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ドローイング・バック その3

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

ワタやんトレーナーとの厳しい練習は続いた。
マラソン選手じゃ無いかと言うほど走らされた。
お前の体力はまだまだだ!
スタミナを付けるんだ!
最後に物を言うのはスタミナだ!

そして激しいミット打ち!
バシバシバシバシバシバシバシバシバシバシ!
清は休む間も無く打ち続けた!
右!左!
アッパー!フック!
ストレート!
ジャブジャブ!

「よーし!今日はここまでだ!」
もうすっかり日も落ちていた。
「はい、ありがとうございました!」
王拳ジムに移籍して、毎日厳しい練習が続いたが、清は辛いと思った事は
1度も無かった。
またジムのみんなとも打ち解け、楽しい日々を過ごしていた。
清の頑張りをみんなも認めていたのだった。

「へー、期待の新人ボクサーってあんたの事なの?
もっとごっつい人かと思っていたわ。」
清がグローブを外していると女の子が話しかけて来た。
ショートヘヤーで活発そうな女の子だった。
「君は誰だい?」
「私はミキ!」
そう言った途端、パンチを繰り出して来た!
ピシュッ!シュッ!
素早いパンチだ!
「うわっ!」
清は驚いて、尻もちを着いてしまった。
「アハハハハハ〜だらしなにのね!
期待の新人だなんて笑っちゃうわ!」
ミキと名乗る女の子は笑った。
「びっくりするじゃ無いか!」
清は立ち上がって言った。
「私は弱い男は嫌いなの!
みんな男と言うだけでは威張っちゃってさ!
嫌になっちゃうわ。」
全く勝気な女の子である。
「僕は威張ったりしないよ。」
「フン、それはあなたが弱いからよ。」
「そうなんだ、僕は弱くて虐められっ子だったんだ。
でも、もう逃げるのはやめたんだ!
どんなに辛くても最後までやり遂げると誓ったんだ!」
清は言った。
誰に語り掛けるとは無く、つい最近まで虐められっこだった自分を思い出していた。
「へッ、虐められっ子だったなんて、ちゃんちゃら笑っちゃうわ!」
シュッシュッシュッ!
ミキは清に向かって、またパンチを繰り出した!
清は風が流れるようにミキのパンチを避けた。
「え?何?今の…。」
清の流れるような身のこなしに驚いていた。
ミキは今度は本気で清にパンチを打ち込んだ!
清は微笑みながら、軽くミキのパンチを避けた。
ミキはムキになって、踏み込んでパンチを打ち込む!
それでもミキのパンチは軽くかわされた。
「あなた、一体何者?」
「それは僕の台詞だよ。
僕は松本清、一週間前からこのジムでお世話になっているんだ。」
「私は渡辺ミキ!
私のパンチをあんなに軽くかわされたのは初めてだわ!」
「渡辺…?それじゃ、君はワタやんの娘さんなのかい?」
「ふふふ…そうよ。あなたの事は父から良く聞かされているわ。
どんな子なのか気になって、ちょっと試して見たの!
あなた気に入ったわ!
私、彼女になって上げる。」
「ええっ?」
「あなた彼女いるの?」
「いや、いませんけど…。」
「じゃ、決まりね。」
清はミキの一方的なペースに呑み込まれていた。
百合子の事が頭をかすめたけど、ミキの明るくテンポの良いペースは
清にとっては心地良かった。
20140401212102abe.jpg


そこにワタやんが戻って来た。
「おおっ!ミキ来ていたのか?
こいつは俺の娘のミキだ!
全くお転婆で困ってるんだ!
こう見えてもボクシングは結構センス良いんだぞ。」
ワタやんはすっかりお父さんの顔になっていた。
そして清に小さな声で言った。
「もし、娘に手を出したらブッ殺すからな!」
その顔は今まで見たワタやんの中で1番怖い顔だった。
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ドローイング・バック その2

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

百合子のとの恋。
清はボクシングに燃えていた。
ボクシングに燃える清は素敵だが、私の入る隙間はない。
その度、思うのは翔太の優しさであった。
気が付けば、思っているのは翔太の事ばかり
そしていつの間にか翔太に会いに行っていた。
そんな私を翔太は優しく迎えてくれた。

清のプロテストの日も翔太と応援に行った。
相手は何と今話題のモンスター井口!
私には良く分からないが、アマチアでは無敗の負け知らずだそうだ。
しかし清は落ち着いている。
昔の清の姿ではない。
翔太の時の清でも無い。
本当に成長したんだわ。
まるで蛹が蝶に成ったように。。。

いよいよ清くんの番だ!
相手はゴングと同時に物凄いスピードで清くんに襲った!
そして信じられない事が起こったの!
襲いかかった方の相手の井口の方が何故か倒れている!
それで終わった。
翔太さんが、クロスカウンターや。。。と言った。

清くんにこんなにボクシングの才能があったなんて知らなかった。
ただ打ち込める物が出来て、良かったね。
と思う程度だったのである。

清は大手有名ジムに移籍する事になり、この町を離れると言う!
私はどっちが好きなの?
清がこの町を離れる時、翔太に言った。
「翔太さん、百合子さんはあなたを愛しています。
幸せにして上げて下さい。」
「そうか、分かった!ボクシングの世界は厳しいぞ!
弱音を吐くんじゃないぞ!」
「はい、分かっています!」
「清くん!頑張ってね!2人で応援するからね!」
清は旅立った!
私は翔太と彼を見送った。

トレーナーの渡辺は現役時代の事を思い出していた。
30年前、渡辺は日本バンタム級チャンピョンに挑戦していた。
渡辺はファイターだった。
渡辺はこの試合に全てをかけていた。
前の夜、彼女の典子に明日の試合、勝ったら結婚してくれ!
そう打ち明けていた。
典子はスーパーの事務をしているちいちゃくて可愛い子だった。
「俺は日本チャンピョンになってお前を幸せにしたいんだ!」
典子は涙を流して
「うん、頑張って…。」
そして心の中で、私はどんな事があっても貴方についていきます。

しかしチャンピョンはこの試合に勝ったら、次は世界チャンピョンに挑戦
しようとするボクシング界注目のチャンピョンだった。
KO率90パーセント以上のハードパンチャー!
なんと15戦全勝!のチャンピョンだった。
渡辺は9勝3敗。
やっと掴んだタイトルマッチだ!
渡辺は前の日は寝付かれなかった。
目を瞑れば、自分がノックアウトで倒される場面ばかりが
目に浮かんだ!
クソーッなんでこんな場面ばかりが目に浮かぶんだ!
絶対勝ってやる!
チャンピョンになるんだ!

試合は始まった!
渡辺は打ち合った!
渡辺はハードパンチャーだ!
チャンピョンは打てば離れ、そして思わぬ所からパンチが飛び出し
渡辺の顔面を襲った!
渡辺のパンチは空を切る。
ドンッ!
渡辺のマウスピースが飛んだ!
渡辺の身体が静かに崩れて行った。
立て!立つんだ!ワタやーん!
渡辺は立ち上がった。
カーン!
そこでゴングがなった。
渡辺はゴングに救われた。
ハアハアハア…
「ワタやん、大丈夫か?」
トレーナーは心配そうに聞いた。
「はい、大丈夫っす!」
ワタやん、頑張って…。
典子は祈った。

ゴングがなった。
勢い良く飛び出してくるチャンピョン!
まだ先ほどのダメージが残るワタやんに襲いかかる!
渡辺はガードを固めた。
ドスンドスンッ!と重いパンチがワタやんを襲う!
グッ、もうダメだ!
「ワタやん!」
典子の声が聞こえた!
クソーッ!
俺は彼女を幸せにするんだ!
ワタやんの魂を込めたパンチがチャンピョンのアゴに炸裂した!


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チャンピョンは倒れた!
この時、チャンピョンの世界タイトルへの夢は崩れ去った。
チャンピョンはマットに沈んだ。
ワタやんの右腕が上がった!
「典子!やったぞー!」
渡辺は叫んだ!
渡辺はこの後、3度日本タイトルを防衛して、引退した。
今はこの大手王拳ジムの名トレーナーとして活躍している。

「ふふふ…。久しぶりに鍛え甲斐のある新人が入って来たぜ!」
ワタやんと清のコンビは世界タイトルを目指して茨の道を歩むのである。

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ドローイング・バック

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
月と太陽、読んでくれてありがとうございます。

清は元の身体に戻って、ボクシングを始めます。
翔太が走り込んで、身体を絞ってくれてたお陰で、信じられないほどの体力が着いています。
清のボクシング人生を描いて見ることにしました。


清は今日もミット打ち!
バシバシバシバシ!
タダひたすらにサウンドバッグを打ち続ける!
パンチ力も付いて来た
「清!気合が入ってるな!」
トレーナーのケンさんが言った。
プロテストまであと一週間!
「良し!清、リングに上がれ!」
ケンさんがミットを構えて、リングに上がった。
「ハイ!」
右、左!
ワンツー!
フック、ストレート!
アッパー!
清は多彩なパンチを打ち続ける。

いよいよプロテストの日が来た。
会場にはテレビカメラが何台も来ていた。
高校8冠のモンスター井口がプロテストを受けるのだった。
「へー、凄いんだなぁ。。。」
プロテストの対戦相手は数字の組み合わせで、決まる。
プロテストは勝敗は関係ない。
プロになれる技術が備わっているか判定されるのだ!
何と言う事だ!
清の相手はそのモンスター井口だった。
「カーッ、ツイてないのー!」
トレーナーのケンさんが嘆いた。
「大丈夫ですよ。誰が相手だって一緒ですから」
清は言った。
もちろん警戒はしている。
一発でKOされたり、一方的にやられたら洒落にならない!
しかし清は落ち着いていた。
獄山や影山、その他そうそうたる輩と対決してきていたからである。
翔太の身体でことごとく打ち破って来た相手は、後から聞くと
飛んでもない相手だったのである。
彼らを相手にしてきていたのだから。
プロテストは始まった。
対戦相手のモンスター井口と目が合ったが、全く気にしていない様子だった。
プロテストなど、受かって当然と言った感じだった。
いよいよ清の番だ!
えー次は18番ん、マツモトキヨシくん!
会場に笑い声が聞こえた。
今まで気が付かなかったが、大手ドラッグストアと一緒だ!
そんな事はどうでも良い!
カーン!ゴングがなった。
モンスター井口がパンチを打ってきた。
完全に相手を舐めたパンチだった!
井口にとっては、プロテストなど、行事の一つにしか過ぎなかった。
清はそのパンチに思いっきり、カウンターを合わせた!
ドスンッ!
井口は倒れた!
そのまま起き上がる事は無かった!
カメラは清を写した!
清はスポーツ紙の1面を飾った!
モンスター井口を1発で倒した男!
井口陣営は慌てた!
大手王拳ジムは巨額の契約金を払って、モンスター井口を
獲得したのであった。
王拳ジムは井口との契約を破棄し、清へジムは移籍を進めた。
もちろんジムにも移籍金として大金を積んだ!
絶対お前を手放さないと言っていたトレーナーも
大金を積まれた途端、態度が変わった。
これが大人の事情と言うやつなのだろう。
清はガンとハネ就けつけるつもりだったが、トレーナーの
変わりように、ジム経営も大変だなと感じ取り
素直に従った。

清は大手王拳ジムに移った。
しかしそこは清が思った以上に凄い所だった。

清は有名な大手王拳ジムに移籍した。
そこはビル全体がボクシングジム!
「ここが王拳ジムなのか!
凄い!今までの所とは大違いだぞ!」

清はジムの中へ入った。
バシバシバシバシ!
コラーッ気合を入れろ!
凄い活気だ!
何十人もの練習生が練習をしていた。
清が入ると、皆が一斉に清の方を見た!
…あれがあのモンスター井口を1発で倒した男か?
信じられない!
あの井口を1発で倒すなんて…。
井口は、ここ王拳ジムと契約していて、彼の凄さはみんな知っていた。
しかしこの清に敗れた事で、契約は破棄され、ここを追い出されていたのである。
厳しい世界である!

