握りしめて言った。
「へー!翔ちゃん、浜田さんと戦った事あるの?
で、どうだったの?」
「バカヤロー!俺様が負けるわけ無いやろ!」
確かに勝ちはしたが壮絶な戦いだった。
しかし身体の大きさからすると負けも同然だったかも知れない。
最後は体力に勝る翔太が立っていた。
それ程強い相手だった。
その浜田と清が戦うなんて、何かの縁なのかも知れないな。

「清!力を抜かなあかんで!
うち応援してるかな!
頑張りや!」
押し掛け彼女のミキが清を励ます。
「よし!行くぞ!」
ワタやんが声をかけリングに向かった。
清には初めての試合!
おまけにデビュー戦では異例のこの観客!
アニマル浜田がこっちを睨みつけている。
如何にもすぐにでも倒してやるぞと言わんばかりである。

「良いか!冷静に相手のパンチを見るんだぞ」
ワタやんの声がこだまする。
カーン!
ゴングは鳴った!
浜田が予想通り襲いかかる!
バシッ!バシッ!
浜田のパンチに翻弄される清!
「バカヤロー!落ち着くんだ!そんなパンチよけれるやろー!」
ワタやんが声を張り上げた!
バシッ!バシッ!
浜田の猛攻は続く!
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強い!浜田!
強過ぎる!
連戦連勝の浜田!
しかも全てKO勝ちだ!
落ち着け!落ち着くんだ!
清は自分に言い聞かせた。

アニマル浜田の猛攻になす術が無い清!
落ち着け!落ち着くんだ!清!
ガードを上げろ!
浜田のパンチが清の顔面を襲った!

つづく
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ドローイング・バック その5

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

清の学園生活を描いて見ました。
ボクシングに専念するため、学校では目立った事をしない。
終わると直ぐにジムに向かう生活をしていた。
虐められている浩一を見ても自分からは関わろうともしなかったが
浩一から話しかけられた。
そこに虐めっ子の不良達が…。
しかし意図も簡単に不良達を追い払う清!
自分と体格も殆ど変わらない清がどうしてあんな事が出来るのか?
浩一は魔法を見ているような気分だった。
清は浩一にジャブの打ち方を教えた。

浩一は黙々と毎日ジャブを打ち続けた。
「素早く前に出して素早く引く!」
ただただ、それだけ!
浩一は変わって行くのだろうか?


清は虐めっ子の浩一を見て、昔の自分を思い出していた。

浩一は毎日ジャブの練習をした。
清から教えてもらった通り、素早く出して素早く元に戻す!
幾度も幾度も!
「なかなか上手く行かないなぁ。
清くんみたいにビシュってカッコ良い音がしないんだ。」
浩一は暇さえあれば、何度も何度もパンチを繰り出していた。
これがあんなに凄いパンチだとは全く気付いていなかった。

清はそんな一途な浩一を見ていた。
少し浩一の目が輝きだした様な気がしていた。
虐めっ子は相変わらず浩一に絡んでいたが、清が見ているのに気が付くと
おぞおぞと立ち去って行った。

「清くん!
何だか僕、あれ以来あまり虐められ無くなった様な気がするよ。
清くんのお陰だね。」
浩一は嬉しそうに清に言った。
「うん、浩一くんも元気が出て来ているよ。
後、スタミナ付けるためにランニングとかもしたら良いよ。」
シュッ!シュッ!ビシュッ!
清はジャブジャブ!ストレート!
ワンツー!ワンツー!とパンチを繰り出して見せた。
「うわっ!清くん!凄い!」
浩一も真似してパンチを繰り出して
「全然上手く行かないや。。。」と笑った。

浩一は清のパンチを思い出しながら
ワンツー!ワンツー!と何度も何度も練習していた。
僕も清くんみたいになるんだ!
もう、虐められたく無い!

