月と太陽

「こらぁ〜!パンはまだか?」
「うぉ?お前はパンも買って来れないのか?」
「早くしろ!ボケッ!」
清は後ろから蹴飛ばされた!
「ケッおせーんだよ!ボケッ!」
殴られツバを吐かれた。
201403152236568be.jpg

ううううう。。。。もう我慢出来ない。
清は高校1年生。
入学してから毎日毎日虐めれれている。
この前はズボンを降ろされパンツまで下げられた。
清が密かに憧れていた百合子の前で…。
自分の鬱憤を晴らすために殴られた。
毎日金も取れている。
パンも買ってこさせられる。
しかも清の金で。。。
みんなも見て見ぬ振りをしている。
先生さえも知らん顔だ。
絶対に許さない!
死んで怨んでやる!

清は涙を浮かべマンションの屋上から飛び降りた。

もっと生きたかった。
もっと色んな事をしたかった。。。

アワレナワカモノヨ…


20140316045522b8c.jpg




翔太はワルだった。
県内の落ちこぼれが集う県内最悪の高校極悪高校に入学した。
この学校は少年院より悪いかも知れない。
その中でも翔太の悪さは群を抜いていた。
入ったすぐから揉めた!
ここでは力が全てだった。
あっちこっちで闘いが繰り広げられ、自然と数人に絞られて来た。
翔太も手当たり次第ぶっ潰してきた。
翔太は勝ち上がり、ついにこの学校を支配する獄山と対決する事になった。
20140315232627515.jpg

そして翔太は獄山を倒し、この悪名高い極悪高校の頂点に立った。
翔太は歯向かうものを徹底的にぶっ潰し、絶対の権力を手に入れた。
もはや翔太に逆らえるものは誰1人いなかった。
翔太は悪の限りを尽くした。
街でもヤクザをも半殺しにし、県内最大の暴走族でさえ潰してしまうほどだった。
翔太は暴れまわる!
まるでキングコングの如く!
翔太は何をしても燃え尽きることは無かった。
何か足りない!何が足りないんだ?
翔太は夜明けの道をバイクで飛ばした。
その時、翔太のバイクの前を野良猫が飛び出した!
翔太は無意識によけ、よけ切れずに転倒!
翔太はバイクから吹っ飛んだ!


20140316091142759.jpg

2014031605365077a.jpg

ドンッ!
あたたたたた。。。
「クソッ!事故っちまったぜ!」
翔太は起き上がった。
幸い大した怪我は無いようだった。
ここは何処だ?
翔太はマンションの下にいた。
翔太の知らないところだった。
マンションのガラスにひ弱な情けない男が映っていた。
「おい!お前!ここは何処だ?
なぜ俺様はここにいるんだ?」
ひ弱な男は翔太の真似をしている。
「貴様!バカにしてんのか?
ぶっ殺す!」
しかしなんだか様子が変だ!

20140316055032e9c.jpg

翔太が手を動かすとその男も手を動かす!
あっかんべーをするとそいつもする。
翔太はなんだか悪い予感がして来た。
その時
「清!大丈夫?虐められて自殺でもするんじゃ無いかと心配しちゃった。」
見知らぬオバさんから抱きしめられた。
「ゲッ!なに仕上がるんだ!このババァ!」
「清ちゃん、どうしたの?」
さすがの翔太もこのひ弱な男が自分だと気が付き始めた。
どうしちまったんだ?
俺はこんなひ弱で情けない男の姿になっったんだ。。。
翔太は、そのオバさんに引っ張られるようにして部屋に入った。

まあ良いか!
どうせ飽き飽きしてたところだし。。
翔太は勧められるまま部屋に入った。

どうやら俺様はこのオバさんの息子の清になっちまったらしい。
典型的な虐められっ子だった。
ノートには死にたい死にたい!
いじめっ子への怨み辛身がノートにぎっしりと書き殴られていた。
ふふふ…。
おもしれーじゃねえか!
俺様がこの清の怨みを晴らしてやるぜ!

翌朝、教えられた学校へと向かった。
へへへへ〜進学校じゃねえか!
こんな学校でもイジメなんかあるんだねぇ。
と、その時、ガツンッと背中に蹴りを食らった!
「ぐわッ!誰だ!」
俺様に蹴りを喰らわすとは良い度胸だ!
振り返ると清をイジメていた不良グループがいた。
翔太は不良グループに囲まれた。
「へへへ〜!清、何偉そうに道を歩いているんだよ!
お前は道なんか歩く資格ねえんだよ!」
「へぇーそうかい?今までの借りを返させて貰うぜ!」
なにッ!
グループの1人が殴りかかって来た。
軽くそれをかわし?
ゴンッ!
グェッ、確かにかわした筈なのに…?
何なんだ、こいつの運動神経の悪さは…?
不良グループのリーダー格の奴が殴りかかる!
それに合わせてカウンターを決めた!