「よう来たな!俺がお前のトレーナー担当の渡辺だ!」
ガッチリとした体格!
何故か頭に鉢巻を巻いている!
「始めまして、清、松本 清と言います。よろしくお願いします。」

…あれが井口を破った男なのか?全然強そうじゃ、ないぞ!…。

色んな声が聞こえて来る。
「良いか!ここは力の世界だ!強いも者はのし上がり
弱い者は追い出される!
あの井口もお前に敗れ、ここを追い出された!
そしてお前がやって来たのだ!
お前の周りは敵だらけだ!
お前を倒して上に上がろうと思っている奴は沢山いる!
気合を入れて行かないと、すぐに追い出されるぞ!
分かったか!」
「ハイ!」凄い世界だ!
翔太くんの世界もボクシングの世界も本当に厳しい世界なんだなぁ。
でも、僕は負けない!
絶対にやり遂げて見せる!

「良し、それじゃ早速練習だ!
さっさと用意しろ!」
清は休む間も無く、早速練習だ!
もちろんそれくらいの覚悟はして来ている!
「まずはこの縄跳びだ!
俺が良いと言うまで、飛び続けていろ!」
清は無造作に縄飛びを渡された。
「ハイ!」
良かった!いきなりスパーリングとかさせられるんじゃ無いかと
心配してたんだ!
しかし周りのみんなはニヤニヤしてる!
ワタやんの地獄の縄跳びが始まるで!
清は飛び始めた。
「もっと早く!」
ピシピシピシ…。
清の縄跳びの音が響く!
10分!20分!30分!1時間!
まだ続く!
なんと2時間ずっと飛びっぱなしだった!
ハアハア〜ハアハア〜
バカヤロー!
ここじゃ、これくらい当たり前なんだよ!
ワタやんの怒鳴り声が響く!
「ハイ!分かっています!」
「ほう〜、良い根性だ!」
次はシャドーボクシングだ!
清は鏡の前でシャドーを始めた。
シュッシュッシュッ!
ワタやんと呼ばれているトレーナーはじっと清のシャドーを
見つめていた。
清は基本に忠実にジャブジャブジャブと続け
ワンツーワンツーと今まで教えられていたシャドーをしていた。
そして徐々に他のパンチも放って行った。
段々目の前に対戦相手が浮かんで来た!
目の前に影山の影が浮かんだ!
影山がパンチを繰り出す!
清はそれを避け、パンチを出す!
影山もそれを避け、鋭いパンチが返って来た!
壮絶な打ち合いだ!
清はスッテプ踏んでリズム良く動く!
段々清のパンチが影山を捉える!
しかし影山もパンチを繰り出す!
影山の強烈なパンチが清を捉えた!
ダメだ!避け切れない!
清は強烈なパンチを受け倒れた!
ふと気付くとそこは王拳ジムのシャドーボクシングの鏡の前だった!
「何をやってるんだ!」
トレーナーのワタやんが睨んでいた!
いや、他の練習生までもがこっちを見ていた。
そう、他の者にも影山の影が見えていたのである。
シャドーボクシングとは、その名の通り、シャドー、相手の影を想像して
パンチを繰り出すのだ!
「良し、清!リングに上がれ!」
ワタやんがミットを構え、リング上で清を呼んだ!
清は一心不乱にワタやんのミット目掛けてパンチを繰り出した。
清は無我夢中だった。

201404012105248c5.jpg


「おう!ワタやん、どないな具合だ?」
そこに会長がやって来た。
「ええ、まあまあですね。」
ワタやんはそっけなく言った。
「そうか…。でもお前がこんなに力入れているのは
久しぶりだな。ふふふふ。」
会長は機嫌良さそうに笑って言った。

「良し、次はスパーリングや!誰か相手してやってくれ!」ワタやんがそう言うと
「俺にやれせてくれまへんか?」
声を出したのは井口のライバルとして競い合っていた松田だった。
松田は高校5冠を獲得していた。
妥当井口を目指していた。
その井口がやられた!
あの井口が…。
自分が何度挑んでも勝てなかった井口が…。
どんな凄い奴が現れるかと思っていたら
こんなチンケな野郎だとは!
俺がこいつをやっつけ俺の方が上だと思い知らせてやる!
清と松田は向き合った!
清は異様な雰囲気を感じた!
この人は本気だ!
気を引き締めて行かないとやばいぞ!
「良し!2分の2ラウンド!始めるぞ!」
カーン!
スパーリングは始まった。

清はスッテプを踏みジャブを出す、松田もジャブを打って来た。
シュッ!バシッ!
凄い!ジャブと言うよりストレートだ!
メチャクチャ伸びて来る!
避けたつもりがモロに当たって来る!
それにスピードが速い!
打ったと思ったら離れ、蜂のように刺し、蝶のように舞う!
正に芸術!
清はレベルの違いを感じた!
清は一方的に打たれ続け、なんとか2分耐えた。
1分間のインターバルの間、清は松田の動きを思い出していた。
松田のスッテプ!
パンチの出し方!
2ラウンド目!
清は松田の動きを真似した!
松田のスッテプを物にしたかった!
素早く動くんだ!
「こいつ!松田のスッテプを自分の物にしようとしている!
なんて吸収の早いやつなんだ!」
ワタやんは清の貪欲さを感じた。
「こいつは強くなるかも知れねえな。」
松田がパンチを出す!
清は軽く避ける!
清は松田がパンチを繰り出す前に一瞬肘を下げる事に気が付いた。
良し、今度はパンチに合わせて打ってみよう!
松田の肘が下がった。
それに合わせ清もパンチを繰り出す!
ドンッ!
モロにカウンターが松田の顔面に決まった!
松田は尻もちをついた!
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おおおッ!
カーン!
ここでゴングが鳴った。
なんて奴だ!
この短い時間に松田のスッテプを物にし、しかも松田の動きを読んで
カウンターを決めるとは!
「こいつは拾い物かも知れないぞ!」
ワタやんは思わず声に出して呟いた。



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月と太陽 最終章

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

邪鬼工業の影山の挑戦を受けた清!
相手の影山は拳法の達人で、邪鬼工業の総番の寺島を破り
獄悪高校の前の支配者獄山をも破った強敵である。

決闘の場所が決められた!
明日の正午、極悪高校のグランドだ!
その事は県下の不良達に伝わった。
もちろん翔太の所にもである。
その日、極悪高校グランドには県下の不良達で溢れた。
邪鬼工業の寺島達も来ていた。
もちろん翔太達も。
邪鬼工業を制した拳法の達人影山対悪の帝王の翔太!

影山は邪鬼工業に転校して来る前は、中学時代は五つの学校を支配し
高校では1年生ながら、不良高校の頭を病院送りにして問題になったてしまった。
そして影山は隣の県の邪鬼工業に移って来ていたのであった。
隣の県では、悪魔の影山と呼ばれて恐れられていた。

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強い奴の噂を聞いては、片っ端から倒して行っていたのである。

「今回は飛んでもない奴と闘う事になったなぁ…。」翔太はつぶやいた。
決戦の時は来た!
なんと不良達は隣の県からもやって来ていた。
極悪高校のグランドは不良達で溢れんばかりだった。

「良いか!
不良ども!
この戦いは俺が立ち会うことになった!
勝ち負けに関係無く手出し一切許さねー!」
なんとあの不良達には伝説の芝山が立会人になった!
芝山「不良少年の恋」を参照

「ふふふ…。芝山はん、次はあんたに相手お願いしまっせ!」
影山は芝山に顔を近づけて言った。
「それは、この戦いに勝ってから言うんだな!」
「ふふふ…そうさせて貰います。」
芝山は影山を睨んだ。

影山と清は睨み合った!
「飛んでもない事になってしまった!
しかし僕は負けない!もう充分な強さになっているはずだ!」
清は震える自分に言い聞かせた。

清と影山は睨み合い、間合いを計っている。
「ほな、翔太はん!いかせてもらいまっせ!」
キエーッ
影山は蹴りを繰り出した。
速く鋭い蹴りだ!清は左腕で受け止めた!
すかさず次の蹴りが飛んで来る!
速い!
今までの相手とは違う!
しかし見える!見えるぞ!
清は冷静だった。
影山は蹴りからパンチを繰り出した。
清はそのパンチに合わせカウンターを放った!
それは一瞬だった!

影山と清のパンチが交錯した。
ドンッ!
影山のパンチが清の顔面にヒットした!
清はよろけて、倒れた。
確かに避けた筈なのに!
立ち上がろうとする清に影山の蹴りが飛んで来た。
清はなんとかかわし立ち上がった。
しかし息着く間も無く、影山の蹴りが飛んで来る!
なんて素早い攻撃なんだ!

清はフットワークを使い出した。
ワンツーワンツー!
「おっ、翔太はん、ボクシングをやらはるのでっか?
ふっ、でも、まだまだ素人って言う感じやな!」
影山の蹴りやパンチをリズム良く避けた。
そして清のパンチが炸裂!
ドッスン!
影山はそれを腕十字で受け止めた!
「けっ!えげつないパンチを持っていやはるなぁ。。。」
うおー!うおー!
周りは盛り上がる!
翔太!行けー!
影山!負けるなー!