浩一は清が言う通り、ランニングにも挑戦して見た。
しかしちょっと走っただけで息切れした。
ハアハア〜ハアハア〜
これはキツイや…。
無理もない。
今まで運動とは程遠い生活をして来ていたのだから
それでも清くんみたいになりたいと浩一は続けた。

不良達の不満は溜まっていた!
憂さ晴らしに浩一を虐めていたが、清が見ているのであまり無茶なことは
出来ない。
その日は清はボクシングの練習の都合で学校を休んだ。
不良達は浩一が1人になったこの日を逃さなかった!
浩一は不良達に取り囲まれた!
「イ〜ヒヒヒ!
今日はお前1人だ!助けてくれる相棒はいないぜ!
今ままでの鬱憤を晴らさせて貰うぜ!」
ドンッ!
浩一はイキナリ後ろから蹴られた!
「イ〜ヒヒヒ!お前1人じゃ、何も出来ないんだよ!
彼奴がそばにいてたから俺たちは遠慮してたんだよ!
イ〜ヒヒヒ!
お前が1人になるこの日を待ちわびていたぜ!」
不良達は面白がって何人も何人も集まって来ていた。
「清くん〜助けて…。」
「わーははは!彼奴はいないぜ!わーははは!」
この前の意地悪そうな不良がそう言って殴りかかって来た!
浩一は頬を殴られ、蹴られ蹲った。
…結局何も変わっていないんだ…
…清くんがいないとダメなんだ…
その時、清の言葉が頭をかすめた。
…折れない心!負けない心!…
うおぉぉぉぉぉおお!
浩一は立ち上がった。
「オッ、こいつ偉そうに立ち上がったぜ!」
不良達が笑いながら、また殴りかかって来た!
浩一は無意識の内にジャブを繰り出していた。
バッシ!
それは不良の顔面に直撃した!
ぐわっ!
不良は倒れた!
「キサマーッ!」
不良達は殴りかかって来た!
バッシ!バッシ!バッシ!
それは面白いように不良達の顔面にヒットした!
あっと言う間に不良達は倒れ込んでいる。
立ち上がった不良が浩一に襲いかかった!
クソーッ!
バシッ!パンチは不良を撃ち抜いた!
不良は倒れた!
20140406180603d77.jpg

キャーッ
女生徒の声で浩一は我に返った。
どうしちゃったんだ。
周りは不良達が倒れこんでいる。
なんとジャブ一つで不良達を倒してしまった浩一。
浩一は恐くなってこの場から立ち去った。

どうなっちゃたんだろう?
清くんから教えてもらったパンチがあんなに威力があったなんて…。


清はデビューに備えて黙々と練習していた。
スパーリングの数も増やしていた。
「ダメだ!ダメだ!もっと打ち込め!」
ワタやんの厳しい声が飛んだ!
「ふーっ」
「清!デビュー戦が決まったぞ!1ヶ月後だ!
相手はアニマル浜田!
今売り出し中の連戦連勝のアニマル浜田だ!
負けんじゃねーぞ!」
「ハイ!」
いよいよデビュー戦か。。。
武者震いするのを感じた。

プロテストであのモンスター井口を一発で倒した男!
デビュー戦の相手はなかなか決まらなかった。
同レベルの選手達はみんな怖れて逃げていた。
うちの大事な選手をそんなのにぶつけられない!
そんな中、名乗りを挙げたのがアニマル浜田陣営だった。
しかしアニマル浜田はかなりの格上!
とてもデビュー戦で戦うような相手ではなかった。
アニマル浜田陣営の思惑は見え見えだった。
連戦連勝とは言え、まだまだ無名のアニマル浜田。
話題の清を倒し、アニマル浜田の知名度を上げるには持って来いだった。
しかし王拳ジムの会長は考えた!
プロモーション的には面白い!
連戦連勝のアニマル浜田対モンスター井口を一発で倒した男!
デビュー戦はこれくらい派手な方が良い!
フフフ…これは稼げるぞ!
ここで負ける様では彼奴もそれまでの男と言う事だ!
この世界は力が全てなんだ!