「あいつ、かなり努力したんだな。」
翔太は闘う清を見て清の成長を感じていた。
しかし、影山は清のパンチを見切り始めていた。
そして清のパンチをかわした後
強烈なキックが清を襲った!
ズッドン!
清は倒れた!
「ふふふ…、決まったで!これを受けて立ち上がった奴はいない!」

「ヤローども!悪の帝王は俺が倒した!
この学校は俺が仕切る!
そして全て俺の物だ!」
影山は本性をさらけ出した!
「く…。僕は負けない…!」
清は立ち上がった!
「ふふふ…。頑丈な奴だ!」
影山はなんとか立ち上がった清に襲いっかる!
パンチが清にヒットする!
清は吹っ飛ばされた!

翔太は闘う清を見つめた。
闘う本当の意味!
今まで無闇に戦って来たこと。
清と入れ替わって、色んな事が分かって来た!
清、お前は良く頑張った!
後は俺に任せろ!

翔太は隣にいる百合子に言った。
「今までありがとう!お別れだ!」
え?何?

翔太は校庭の陰に消えて行った!
神よ!お願いだ!
元の身体に戻してくれ!
俺は今やらなければ、ならない!
翔太は叫んだ!
一瞬周りが暗くなった!
そして稲妻の如く空が光った!

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何?どうした?
ぐうぉおおおおおおおおおお!
翔太は元の身体に戻った!
この感触!
溢れる力!
これだ!これが俺様の身体だ!

キエーッ!
影山は蹴りを繰り出しかけて、やめた!
明らかに翔太が変わった!
影山ほどの達人になると、敏感に肌に感じとった!
悪帝王と呼ばれる本当の気迫が出て来た!
明らかに今までとは違う!

「ふふふ…。これや!この感触が味わいたかったんや!」
影山は嬉しそうに笑った!
さあ、来い!
力のみなぎった翔太が誘う!
影山は渾身の力をパンチに込めた!
ぐうぉおおおおおおおおおお!
翔太もパンチを繰り出した!
今までの思いを込めてパンチを放った!
お互い避けはしない!
力と力の勝負だ!
ゴンッ!
凄い音がした。
そして影山は倒れた!
その顔は満足そうな
何かから解放されたような表情だった。

周りは沸き返った!
翔太!翔太!翔太!
翔太コールがなり止まない!

みんな、あの強い翔太が戻って来た事に気付いた!
翔太!翔太!翔太!
翔太コールはまだ鳴り止まない!

翔太は中央により、叫んだ!
「みんなー!俺たちは仲間だー!
どんなに社会や学校から虐げられても
どんな辛い事があっても
俺たちは仲間だ!
ともに苦楽を味合う仲間だ!
今日、この日を忘れないでくれ!」

おおおおおッ!
グランドは沸いた!
みんな、口を揃えて言った!
俺たちは仲間だ!

清は、目覚めた。
校舎の陰で…。
そこには百合子がいた。
百合子は優しい顔で言った。
「急にいなくなって心配しちゃった。」
「ううう…。わっ!」
一瞬、清は元の身体に戻った事に気付かなかった。
「翔太くんは…?」
「うん、勝ったみたいだよ!」
清は走った!自分が今までいたグランドに!
翔太がいた!
翔太に抱きついた!
今まで自分が宿っていた身体!
翔太は言った。
「清、お前は良く頑張った!
もうお前は今までのお前とは違う!
俺も変わった!お前のお陰だ!」
また会おう!

清は元の身体に戻った。
しかしもう以前のイジメられっ子ではなかった。
それどころかみんなが清を頼って来た。
今までの清だった、オドオドするばかりだっただろうが
すぐに状況を把握して、テキパキと指示を出した。
そして百合子と言う恋人が出来ていた。
憧れの百合子である。

清は、百合子に打ち明けた。
今までの清は自分でない事を…。
自分と付き合ってくれている百合子。
こんな嬉しい事は無い!
しかしきちんと打ち明け、筋を通さなければならない!
清が成長した証だとも言える。

百合子は信じられなかった。
確かに清は変わった。
イジメられっ子でから、スーパーマンのような彼に変わった。
そして私は清に惹かれた!
今、また元に戻ったと言う。
今までの清は、あの悪の帝王!の翔太だったと。。。。
そんな事、信じられるだろうか?

翔太の元には沢山の仲間たちで溢れていた!
身体が入れ替わっていた時の清の行動も少しずつつかめて来た。
あいつなりに頑張ったんだ!
格闘技の本が至る所にあった。
そしてそれを殆ど熟読していた。
本当にあいつは変わった!
そしてこの俺も…。
翔太は、百合子の事を思った!
翔太は本気で好きになっていた。
しかし今の俺についてくるはずも無く
清と幸せになってくれる事を祈ることしか出来なかった。
と、その時…。
百合子が現れた!
ああああああ…!
翔太の目に涙が溢れた!
百合子も泣きながら翔太に抱きついて来た!
ふたりに言葉はいらなかった。
抱きしめあっただけで全てが語り尽くされた。
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清はボクシングを始めた。
翔太が走り込んでいてくれてたお陰で、清の身体は絞れていた。
信じられないくらい!
走っても走っても、疲れなかった!
翔太くんって本当に凄いな!
清はこっそり通っていたジムに通った。
みんな清の事は知らないが、清はみんなの事を良く知っていた。
清は正式に入門し、プロを目指して頑張る事にした。
今までの数々の闘い!
格闘技の素晴らしさに目覚めていた。
「良し!清!なかなか良いぞ!
来月のプロテストもこの調子で頑張るんだぞ!
しかし、あの身体のデカイ奴、どうしてるかな?
急に来なくなって…。見かけは不良だったけど、
真面目な奴だったなぁ。
そう言えば、動きとかお前に似てたぞ!」
清は笑いながら聞いていた。

翔太は、影山とも仲良く交流した。
影山は翔太を慕って来た。
影山は翔太の強さに、翔太は影山の武道の技に
そして獄山や神田!
邪魔工業の寺島とも交流した。
翔太の周りに仲間が集った!
影山も今までは、力で抑え込む事しかなかった!
やるかやられるか?
みんなそうだった!
それがこんな仲間として絆が生まれるなんて

百合子は清を見ていた。
黙々と走り込む!
その姿は今迄と変わらない。
あの日、翔太は言った。
「百合子、お別れだ。
ここはお前には似合わない。
ここに来れば、お前は不幸になる。
俺はお前を不幸にしたくない!
清は変わった。
清がお前を想う心は本物だ!
清の事を頼む!
もう一度、清をちゃんと見てやってくれ!
見守るにあたいしないと感じた時は捨ててやっても構わない。
頼む!」
翔太の言葉…。
そして清の頑張り!
翔太の言う通りだった。

ランニングをしている清!
ひとり待ってる百合子。
「あれ?百合子さん、こんな所でなにしているんッスか?」
「あなたを待っていたのよ。」
「え?僕を?」
「あなたと話がしたくて!」
「え?僕と話をしても、何にも面白くないっすよ。」
百合子は笑った!
まるで翔太の時と同んなじだ!
「私、あなたの事好きになれそうだわ。」
百合子は清の頬にキスをした。
清は顔を真っ赤にして
「お、おれ、残りのランニングして来るっす」
清は真っ赤になって、夕陽に向かって走り出した。
「うふっ、本当に良く似ているんだから…。」

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太陽と月
どちらも輝いている!
力が強い者もいれば、そうでない者
人はそれぞれだ。
それでもみんな輝く事は出来る。
そう月と太陽のように。
どっちが月でどっちが太陽なのか
それは関係ない。
それぞれ自分に合った輝き方をすれば良いと思う。

THE END










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月と太陽 その4

みなさん、ご訪問ありがとうございます。


スーパーマンのような身体から貧弱な体になってしまっても
落ち込まない強い心の翔太!
黙々と貧弱な身体を鍛えて行く翔太!
清の横暴な行動を見て、自分の行いの反省をする翔太!
それに引き換え、得たパワーを自分の復讐のために使う清。
横暴な振る舞いで、翔太が築いた地位を失ってしまう。
ここから清の成長が始まる。
清は約束した。
どんな事があっても諦めないと。
そして失った翔太の地位を取り戻すと!

今までは、力任せに殴った。
こんな快感は今までは無かった。
僕はこの感覚に溺れた。
今まで虐められてた悔しさをぶつけていた。
悪の帝王だから当たり前だと思っていた。
しかし違うんだ!
悪の帝王は帝王で今の地位を維持する難しさ!
人をまとめる大変さ。
また人を惹きつける何かがいるって言う事を。。。
僕は知らなかった。
みんな努力していると言う事を!
あの獄山さんでもそうだ!
みんな必死なんだ!
僕は甘えていた!
これからは負けない!

清は今の自分に足りないことを考えた。
このままでは獄山さんところか、他の誰にも勝てない!
戦う術をマスターしなければ!
もう甘える事は出来ない!
清は格闘技の本を見た。
空手、柔道!ボクシング!
清はボクシングの本を手に取った。
足幅、拳の握り方、ジャブ!フック!ストレート!
読みながら実戦してみる。
シュッ!シュッ!
ステップの踏み方!
なるほど…。
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清は一晩で数冊の格闘技の入門書を読み終え、全て実戦してみた。
分かった事は、ただ闇雲に拳を振り回してはダメだと言うことだ!
清はただただシャドーで全ての型、パンチの種類を覚えた。
特に気に入ったのはボクシングの入門書!
あの翔太と獄山の闘いが目から離れない!
自分もあんな闘いがしてみたい!
ワンツー!ワンツー!
ステップ!ステップ!
清は街のボクシングジム、入門者募集!見学ご自由に…。と言う貼り紙を
見つけ、覗いて見た!
「あのー、すみません。見学したいのですけど…。」と言うと
ジムに緊張が走った!
わっ!翔太だ!
道場破りだ!
「いやいや、あの、見学させてもらいたいのですけど…。」
と言っているのにジムのみんなに囲まれてしまった!
「いえ、あの…見学させてもらいたのですけど…。」
よし!リングに上がれ!
見学だと言っているのに、みんな殺気だっていた。
それは無理も無い!
悪の帝王の翔太が乗り込んで来たのだから…。
清はリングに上げられた。
清は本で読んだ事を心で反復した。
まずはリズム!
ステップ!ステップ!
ジャブ!ジャブ!
清は軽くウォーミングアップでジャブを繰り出して見た。
ブシュッ!ブシュッ!
ただ軽く振って見ただけなのに凄い音がした。
清は改めて、翔太の身体の凄さを知った。
「よし!吉田行け!」
吉田はこのジムのホープ!
日本ランキング間近のバリバリの選手だった。
「吉田!遠慮はいらん!思いっきり
プロの厳しさを思い知らせてやれ!」
カーン!
ゴングが鳴った!
清は本に書いてある事を思い出しながらジャブ打って見た。
軽くよけられ、すかさずストレートが返って来た!
バッシ!
目も覚めるような一撃だった。
なるほど…。
清は色々試して見た。
吉田は清のパンチをことごとくよけ、的確にパンチを返して来た。
成る程…。
実践は違うな!
清はこのスパーリングでどんどん技術を吸収して行った。
吉田は戸惑っていた。
的確に強いパンチを打ち込んだ!
強いパンチを打ち込んでも打ち込んでも、この男はビクともしない!

第2ラウンドに突入!
悪の帝王とか言われているけど、全然大した事おまへんな!
ジムのみんながそう思ってい時
今までとは違うパンチが飛び込んで来た!
ズッドン!
成る程、だんだんコツが分かってきたぞ!
と思ったとき、吉田はすでに今のパンチで伸びていた。
清は目覚めるのを感じた!
清はもっとスパーリングをしたかったけど、ジムの方から
頼むから帰ってくれと追い出されてしまった!
清はもっと実践を経験したかったけど、実践の練習には困らなかった。
次から次へと翔太を倒して名を上げようと言う輩が挑んで来た。
しかし清にとっては、全然練習にもならなかった。
まず彼らはパンチのスピードが遅い!
動きに無駄が多い!
これは清が上達している証拠!
また翔太の身体が覚えている事に順応している証だった。
清は覚醒した!
それは清自身も感じていた。
清は挑戦して来る輩をことごとく撃破した。
その噂は広がり、翔太復活!
獄山との再戦をみんなが望んだ!
清はまだまだ練習のつもりだったのに、清は担ぎ上げられた。
清の強さは半端ではなくなっていた。
気が付けば、清の周りにまた人が集まって来ていた。
今度は力で従わせた者たちでは無い!
だが、清は自分を高めるのに必死だ!
翔太との約束を守る事だけしか頭に無かった。
それに清はボクシングの魅力に惹かれた。
ボクシングの繊細な動き!
相手のパンチをよけ、自分のパンチを繰り出す!

そしてついに獄山との再戦の時は来た!

清は獄山に勝てるのか?
そして獄山の苦悩!


翔太はバイクを飛ばした。
後ろには百合子が乗っている。
わぁ!気持ちいい!
清くん、バイクも運転出来るなんて知らなかったわ。
なんだか清くん急にスーパーマンになった見たい。
どうして急にかわっちゃったの?

そうか?
そんなに変わったか?
うん、とても素敵になっちゃった。
そうかそうか。
翔太は満更でもない。

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ふたりは並んで海を見ていた。
潮風が心地よく頬を撫でる。
翔太は今の生活も満更悪くないと思っていた。
しかしいつか百合子には秘密を打ち明けないといけないと感じていた。
百合子を愛おしく思う心が強くなって行く翔太。
百合子は清と並んで海を見つめている時間がずっと長く続けば良いと思った。
この幸せな時間が…。
しかしふたりには哀しい出来事が待ち受けていた。


清はボクシングにのめり込んでいた。
別のジムを探し、密かに練習していた。
けして目立たぬように。
これだけ大きな身体!
目立たないようにと言っても無駄なことではあるが。。。
兎に角追い出されないようにと気を付けていた。
もちろんジムの方も、こんな有能な素材を見逃すはずは無い。
仕切りに本格的にプロを目指すように進めて来る。
でも、清はまだやらなければならない事がある。
ジムに迷惑をかけるからと断り、一線を引いていた。
翔太との約束!
翔太の地位を回復する事!
清は身体を動かし、拳を交えることがこんなに楽しいとは思わなかった。
もちろん翔太の身体があっての事だと言う事も承知していた。

最近では、清に臨んでくる輩もすっかり減ってしまっていた。
清は逆にちょっと物足りなく感じていた。
いつでも獄山との再戦の準備は整っていた。
正直早く決着を付けて、ボクシングに専念したかった。

獄山は最近の翔太の身体の清の成長を見ていた。
もはや自分が敵う相手では無いと言う事も感じていた。
それに翔太の周りには、離れて行った奴らも自然と翔太の方に集まっている。
しかしケジメはケジメだ!
自分は翔太と闘わなければならない!
それがこの極悪高校を仕切っていた自分の役目だ!
戦いの日は決まった!

しかし戦いの前日、獄山は謎の人物の挑戦を受け敗れてしまった。
極悪高校に激震が走った!
その謎の人物とは!

極悪高校に激震が走った!
あの獄山が敗れたのだ!
一体相手は誰だ!

県南部に極悪高校と同じように落ちこぼれが集まる高校があった。
邪鬼工業!
そこを仕切る総番の寺島が1人の転校生にやられた。
鬼のように強かった寺島がやられた。
その男は影山修司!

転校早々影山は邪鬼工業の儀式を受けた。
不良グループに取り囲まれ戦いの儀式だ。
そこで転校生のランクが決められる。

「へー、何だよ!
いきなり呼び出しておいて、何をさせる気だ?」
影山は周りを見渡しながら言った。
周りには数十人がニヤニヤしながら見物していた。 
「へへへへ…。これはこの学校の古くからの儀式での、
ここでお前のランクが決められるんだよ!
勝ち上がれば、幹部も夢じゃなかど!
それとも奴隷扱いされるかはお前の力次第だ!
ここは力が全てだ!
俺はここを束ねている1年の寺島だ!
見たところ、結構鍛えてるみたいだな。
お前には特別に20位の奴と戦わせよう。
どうだ?文句はあるまい。
間違えて勝てば、準幹部クラスだぞ!」
寺島はアゴで、20位の松尾を呼び出した。
「へっ!面倒くせーぜ!
こんなかで1番強いのはあんたかい?
あんたとやらせてくれ!」
影山は寺島を睨みつけた。
「ふふふ…。兄ちゃん、威勢が良いの!
それは構わんが、負けたら奴隷扱いやど!
分かってるやろうの?もっとも命があればの話しやけどの」
寺島の顔が怒りに歪み始めた。
「能書きは良かけん、早よ来いや!」
巨体の寺島が立ち上がった。

「いきなり無茶だ!寺島は、3年生も手も足も出ないんだぞ!」
「可哀相にあの転校生、殺されるぞ!寺島が切れたら
誰も押さえられない!
誰か、上級生に伝えろ!寺島はんを殺人犯にさせる訳にはいかないからな。」
周りはざわめいた。
それだけ、寺島の恐ろしさを知っている。
周りは少し退いた。
とばっちりを受けるのを恐れているからだ。

闘いは始まった。
影山は何かの拳法のような構えをしている。
少林寺だ!
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「ふふふ…。カッコだけは1人前だな!
自慢じゃないが、俺も武道はなんでもやっているんだ!
もちろん、道場を丸ごと潰し回っていたがな。」
寺島は拳を突いた!
武道をこなしていると言うだけあって、見事な正拳だ!
影山はそれを受け流し、蹴りを入れる!
寺島もそれを受け、次々に攻撃を仕掛けた。
巨体なのに凄いスピードだ!
上級生もが怖れるのも無理はない。
「ははは、やるじゃないか!デブ!
だが、それでは俺には勝てない!」
勝負は一瞬にして決まった。
ふたりは激突し、お互いに拳を突いた!
ふたりは固まったままだ。
そして寺島の巨体が崩れ落ちた!

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うおおっっおお! 
寺島が敗れた!

「おい、こいつに勝ったって事は、俺が1年で1番なのか?」
「何を言ってるんだ!
寺島は3年の総番を倒していて、1年でここの総番を張っていたんだぞ!
あんたがここの総番だ!」
みんな歓喜の声を挙げた!
「何を言っているんだ?
俺は総番なんて、やるつもりは無いぞ!
総番はそのまま、こいつにやらせておいてくれ!
その代わり俺の邪魔はするな!」

影山の話は獄山の耳にも届いていた。
その影山が極悪高校に現れたのであった。
「あんたが極悪高校を仕切っている獄山はんか?
あんたには怨みは無いけど、俺は強い奴と闘いたいんや!
勝負してくれ!」
そして獄山は闘った。
極悪高校を守るために!
そして己の意地とプライドのため。

影山は強かった!
武術を極めていた!
「県下ナンバーワンと聞いてやって来たが、全然大した事無いんだな。
これじゃ邪鬼工業の1年の寺島の方が強かったぞ!」
「俺はナンバーワンじゃ無い!
ここには俺よりもっと強い奴がいる。。。」
獄山はそう言い残して、倒れた。

「誰だ!獄山より強い奴と言うのは?
ふふふ…。やっぱりそうで無くちゃ面白く無いよな!」

清は影山と闘うのか?
勝ち目はあるのか?

獄山より強いと言う奴の事はすぐに分かった!
翔太と言う、同じ1年の奴だと言う!
今年は1年に強いのが揃っているんやな。
寺島と言い、翔太とか言う奴と言い
そして俺!
まあ、俺が一番やけどな!

影山は翔太を捜した。
いた!
あのデカイ奴だな!
沢山の手下に囲まれてる!
流石極悪高校で1番なだけあるな!
手下をあんなに引き連れている。

「おい、翔太!俺のパンチを受けてみろ!」
「あはは!やめてくれよ!」
「俺、彼女が出来たんだぜ!」
「わ〜良いなぁ!」
「わははははは。。。」
何なんだ!
あいつの周りは!
手下と戯れている!
いや、手下と言う感じじゃ無いぞ!
友達、いや!仲間と言った感じだ!
なんなんだ!こんな大勢の仲間とつるんでいる奴なんて見たこと無いぞ!