「ケッ!なんで連戦連勝の俺様の次の相手がデビュー戦のガキなんだよ!」
浜田はジムの会長に食ってかかった。
「相手はあのモンスター井口をプロテストで一発で倒した男だ!
話題性には持って来いだ!
これでお前の知名度も上がる!
力が全てのボクシングの世界でも話題性はあった方が良い!」
会長は訳ありげに笑った。
「ケッ!モンスターを破った奴だろうが俺様の敵じゃ無いぜ!
俺は世界チャンピオンになるんだ!」
2014040700023290d.jpg

清が学校に出るとちょっと様子が変わっていた。
不良達の姿が見えない。
そして何となく浩一の雰囲気も変わっていた。
あのいつもオドオドしていた浩一が
自信に溢れた目をしていた。
「あ、清くん!君から教わったパンチ!
スゴイよ!スゴイよ!
昨日、清くんが休んでたから
僕、不良達に囲まれて、やられていたんだ!
蹴られて殴られて、蹲っていたら
君の言葉が頭に響いたんだ!
負けない心!折れない心!
すると僕は無意識の内にパンチを出していた。
君から教わったパンチを!
あんなに凄いパンチだとは知らなかったよ!
もう僕は虐められない!
清くん!ありがとう!」
なんと言う事だ!
ジャブは、ボクシングを始める時に1番最初に教わる
基本中の基本!
そのジャブだけで不良達をやっつけるなんて
そうとう練習していたんだね。
浩一の努力が目に浮かぶ様だった。
清はこの努力が大事だと感じていた。
例え今回のような成果が得られなかったとしても
それに立ち向かう努力と勇気が大切なんだ!
浩一くん!君は素晴らしいよ。

しかし浩一は段々変わって行く!
今まで虐めていた不良達に復讐するかの様に
逆に不良達を追い込んで行った。
これもまた自分と一緒だなと清は思った。
浩一が短期間にどれほど強くなったのかは分からない。
不思議な力が浩一にも宿ったのだろうか?
しかしいつかしっぺ返しを受けるだろう。
その時に力だけが全てじゃ無いと気付く時が来るのかも知れない。

清は自分の練習に専念することにした。絶対に負けられない!
それは相手も同じだった。

そしてデビュー戦の日はやって来た!

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ドローイング・バック その4

みなさん、ご訪問ありがとうございます〜♪


清とワタやんの厳しい練習は続いた。
清は王拳ジムに移籍するにあたり、ジムの寮に入って
こちらの高校に転校していた。
1年の時はいじめらっ子で、マンションの上から飛び降り自殺をしたはずだったのに
気が付くと、悪の帝王と恐れられていた翔太くんと入れ替わっていた。
翔太くんの身体で沢山の対決をし、影山くんとの対決で凄い蹴りを食らって
意識が飛んだ時に、元のこの身体に戻っていた。
翔太くんは僕の身体を鍛えてくれていて、この身体に戻った時は以前の僕からは
考えられないくらい丈夫な身体になっていた。
翔太くんの魂に身体の全ての機能が反応した結果だと思う。
翔太くんのお陰で、僕の身体は研ぎ澄まされていた。
翔太くんの身体で格闘技を学ぶ内に、翔太くんがこれまで体験していた
格闘技が僕の心に浸透して行くのを感じた。
そして僕はボクシングに魅了されて行った。

僕は元の身体に戻っても、ボクシングを続けた。
ある日、トレーナーのケンさんからプロテストを受けるように進められた。
夢みたいだった!
17歳になって、年齢が達した時にプロテストを受けた。
そしてプロテストの相手が高校のボクシング大会を全て制した。
モンスターと呼ばれていた井口さんだった。
井口さんは王拳ジムと契約されていて、王拳ジム期待の選手だった。
そのモンスター井口さんをプロテストの時に倒してしまい
井口さんは王拳ジムから契約を破棄され、ジムを追われた。
そして僕がこの王拳ジムに呼ばれたのだった。