影山は翔太の前に立ちふさがった!
「あんたがここで1番強い翔太はんか?
あんなに怨みは無いけど、俺と勝負してくれないか?」
「あなたが獄山さんを倒した人ですか?」

清は影山と睨み合った。
影山の強さがヒシヒシと伝わってくる!
今まで感じたことがない強さだ!
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清は影山と闘う!
果たして勝つのはどっちだ?
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月と太陽 その3

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
遂に清は極山と対決することに…。

翔太は走った。
あれから毎日走り続けている。
初めは5百メートルも走れなかったのが、今は毎日10キロ以上走り続けている。
ただ黙々と…。
いつまでこの身体でいるのか分からない。
すぐに戻れるのか?
それとも一生このまなのか?
このまなならこのままでも構わない!
翔太は力だけが全てではないと言う事に気が付き始めていた。

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百合子は清の事が気になり出していた。
以前は自分の事を遠くから見ている気持ち悪い男の子だった。
おまけにイジメられっ子で、私の前でパンツを脱がされ泣いていた。
正直、百合子はそんな清を軽蔑していた。
ところが不良達がこの高校に乗り込んで来た時
あの勇ましかった薗田たちが泣なら逃げ惑っている時に
こともあろうか?
清が不良達に立ち向かって行ったのである。
百合子は自分の目を疑った。
あれから清の周りに人が集まるようになって来ていた。
あのイジメられっ子の清にである。

百合子は自然と目で清のことを追っている自分に気付いていた。
これって恋?
目で追っているうちに、清の身体が見る見る絞られて行くのが分かった。
身体つきにしても、もはやあのイジメられていた頃の清とは全く変わっていた。
おそらく格闘の試合をしても、今の清に勝てる者は、この学校にはいないだろう。
それ程、清は変わった。

翔太は自分の事を見つめる女性に気付いていた。
清が恋い焦がれていた百合子だとすぐに気付いた。
百合子の美しさはこの学校では1番輝いていた。

ふふふ…はははは。
まさかこの俺様が女の事を考えるなんて、夢にも思わなかったぜ。
もちろん今までも女に興味無かった訳では無い。
今までは、気に入った女がいたら、力で奪って来ていた。
そこには恋愛感情とかは全く無かった。
欲しいと思ったから手に入れただけだった。

翔太がランニングしていると、百合子が1人でいた。
「清くん!」
「おう!どうしたんや?こんなとこで何してん?」
「えへっ、実は清くんを待ってたんだ。」
「え?俺をか?なんか用か?」
「ううん。清くんと話がしたかったの。」
「え?俺と?」
「俺なんかと話をしても、なあ〜んも面白う無いで。」
「ううん〜。良いの。」
「わたし、清くんのこと好きになっちゃったみたい。」
「え?俺をか?」
「うん。迷惑?」
「いいや、俺もお前の事ば、可愛いかって思いよったけん。」
「え?本当?嬉しい!」
「ねえ、私を彼女にしてくれない?」
「分かった。今日からお前は俺の女たい。
これからはどんな事があってもお前ば守る。」
「嬉しい♪」
百合子は翔太の頬にキスをした。
翔太は顔を真っ赤にした。
「ほ、ほれじゃ、ポクはもうひと走りして来るからね。
またあひた。」
翔太は顔を真っ赤にしたまま夕陽に向かって走り出した。
はははは〜青春じゃ!

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翔太が青春に浮かれている頃
清は獄山との争いが激化し始めていた。
「翔太さん!また仲間が獄山達の方に寝返って行きました。」
「何やってんだ!」
清は怒鳴りつけ、殴り付けた。
グワッ!
「翔太さん!あんたは変わっちまった。
悪いけど、俺も極山の方に着かせて貰うぜ!」
今まで、そばにいた者達までも、清の元を離れて行った。
「ハハハハ〜これで、誰もあんたに付くものはいなくなっちまったな。」
最後まで、そばにいた神田が言った。
「俺は、どっちにも付かず、高見の見物させてもらいまっせ。
当てにせんどいてな。」
「なに?」
その時、獄山からの伝言が来た。

「翔太!グランドに出て来いや!
そろそろ決着付けようや無いか!」

ついに獄山との対決の時が来た。
しかももはや清の味方は誰もいなくなっていた。

その知らせは、翔太にも一早く届いた!
神田が連絡を入れたのだった。

翔太は薗田からバイクを借り、極悪高校に向かった。
「清、止めろ!あんな連中のとこに行くなんて自殺行為だ!」
薗田は震えながら言った。
大丈夫だよ!
翔太は飛ばした。
翔太が極悪高校に着くと、対決は始まっていた。
周りを獄山の手下が囲む!
ちょっと前まで、清についていた者たちもいた。
清は始まる前から飲まれていた。
身体は翔太の身体になったものの、殆ど喧嘩の経験が無かった。
今までは、翔太の身体にビビっている無抵抗の奴らを殴っていただけだった。
いきなり獄山のパンチをもらった!
それには獄山の方が驚いた。
まさかこんなパンチがまともに入るなんて!
翔太はどうしちまったんだ!
あの時の強さはどうした?
最初の一発で倒れてしまった。
そして獄山はもっと驚く事になる。
起き上がった翔太が泣き出したのだ。

「アーンアーン!痛いよ〜!」
えーんえーん

極悪高校に着いた翔太は思わず顔を覆った。
いくら中身が清に変わったからと言って
こんな無様な姿をさらされるなんて…。
「ヤメロ!」
翔太は輪の中に入って行った。

そして獄山の前に立った。
「こいつは翔太じゃ無い!俺が相手しよう!」
「あはははははは〜!お前が?
お前がワシの相手をすると言うのか?
このワシに勝てるつもりなのか?」
「もちろん勝つのは難しいだろう!
しかし俺はやらなければ、いけないんだ!
お前も遠慮せず、全力でかかって来い!」
「ガハハハハ!ぶっ殺してやる!」
見ている者たちは自分の目を疑った!
この小さな男が獄山と五分の闘いをしている!
獄山の大きなパンチをすり抜け、的確にパンチを入れて行く!
初めは全然効いていなかった獄山も徐々に効き始めてきた。
段々肩で息をし始めた。

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そして遂に獄山は膝を着いた。
と、その時獄山は砂を翔太にかけ砂が翔太の目に入った瞬間パンチを繰り出した。
翔太は吹っ飛んだ!
グワアアア!
「へへへへ…。手間取らせやがって!ハアハア…。」
ブーブーブーッ!
周りからブーイングが起きた!
極山!汚いぞ!
そんなんじゃ俺たちは認めない!
「ハアハア…お前ら!クソー!勝手にしろ!」
獄山は数人の手下を連れて、去って行った。
囲っていた者達も散って行った。
翔太は一体どうなっちまったんだ?
獄山もあんなチビに手こずって、情けないな。。。
あれだったら、俺の方がマシだぜ!
いや、それなら俺の方が!
極悪高校はまた無法地帯へとかして行った。

翔太は目を覚ました。
そこには翔太の身体の清がいた。
「目が覚めたかい?」
目に涙を溜めた翔太の身体の清がいた。
「クソー!やられちまったか?チキショー油断しちまったぜ!」
「凄いよ!翔太くん!こんな小さな僕の身体で
あの獄山とあんな戦いが出来るなんて!」
「バカ!何を言ってやがる!
お前は逃げてばかりなんだよ!
見ろ!この身体もお前の時とは大違いだぜ!
男は逃げてはならない時があるんだ!
泣きたくても歯を食いしばって耐えなきゃならない時もある!
結局俺様の身体を使ってもこのザマだ!
悔しかったら、この身体を使って元の地位を取り戻してみろ!」
「うん。やって見るよ!もう逃げないよ!」
「ふっ、期待してるぜ!
じゃ、そん時にまた会おう!」
翔太はバイクに乗って去って行った。
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月と太陽 その2

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
イジメられっ子の清と悪の帝王と恐れられている翔太。
何故か2人が入れ替わってしまった。
突然信じられないパワーを手に入れた清。
清の気持ちが変わって行く。
また翔太にも心の変化が…。
どう言う展開になって行くのか?

力任せに暴れていた翔太!
弱い奴の気持ちなんて考えたこともなかった。
増してや虐められっ子とか全く無縁の事だった。
絶対的力の持ち主の悪の帝王の翔太が虐められっ子に。
非力な力でどう立ち向かって行くのか?
しかし思わぬ展開へと物語は進んで行く。

また毎日虐められっぱなしだった清は最高の力を手に入れた!
清はその力をどう使うのか?

恐ろしそうな暴走族の奴らや不良どもが自分に頭を下げる。
そして自分の言う通りに動くのである。
初めはオドオドしていた清も、すぐに事情を飲み込んで行った。
自分はマンションの屋上から飛び降り、そしてこの悪の帝王に生まれ変わったのだ!
きっと神が復讐する流チャンスを与えてくれたのだ。

心の変化!
虐められていた清は
今までの鬱憤を晴らすかのように、気に入らない奴をいたぶって行く。
「わはははは。。。。愉快だ!愉快だ!
みんな土下座しろ!
この僕を虐めた奴はみな許さない!
そうだ!
あの薗田たちに復讐してやる! 」

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清は神田たち手下を引き連れて通っていた高校に向かった。
神田たちは暴れる!
もっとやれ!
僕が虐められてたのを見て見ぬ振りしていた奴らも
みんなやっつけてしまえ!
ガッッはははは!愉快だ!

清は薗田を見つけた。
お前だけは許さない!
絶対に!
神田たちが薗田達を取り囲んでいた。
あの薗田達がなす術もなくやられていた。
やめろー!
その時、声がした。
なんと清の姿の翔太が現れた。

しかし園田に対する怒りは益々増した!
ドケッ!
清は薗田に襲いかかる!
それは凄い形相だった!

清は薗田を殴り付けた!
薗田の身体は宙に飛んだ!
がおおおおォォおおおー!
清は吠えた!
なんて楽しんだ!

やめろ!
やめるんだ!
なんとひ弱な清の身体が前にふさがった!
なんと言う事だ!
あのひ弱な身体の清の身体がこの大きな身体の怪物の前に立ちふざがっている!
清は自分の身体と対面して動揺した。


「清! お前は俺の身体を使って、今までの鬱憤バラしをするのか!
それで気が済んだのか?
お前は逃げてばかりだ!
1度も立ち向かおうとしなかった!
それで俺の身体を使って復讐か?
最低な奴だ!」
うおおおおおおお!
清は泣き崩れた!

グオオオオオオオ!
「お前に何が分かる?
僕の辛さ苦しみ!
この力を持ったあんたに僕の辛さなんて分かりやしない!
毎日毎日!どれほどの辛さだったか!
この力を手に入れて、復讐して何が悪い!
こんな奴、殺してやる!」
清は薗田を睨みつけた!

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「ひぃぃいいいいいい
助けてくれ!
お前がそんなに苦しんでいたなんて知らなかったんだ!
ただ暇つぶしにからかっていただけなんだ!
助けてくれ〜。」
「がははははは!
言いたいことはそれだけか!
僕はお前を許さない!
お前をこの世から抹殺してやる!」
助けてくれ〜!
薗田は泣きながら命乞いをした。
怯えながら泣いている!

清の心に風が吹いた。
あれだけ恐ろしかった園田がこんなに惨めな姿をして
泣きながら許しをこいている。
これが力と言う物なのか?

その時、パトカーのサイレンがこだました。
「もう良い!行くぞ!」
清は神田たちを引き連れ、バイクで立ち去って行った。

わははははっは!
翔太は泣き崩れている薗田をみて
そして自分の身体で暴れまわっている清を思い笑った。
今まで自分がしていた事も清が俺の身体を使ってしている事も
全く変わりはしない!
俺にあいつを批判する資格はないな。。。
まあ、何にしても俺様の身体が無事だと分かったたけでも良しとするか。
翔太は、清が乗り移っている自分の身体を見て
今まで如何に自分が酷い、極悪非道な事をして来ていたかを痛感した。

清は荒れた!
有り余るパワーを抑えきれず
気に入らなければ、殴り付ける。

清は薗田の姿を思い出していた。
あれだけ恐ろしかった園田が
なんとも惨めな姿で、泣きながら命乞いしていた。
あのプライド高い園田がである。
力とはいったい何なのか?
いきなり絶大なパワーをを手に入れ
気が付けば、悪の帝王の位置になっていた。

しかし清は周りの手下の変化に気付いていなかった。
イジメられっ子がいきなりパワーを手に入れても
今までの翔太のカリスマ性はなかった。
翔太は悪は悪でそれなりの凄みとカリスマ性があった。
しかし清にはそれがない。
手下の奴らは、ひとりひとりと清から離れ、獄山へと寝返っていた。
翔太との対決に破れ、なりを潜めていた獄山は翔太を倒すべく
計画を立てていた。
それは翔太についていた手下どもを再び自分の元へ引き寄せ
翔太を丸裸にし、やっつける手はずだ。
もちろん清にそんなことが分かる筈はない。

翔太は考えた。
この入れ変わりは、何を意味しているんだ?
清の無法ぶりを見て、今までの自分の振る舞いを思い出していた。
気に入らなければ力で抑え込む。
どんな事も力で従わせた。
今までの自分の馬鹿さ加減を痛感していた。
翔太の元には自然と仲間が増えていた。
薗田グループはもちろんその他の奴らも自然と翔太の周りに集まった。
ところが今はどうだ?
何の力もない今の俺にこんなに仲間が集まって来ている。
この違いは何だ?
翔太は仲間と言う物を考えていた。
今までは、仲間なんて考えたことも無かった。
仲間なんて糞食らえだ!
従わない奴は潰すだけだった。
しかし翔太には、自分では気が付かないカリスマ性を備えていた。
本人は力だけで押さえ込んでいるつもりだったかも知れないが
自然と仲間を守ると言うオーラが出ていた。
現に自分では気が付かないうちに、仲間のために闘った喧嘩も数多くあったのだ。
そんな翔太を慕って、翔太の手下に付いて来たものも数多くいた。
神田もその1人だった。
神田は翔太の変わりように戸惑っていた。
あれだけ懐の大きかった翔太が今ではただの駄々っ子だった。
正直に言ってカリスマ性のかけらも無い。
どうしてこんなに変わってしまったのだ?

獄山と翔太の対決!
見ていて心ワクワクした。
翔太のパンチの一つ一つが輝いて見えた。
神田は、獄山の手下であったが
すっかり翔太に魅了された。
神田は、獄山の元を去り翔太に着くことを誓った。
しかし今の翔太は、あの輝きのひとかけらも無い。
神田は翔太から距離を置くことにした。
他の奴らも、ザルから水が漏れるように、次から次へと離れて行った。
翔太は今ではスッカリ裸の王様になてしまっていた。

そして対に獄山が復活!
翔太の身体の清と対決する事になった。
その噂は清の身体の翔太の元へも伝わって来た。

手下が殆ど離れてしまった翔太の身体の清!
絶体絶命のピンチ!
どうなって行くのでしょう?
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月と太陽

「こらぁ〜!パンはまだか?」
「うぉ?お前はパンも買って来れないのか?」
「早くしろ!ボケッ!」
清は後ろから蹴飛ばされた!
「ケッおせーんだよ!ボケッ!」
殴られツバを吐かれた。
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ううううう。。。。もう我慢出来ない。
清は高校1年生。
入学してから毎日毎日虐めれれている。
この前はズボンを降ろされパンツまで下げられた。
清が密かに憧れていた百合子の前で…。
自分の鬱憤を晴らすために殴られた。
毎日金も取れている。
パンも買ってこさせられる。
しかも清の金で。。。
みんなも見て見ぬ振りをしている。
先生さえも知らん顔だ。
絶対に許さない!
死んで怨んでやる!

清は涙を浮かべマンションの屋上から飛び降りた。

もっと生きたかった。
もっと色んな事をしたかった。。。

アワレナワカモノヨ…


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翔太はワルだった。
県内の落ちこぼれが集う県内最悪の高校極悪高校に入学した。
この学校は少年院より悪いかも知れない。
その中でも翔太の悪さは群を抜いていた。
入ったすぐから揉めた!
ここでは力が全てだった。
あっちこっちで闘いが繰り広げられ、自然と数人に絞られて来た。
翔太も手当たり次第ぶっ潰してきた。
翔太は勝ち上がり、ついにこの学校を支配する獄山と対決する事になった。
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そして翔太は獄山を倒し、この悪名高い極悪高校の頂点に立った。
翔太は歯向かうものを徹底的にぶっ潰し、絶対の権力を手に入れた。
もはや翔太に逆らえるものは誰1人いなかった。
翔太は悪の限りを尽くした。
街でもヤクザをも半殺しにし、県内最大の暴走族でさえ潰してしまうほどだった。
翔太は暴れまわる!
まるでキングコングの如く!
翔太は何をしても燃え尽きることは無かった。
何か足りない!何が足りないんだ?
翔太は夜明けの道をバイクで飛ばした。
その時、翔太のバイクの前を野良猫が飛び出した!
翔太は無意識によけ、よけ切れずに転倒!
翔太はバイクから吹っ飛んだ!


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ドンッ!
あたたたたた。。。
「クソッ!事故っちまったぜ!」
翔太は起き上がった。
幸い大した怪我は無いようだった。
ここは何処だ?
翔太はマンションの下にいた。
翔太の知らないところだった。
マンションのガラスにひ弱な情けない男が映っていた。
「おい!お前!ここは何処だ?
なぜ俺様はここにいるんだ?」
ひ弱な男は翔太の真似をしている。
「貴様!バカにしてんのか?
ぶっ殺す!」
しかしなんだか様子が変だ!

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翔太が手を動かすとその男も手を動かす!
あっかんべーをするとそいつもする。
翔太はなんだか悪い予感がして来た。
その時
「清!大丈夫?虐められて自殺でもするんじゃ無いかと心配しちゃった。」
見知らぬオバさんから抱きしめられた。
「ゲッ!なに仕上がるんだ!このババァ!」
「清ちゃん、どうしたの?」
さすがの翔太もこのひ弱な男が自分だと気が付き始めた。
どうしちまったんだ?
俺はこんなひ弱で情けない男の姿になっったんだ。。。
翔太は、そのオバさんに引っ張られるようにして部屋に入った。

まあ良いか!
どうせ飽き飽きしてたところだし。。
翔太は勧められるまま部屋に入った。

どうやら俺様はこのオバさんの息子の清になっちまったらしい。
典型的な虐められっ子だった。
ノートには死にたい死にたい!
いじめっ子への怨み辛身がノートにぎっしりと書き殴られていた。
ふふふ…。
おもしれーじゃねえか!
俺様がこの清の怨みを晴らしてやるぜ!

翌朝、教えられた学校へと向かった。
へへへへ〜進学校じゃねえか!
こんな学校でもイジメなんかあるんだねぇ。
と、その時、ガツンッと背中に蹴りを食らった!
「ぐわッ!誰だ!」
俺様に蹴りを喰らわすとは良い度胸だ!
振り返ると清をイジメていた不良グループがいた。
翔太は不良グループに囲まれた。
「へへへ〜!清、何偉そうに道を歩いているんだよ!
お前は道なんか歩く資格ねえんだよ!」
「へぇーそうかい?今までの借りを返させて貰うぜ!」
なにッ!
グループの1人が殴りかかって来た。
軽くそれをかわし?
ゴンッ!
グェッ、確かにかわした筈なのに…?
何なんだ、こいつの運動神経の悪さは…?
不良グループのリーダー格の奴が殴りかかる!
それに合わせてカウンターを決めた!

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「ギャーッ」
清の手が悲鳴を上げた!
あたたたたた…。
殴った筈の翔太の方が手を痛めてしまった。
「ううううううう。。。。」
翔太はうずくまり、奴らに殴られ、蹴られた。
「ケッ、清のくせに粋がるんじゃ無いぜ!」
不良グループは翔太にツバを吐きかて去って行った。
「清の野郎!歯向かって来やがって!
もっとガンガン虐めてやんないといけませんね。」
グループの1人がリーダー格の薗田に言った。
すると薗田が突然膝を付いた。
薗田の顔は腫れていた。
クソー!清の奴…。

クソーッ何なんだこいつの身体は…。
翔太は学校を休んだ!
まずはこいつの身体を鍛えないと話になられえ!
まずは走り込んだ!
翔太は何十キロ走っても平気だった。
しかし清の身体は五百メートルも走らないうちに息が切れた。
「はぁはぁはぁ…。」
こいつは思った以上に大変だぞ。
しかし少しづつ走る距離も伸び、拳で腕立て懸垂。
なんとか最低限度の体力を付けることが出来た。
「良し!準備は整った。」
翔太は万を辞して学校へ出向いた。
ふふふ。。。待ってろよ!
俺様の恐ろしさを思い知らせてやるぜ!
翔太が学校に行くと学校の様子が変わっていた。
この学校を支配していた筈の不良グループの薗田たちが虐められていた。
何と言う事だ!
するとあの極悪高校の獄山の手下の神田が奇声を上げていた。
これは思わぬ展開になったぞ!
元の身体なら、あんな奴屁でもないが、こいつの身体だとちょっと大変だな。
その間にも薗田達は殴られ蹴られ、痛め付けられていた。
つい翔太は「ヤメロ!」と声を上げていた。
薗田達は清をいや、翔太を信じられないと言う眼差しで見ていた。

するとあっと言う間に神田の手下達が翔太を囲んだ。
「何故、お前たちがこの学校に来ているんだ!」
「ふふふ。。。
なに、ちょっと嫌なことがあって、その鬱憤バラしに弱いものイジメに来ただけさ。」
「お前らお前らの大将がやられて、その鬱憤バラしか?つくづくクズな奴らだな!」
「なに?」
薗田達は呆気に取られて、清を見つめた。
あれがあの清なのか?
なんとも言えないオーラが出ていた。
しかし翔太はもっと驚く事になる。
なんと神田の背後に翔太の姿の清がいた。
どう言う事だ?