この春、僕は高校3年生になった。
ジムの寮から高校に通った。
朝のロードワークの後、学校に行き、授業が終わるとすぐにジムに戻り練習をした。
3年生になって、クラスが変わった。
進学クラスとそうでないクラスと分かれた。
僕のクラスは比較的不良と呼ばれる生徒が集まっていた。
今の僕はボクシングが全てだったので、高校ではあまり目立たないようにしていた。
不良達から絡まれても、サラリと交わすことが出来た。
今の僕からすれば、彼らのパンチなど、スローモーションのように見えた。
そんな中、1人の男子生徒が虐められているのに気が付いた。
泣きながらパンを買いに行かされ、こずかいを取られ
後ろから蹴られ!
クラスのみんなから笑われ
それは虐められいた頃の僕その物だった。

何故やり返さないんだ!
何故、立ち上がろうとしない?

虐められいたあの頃にそんな事が出来ただろうか?
自分は結局何も出来ずに彼らを怨みながら自殺したんだ!
清は涙を流していた。
今の清にとって、彼らをやっつける事は簡単だった。
しかし清はじっと耐え、彼を見守っていた。
自分で立ち上がらなければダメなんだ!

新しいクラスにも馴染んで来ていた頃。
清は虐められっ子の存在に気付く。
中本浩一。
彼は泣いていた。いつも虐められて泣いていた。
ある日、彼が清に話しかけて来た。
「清くんはどうして虐められないの?
体も僕とあまり変わらないのに。」
話し方もウジウジしていた。
「僕も昔は虐められいたんだよ。
今の君より、もっともっと酷かった。
今の君は昔の僕とウリふたつさ!」
清はあの頃を思い出しながら言った。
「え?なんだそうだったの?
じゃどうして今は虐められ無くなったの?」
浩一が清を見る目が変わった。
清は虐められ無くて、自分だけが虐められる不公平さを表していた。
「自分で立ち上がらなければ、何も解決しないよ!」

そこに虐めっ子の不良達が絡んで来た。
「ヘイヘイ〜♪ちっこいの2人が連んでなに話しているんだ?」
如何にも意地悪そうな奴が言った。
201404022252339f9.jpg

「浩一くん、良く見ているんだよ。」
そう言うと
「僕には関わらないでくれ!」
キッパリ清が言うと
「なに!チビのくせに生意気だぞー!」
そいつが殴りかかって来た!
清はサラリと交わすと男は勢い余って窓際の壁に当たって、床に倒れた。
そして清はそいつを睨み付けて言った。
「おい、お前!逆に僕がお前を虐めてやっても良いんだぞ!
2度と僕に絡んで来るな!」
その顔は般若の様だった!
「おい、こいつはヤバいよ!」
もう1人の奴が言って
不良達は怯えて逃げて行った!

浩一はまるで信じられない物を見たと言った感じで清を見ていた。
「凄い!清くん凄いよ!」
浩一は信じられなかった。
自分と大して変わらない清が意図も簡単に不良達を追い払った!
まるで魔法を見ている様だった
浩一は清を憧れの目で見た。
「どうしたらあんな風になれるんの?」
清は空を見上げてこう言った。
「自分の心に信念を持つんだ!
絶対に負けない心!
どんな事があっても折れない心!
そうすると君も変われるよ!」
「折れない心…。負けない心。」
清は左手を構えて、肩から真直ぐ打ち込んだ!
ビュッと言う音がした。左ジャブだった。
「良いかい?左拳を軽く握り、素早く前に出し
素早く元に戻す!それを毎日、毎日繰り返すんだ!
浩一くん、出来るかい?」
「うん、やって見るよ!」
これが清と浩一との出会いだった。


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