清は涙を溜め、マンションの屋上から飛び降りた!
うわぁっぁあああ
ゴンッ!
ドタッ!
あいたたたたった。
清はバイクから投げだされ、夜の道の土手に投げ出されていた。
清は立ち上がった。身体は2メートルはあるんじゃないかと思われるほどの巨体だった。
「ここは何処なの?」
何故かヘルメットを被っていた。道の真ん中にバイクが横たわっていた。
清はバイクを抱えた。
なんと大型バイクをヒョイっと持ち上げる事が出来た。
わっ、どうしたんだろう?
スーパーマンにでもなっちゃたのかな?
するとバイクに乗った怖い暴走族が集まり取り囲んだ!

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うわぁっぁあああ!なんなんだ?
すると
「チワースッ翔太さん、お怪我はありませんか?」
え?え?え?いったい何なの?
清は何がなんだか分からなかった。

果たして2人の運命は?
つづく
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夢の宅配便 はい、タケコプター

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こんばんは〜
昔は良く空を飛ぶ夢を見てたのに。。。
今は介護に追われて、そんな夢も見ることもなくなりました。
最近見る夢は、自転車をこいでいる夢ばかり。。。

その夢、夢子が叶えましょう〜。

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何を頼もうかなぁ〜?
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箒に乗って空を飛びたいなぁ〜

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私も空を飛ぶ夢良く見るのよ♬

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どこでもドアァ〜
ここはどこ?

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暗記パンてなに?

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え?オーロラに見えないって(;^_^A


夢ってなんだろう?
寝ている時に見る夢、将来の夢。
憧れ願望!
そんな中で物語を描けたら良いなぁと思います。

僕の夢は…。
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夢の宅配便

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

次回の予告「夢の宅配便」
さてさてどんな物語になるのでしょうか?

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みんな昔は夢を追っていたもの
そんな夢を忘れた人に
楽しい夢をお届け致します。
ほのぼのとした暖かい物語になると良いですね。

朝の陽射しが夢子を包む
小鳥たちがさえずる。
箒にまたがり夢子は空に飛んだ。
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絵手紙列車 最終章

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

読んでくれてありがとう!

いよいよ最終章です。
今回はなんと!あの謎の紳士からの視点で描いて行来ます。
どんな展開になって行くのでしょう?
涙なみだの感動物語。



ここはアフリア大陸の奥地
和夫はケニア北東部のジャングル、ボニ•ドドリの森に
動物の研究に来ていた。
ここで新種のハネジネズミが確認されたのだ。
和夫はその調査に来ていた。
日本を離れ8日目にして漸く辿り着いた秘境の地だった。

和夫は小さい時から人見知りが激しく、みんなと遊ぶよりも
1人で黙々と本を読んだり、調べごとをするのが好きだった。
和夫は大学の研究室に残り、新種の動物の研究をしていた。
この度、新種のハネジネズミが発見されたと聞いて調査に訪れたのだった。

ピーピーピー
ピーヒョロロ
カァーカァー
色んな鳥たちが鳴いている。
まさに秘境中の秘境だった。
おっ、この足跡は何だあ!
この抜け落ちた毛は、何の動物だ?
こんな虫見たことないぞ!
この葉っぱの植物は何だ?
和夫は見るもに全てに興奮した。
原住民のガイドを引き連れての探索。

和夫は先に進む!
「フガハガブガビバガガ!(ソッチニイッタラアブナイゾ)」
原住民のガイドが何か叫んでいる。
「え?なんだって?」
「何て言っているのかわかんないよ?」
と、その時和夫は足を滑らせ崖の下に落ちて行った。
ウァァァァァ〜!
「アガブガベケキゲ(アリャタスカンネェナァ)」
崖の下を覗き見た原住民のガイドが呟いた。

うぅ〜ん。。。
和夫は目を覚ました。
あ痛たたた。。。
「ここは何処だ?」
そうか僕は足を滑らせ崖の上から落ちたんだった。
ふと見上げると、そこは何百メートルもあるような崖の下だった。
「フェッ!あんな処から墜ちて来たのか?」
良く生きていたものだなぁ。。。

和夫はリックを背負い、歩き出した。
すると遠く離れたところに村があるのが見えた。
和夫は村を目指して歩いた。
何時間歩いただろうか?
やっとの思いで村に辿り着いた時には陽が傾きかけていた。
「誰かいませんか?」
和夫は日本語は通用するはずはないと思いながらも声をかけてみた。
すると驚いた事に日本人の女性が出て来た。
しかも若くて可愛い女性だった。
和夫は信じられなかった。
向こうの女性も驚いていた。
「まあ、こんな処にまで現れたの?」
女性は訳の分からない事を口にした。
和夫はこの女性に会うのは初めてだった。
しかし女性はずっと前から和夫の事を知っているようだった。

女性はなこと言う名前で、海外協力青年隊の一員としてアフリカの
子供達に教育を教えにやって来ているのだと言う。
和夫は自分の生い立ちから、大学の研究室で働いている事など
沢山話した。
なこは微笑んで和夫の話を聞いてくれた。
あんなに人見知りをする和夫がこんなに話をしたのは初めてだった。
そしてなこは言った。
「やっとあなたに巡り会えたのね。
ずっと待っていたのよ。」
和夫は良く意味が解らなかったが幸せだった。
和夫はなこを愛し
なこは和夫を愛した。
ふたりは帰国して、結婚した。

和夫となこは日本に戻って、ふたりだけで結婚式をあげた。
そして安いアパートを借りた。
和夫は大学の研究室で働いているが、安月給だった。
おまけに少しお金が貯まると、すぐに調査の旅に出かけた。
だから貯金なんて全くなかった。

和夫は語った。
今まで旅した空の色、海の色。
鳥たちのさえずり、樹々の揺れる音。
風の薫り、満天の星の美しさ。
なこは和夫の話を聞くだけで、世界中を旅した気分になった。
なこも沢山の絵を見せた。
そして沢山の絵の話もしたし、沢山描いて見せた。
「えー?これが僕なの?」
「なによ?不満なの?こんなに似てるのに!」
「あははは〜参ったなぁ。
しかしなこは本当に絵が好きなんだね。
僕はなこの絵が大好きだよ。」
「えー!本当?嬉しい!」
なこは和夫に寄り添った。和夫は優しくなこを抱きしめた。
貧しい生活だったが、ふたりは本当に幸せだった。

なこは朝食を作っていた。
「ねえ、目玉焼きは固く焼いた方が好き?」
なこが台所で聞いてきた。
「うん、少し半熟で〜」
和夫はテレビを見ながら、答えた。
和夫は半熟の目玉焼きをすくってご飯に乗せて食べるのが好きだった。
とその時テレビからニュースが流れて来た。

〜アフリカ、ケニア北東部で日本人の遺体発見!〜

「え?私たちがいた所じゃない!」
なこもテレビの前にやって来た。
テレビには原住民のガイドが映った。
「あっ、こいつ僕が雇っていたガイドだ。」

〜日本人はここから崖の下に落ちた模様です。〜
「あ、僕と一緒だ!」
和夫は笑いながら、なこに話した。

〜日本人の身元が分かりました。大学研究委員の戸山和夫さん26才と判明しました。
「ははは…。名前も僕と一緒だ。。。」
和夫は顔が青ざめて行った。
そんな、僕はここにいるのに。。。
振り向くとなこが目に涙を浮かべながらこっちを見ていた。
「何かの間違いだよね。僕はちゃんとここにいるし。」
と言う和夫の身体が透けて来ていた。
「いやー!」
なこが抱きついて来た。
「和夫はここにいるもん!死んでなんかいないもん!」
なこが抱きしめる手が和夫の身体をすり抜けた。

そうだったのか。。。あの時、崖から落ちたとき…。僕は死んでいたのか。。。
あんな高いところから墜ちて無事なわけ無いよね。

和夫は涙が溢れ出してきた。
なこも泣いている。
和夫の身体が宙に浮き出した。
「なこ、僕は君を愛しているよ。ずっといつまでも愛しているよ。」
和夫は心の底から叫んだ!
しかしその声はどこまで届いていただろうか。

なこは叫んだ!
「お願い!行かないで!私をおいて行かないで!」

和夫はの身体は宙高く吸い込まれた。
うわァー。
周りがグルグル回る!
うううう。。。どうなったんだ?

和夫は気が付くと、列車の中だった。
周りには絵手紙が貼りちらかされていた。
あっ、なこがいる!
そうか、なこに聞いたことがある。
絵手紙の列車で僕に会ったと。
なこと目があった。
でも、なこは僕に気付かない。
そうか、まだ僕となこは出会う前の時だったんだ。
和夫はなこをずっと見ていた。
ただ見ているだけのつもりだったのに、つい声をかけてしまった。
「あなたも絵が好きなんですね。」

「ええ、あら?何処かでお会いしたことあります?」
ああ…。なこ!僕だよ!
「いいえ、これは失礼致しました。わたくし戸山と言います。戸山和夫。」
僕は何を言っているんだ?
「実は私もこの絵手紙にエントリーしているんですけど、どこにあるのかしら?」
うん、知ってるよ。
何度も聞かされたからね。
和夫はなこと話せて嬉しかった。
なこ、なこ…。和夫はなこ抱きしめたかった。
「ほう、この中に貴女の絵手紙もあるのですか?それは素晴らしい!」
和夫は必死に冷静さを装った。
「あら、嫌ですわ。私のは絵は拙くて見られたら恥ずかしいです。」
頬を赤らめるなこ。
和夫は、なこの絵手紙を見つけた!
「おっ、この作品は素晴らしいですね。」
和夫は、嬉しくてつい、なこの作品を指して言った。
「やっぱり私の事をご存知なんですね?」
和夫は何と言っていいか解らなかったが正直に話した。
「ふふふ…。やっぱりバレてしまいましたか?
信じてもらえないかも知れませんが、実は私は貴女の未来の夫。
結婚相手なのです。未来から貴女に会いに来ました。」
愛おしいなこ。
僕だよ!
「何を言っているのです?」となこが言いかけた時
僕はまた宙高く引っ張られて行った。
うわぁぁぁあああああああ


和夫は闇の中を落ちて行った。
今度はどこに行くのだろう?
光が見えた。
そこには、小さななこがいた。
楽しそうに絵を描いている。
本当に絵を描くのが好きな女の子だったんだね。
「お嬢ちゃん、絵が上手なんだね。絵を描くのは好きかい?」
「うん、大好き!」
「そう、大きくなっても描き続けるんだよ。」
和夫は思い切って声をかけてみた。
なんて可愛い子なんだ。

和夫はなこの人生を旅する。
ずっと遠くから見守った。

小さかったなこも高校生になった。
すっかり女性ぽくなっている。
美術部に入って、美術部の部長と小さな初恋。
和夫は複雑な心境だったが、ただただ見守っていた。
なこが泣きながら美術部の部室から飛び出して来て
僕とばったり出会ってしまった。
僕は声をかけた。
「自分を…。人の言葉に惑わされず、自分を信じて自分の思う
絵を描きなさい。貴女の絵は素晴らしいです。自信を持って!」
どこまで通じたか分からない。
でも、僕はなこの絵が大好きだ。
自分の思った描きたいものを描けば良いんだよ。

なこの絵が展覧会に出品されるのに決まったらしい。
それもなこから聞いていた。
でも、なこの絵は誰かによって引き裂かれた。
なこが泣いている。
僕はどうしたら良いんだろう?
和夫は時間の行き来のコツを少し掴んでいた。
少し過去に戻ることも簡単に出来るようになっていた。
でも、なこの人生を変えてしまって良いのだろうか?
でも、和夫はなこの涙を見たとき、決断した。

なこの絵が引き裂かれる瞬間に戻った。
夜の美術部の教室。
イチゴがいた。
イチゴの辛い気持ちが和夫に痛いほど伝わって来た。
「あなたの気持ちは良くわかります。
でも、あなたの気持ちは きっと届きます。
自分を信じて下さい。」
イチゴの心の痛みが消えて行った。
なこの絵は切り裂かれるのを免れた。
僕はなこの人生を変えてしまった。

そう言えば、なこは言っていた。
切り裂かれた絵が元に戻っていたと。。。
とすると、この僕の行いもなこの人生のひとつだったのだろうか?
僕に分からない。

その後、僕は長い事なこに会いに行くことが出来なくなった。
何度も何度も試みたけど駄目だった。
なこに会いに行けなくなった。
でも、やっとなこに会いに行けた。
それには、長い長い年月がかかり過ぎていた。

なこは待ち続けた。
和夫がいつかまたなこの前に現れてくれるのを。
ずっとずっと、何十年も
でも和夫がなこの前に現れることは無かった。

和夫がなこの前から消えてしまって60年の歳月が流れて行った。
なこは介護施設に入所していた。
介護士たちは、また噂していた。
「若い時に結婚していた旦那さんは突然消えてしまったんですって
可哀想にね。それに最近は相当呆けが入ってきているしね。」

なこは何時ものように、介護施設のベットでボーッとしていた。
たまに好きな絵手紙を描くほかにはすることがない。
するとその時
「なこ」っと言う声が聴こえた。
え?まさか。。。
なこは振り返った。
そこには。。
待ち焦がれていた和夫の姿があった。
うぉおおおおおおおおお
なこは泣いた。
声にならない声で泣いた。
「会いたかった。。。
会いたかったよう。」
なこは和夫を抱きしめた。
なこは和夫の胸で泣いた。
「なこ、ごめんよ!
辛い思いをさせてしまったね。
ごめん。ごめん。ごめんよ。」

なこは眠りについた。。
安らかな眠りだ。

和夫は思った。
結局、僕はなこの人生を悲しいものにしてしまった。
すまない。すまない。
そして和夫はなこの高校時代、過去を変えられたことを思い出した。
そうだ!
上手く行ってくれ!

和夫は過去に飛んだ!
そこはアフリカの北東部にのジャングル。
そこには現地のガイドを引きつ連れてジャングルを進んでいる
能天気な自分がいた。
原住民のガイドが叫んだと同時にカズオは崖の下へと落ちて行った。
和夫の魂は全勢力を使って落ちて行く自分を引っ張り上げた!
ググググッ自分の魂が消滅して行くのを感じる。
この自分が消えてしまってもお前を死なせる訳には行かない!
なこを悲しませる訳には行かない!
グォオオオオ!!
カズオはゆっくりゆっくり落ちて行った。
無事地面に着地した。
和夫の魂はこの能天気なカズオが助かったのを確認した。
ヨカッタ。。なこシアワセニナッテオクレ
和夫の魂は微笑みながら消滅した。

サヨナラ …なこ



うんんん。。。
カズオは目を覚ました。
痛たたた。

「フェ!あんな処から墜ちて来たのか?」
よく助かったものだ。
カズオは崖を見上げた。

そしてカズオはリックを抱えて歩き出した。
歩く先には、なこが待っている村がある。

おわり



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絵手紙列車 その3

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
思わぬ展開に進んでいます。
部長有沢への恋心はどうなって行くのでしょう。


なこは部長から二科展への出展を勧められ嬉しかった。
絵を志すものなら当然目標の二科展。
もちろん今のままでは実力不足だと言うことは分かっている。
でも、部長と一緒に二科展を目指せることに幸せを感じていた。

1ヶ月の間、なこは夢中でキャンパスに向かった。
今までこんなに集中して絵を描いたことはなかった。
部長への想いをキャンパスに描いた。
淡く切なく燃える心を。

美術部からは部長の有沢と副部長のイチゴ、そしてなこの絵を出展する事になった。

有沢の鋭い大胆な絵!
皆を惹きつける壮大な絵だった。
「わーっスゴイ!」
なこは思わず声を上げた。
そしてイチゴの繊細な絵。
気配りの行き届いた優しい絵だった。
そしてなこの絵。
まだまだ荒いが柔らかく暖かい皆を和ごます包み込むような絵だった。

なこは2人の絵を見て、まだまだ自分の実力不足を感じた。
「良く出来てるよ。頑張ったな!
今までとは違う、君の想いを感じるよ。」
振り向くと部長の有沢が声をかけてくれていた。
なこは頬が紅く染まるのを感じた。

あなたへの想い、感じ取ってくれますか?
なこは心の中で囁いた。

二科展への出品する作品が決まった。
3人の絵は美術部に保管され、二科展に応募され送られることになった。

その日は絵を二科展に送る日だった。
私の絵が二科展に出品されるなんて夢みたい!

なこが部室に行くとみんなが騒ついている。
「おはよう。あれ?どうしたの?」
同級生のココロに聞いてみた。
「あ、なこ!大変よ。あんたの絵が…。」
「え?なにどうしたの?」
見るとなこの絵が何者かによって引き裂かれていた。
「きゃっ!どうして…。
酷い!酷すぎる。。。」
なこは引き裂かれた絵を前にして泣き崩れた。


イチゴは、有沢の思いを絵に込めた。
不思議な少年を見つめる乙女を描いた。
有沢克彦。
あなただけを想って…。
何もかも忘れ、夢中で描きあげた。

「わーっ!イチゴさん、ステキですね。」
下級生のココロが言った。


今日は二科展に応募する作品が決まる日だ。
イチゴはいま描ける精一杯の絵を描いた。
有沢への想いを込めて…。

なこの絵は母への愛を描いた。
なんとも心安らぐ絵だった。
みんな、なこの絵を見て幼い頃のお母さんを思い出していた。

有沢の絵は何時もの如く大胆で心を貫くような絵だった。
技術的にも非のうちようが無かった。

審査はもめた。
例年は2作品の応募だったが、今年は有沢、なこ、イチゴの3人の絵が選ばれた。
イチゴは選ばれて嬉しかったが、それでも有沢はこっちを振り向いてはくれなかった。
イチゴは泣いた。
何故なの?
どうして私の方を見てくれないの?


イチゴは泣き暮らした。
出展作品に選ばれても、有沢の態度は変わらなかった。
「どうして…。どうして私の方を見てくれないの…。」

気が付くと夜の部室にいた。
出展される3枚の絵を見ていた。
イチゴは泣きながら絵を見ていた。
手にはナイフを握りしめて…。

イチゴがナイフを振りかざそうとした時、部室の隅が光出した。
「な、なんなの?」
光の中からひとりの紳士が現れた。
「きゃーっ」
イチゴは腰を抜かして、震えて身動きが出来なかった。
紳士は言った。
「あなたの気持ちは良くわかります。
でも、あなたの気持ちは きっと届きます。
自分を信じて下さい。」
「あなたは…?」
イチゴがそう問いかけると紳士は微笑みながら消えて行った。
今のは一体誰なの?
私夢を見ているの?

でもイチゴは自分の気持ちが晴れやかになっている事に気付いていなかった。
あれ?なんで私ナイフなんて持っているのかしら?

イチゴは3枚の絵を前にして
「みんなとても良い絵だわ。」
暖かい気持ちで絵を見ていた。


なこはショックだった。
自分の絵が引き裂かれ。。。
泣いているなこ。

ふと声が聞こえ顔を上げると教室に誰もいなくなっていた。
そしてそこには優しそうな紳士が立っていた。

「大丈夫!目を閉じて、ゆっくり三つ数えてご覧。
ひとつ、ふたつ、みっ。。。。。」

なこはゆっくり目を開けると、部室の前に立っていた。
あれ?

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部室のドアを開けると、同級生のココロが声をかけて来た。
「なこ、いよいよ今日出展されるのね。入選出来ると良いね。」
「え?でも私の絵は引き裂かれてしまって…。」
「何を言っているの?出展作品が並べられているわ。今から梱包されるのよ。
最後によく見ておきましょう。」

引き裂かれたはずのなこの絵は綺麗なまま、2人の作品と一緒に並べられていた。
どうなっているの?
引き裂かれていたのは、夢を見ていたのかしら?
すると副部長のイチゴが声をかけて来た。
「なこさん、1年生なのに素敵な作品だわ。お互い良い結果が出ると良いわね。うふ。」
なこは初めてイチゴの笑顔を見た気がした。
とても素敵だった。

部長とイチゴが打ち合わせをしている。
なんだかお似合いのカップルと言った感じだった。

なこは何がどうなっているのか分からないまま。
でも、何と無く爽やかな気持ちになっていた。


二科展は、有沢が入選!
マスコミからも天才高校生画家として取り上げられた。
イチゴも佳作に選ばれた。
なこには記念の鉛筆が送られて来た。

ふたりは同じ美術大学に進学し、結ばれた。
有沢は画家として大成した。
そう、あの有名な有沢克彦だ。
彼は父親をも凌ぐ画家へと成長して行った。
イチゴは優しいタッチのイラストだと人気が出て
売れっ子イラストレーターとして活躍している。

そして、なこはあの紳士と運命の出会いをするのである。

つづく
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プロフィール

kantakun007

Author:kantakun007
初めまして
勘太と言います。
よろしくお願いします。
下手ですがイラストを描くのが好きです。
暖かい絵を描きたいなぁ。

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