20140316112400c3b.jpg

「ギャーッ」
清の手が悲鳴を上げた!
あたたたたた…。
殴った筈の翔太の方が手を痛めてしまった。
「ううううううう。。。。」
翔太はうずくまり、奴らに殴られ、蹴られた。
「ケッ、清のくせに粋がるんじゃ無いぜ!」
不良グループは翔太にツバを吐きかて去って行った。
「清の野郎!歯向かって来やがって!
もっとガンガン虐めてやんないといけませんね。」
グループの1人がリーダー格の薗田に言った。
すると薗田が突然膝を付いた。
薗田の顔は腫れていた。
クソー!清の奴…。

クソーッ何なんだこいつの身体は…。
翔太は学校を休んだ!
まずはこいつの身体を鍛えないと話になられえ!
まずは走り込んだ!
翔太は何十キロ走っても平気だった。
しかし清の身体は五百メートルも走らないうちに息が切れた。
「はぁはぁはぁ…。」
こいつは思った以上に大変だぞ。
しかし少しづつ走る距離も伸び、拳で腕立て懸垂。
なんとか最低限度の体力を付けることが出来た。
「良し!準備は整った。」
翔太は万を辞して学校へ出向いた。
ふふふ。。。待ってろよ!
俺様の恐ろしさを思い知らせてやるぜ!
翔太が学校に行くと学校の様子が変わっていた。
この学校を支配していた筈の不良グループの薗田たちが虐められていた。
何と言う事だ!
するとあの極悪高校の獄山の手下の神田が奇声を上げていた。
これは思わぬ展開になったぞ!
元の身体なら、あんな奴屁でもないが、こいつの身体だとちょっと大変だな。
その間にも薗田達は殴られ蹴られ、痛め付けられていた。
つい翔太は「ヤメロ!」と声を上げていた。
薗田達は清をいや、翔太を信じられないと言う眼差しで見ていた。

するとあっと言う間に神田の手下達が翔太を囲んだ。
「何故、お前たちがこの学校に来ているんだ!」
「ふふふ。。。
なに、ちょっと嫌なことがあって、その鬱憤バラしに弱いものイジメに来ただけさ。」
「お前らお前らの大将がやられて、その鬱憤バラしか?つくづくクズな奴らだな!」
「なに?」
薗田達は呆気に取られて、清を見つめた。
あれがあの清なのか?
なんとも言えないオーラが出ていた。
しかし翔太はもっと驚く事になる。
なんと神田の背後に翔太の姿の清がいた。
どう言う事だ?

清は涙を溜め、マンションの屋上から飛び降りた!
うわぁっぁあああ
ゴンッ!
ドタッ!
あいたたたたった。
清はバイクから投げだされ、夜の道の土手に投げ出されていた。
清は立ち上がった。身体は2メートルはあるんじゃないかと思われるほどの巨体だった。
「ここは何処なの?」
何故かヘルメットを被っていた。道の真ん中にバイクが横たわっていた。
清はバイクを抱えた。
なんと大型バイクをヒョイっと持ち上げる事が出来た。
わっ、どうしたんだろう?
スーパーマンにでもなっちゃたのかな?
するとバイクに乗った怖い暴走族が集まり取り囲んだ!

20140316112401d8c.jpg

うわぁっぁあああ!なんなんだ?
すると
「チワースッ翔太さん、お怪我はありませんか?」
え?え?え?いったい何なの?
清は何がなんだか分からなかった。

果たして2人の運命は?
つづく

月と太陽 その2

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
イジメられっ子の清と悪の帝王と恐れられている翔太。
何故か2人が入れ替わってしまった。
突然信じられないパワーを手に入れた清。
清の気持ちが変わって行く。
また翔太にも心の変化が…。
どう言う展開になって行くのか?

力任せに暴れていた翔太!
弱い奴の気持ちなんて考えたこともなかった。
増してや虐められっ子とか全く無縁の事だった。
絶対的力の持ち主の悪の帝王の翔太が虐められっ子に。
非力な力でどう立ち向かって行くのか?
しかし思わぬ展開へと物語は進んで行く。

また毎日虐められっぱなしだった清は最高の力を手に入れた!
清はその力をどう使うのか?

恐ろしそうな暴走族の奴らや不良どもが自分に頭を下げる。
そして自分の言う通りに動くのである。
初めはオドオドしていた清も、すぐに事情を飲み込んで行った。
自分はマンションの屋上から飛び降り、そしてこの悪の帝王に生まれ変わったのだ!
きっと神が復讐する流チャンスを与えてくれたのだ。

心の変化!
虐められていた清は
今までの鬱憤を晴らすかのように、気に入らない奴をいたぶって行く。
「わはははは。。。。愉快だ!愉快だ!
みんな土下座しろ!
この僕を虐めた奴はみな許さない!
そうだ!
あの薗田たちに復讐してやる! 」

20140316112402862.jpg

清は神田たち手下を引き連れて通っていた高校に向かった。
神田たちは暴れる!
もっとやれ!
僕が虐められてたのを見て見ぬ振りしていた奴らも
みんなやっつけてしまえ!
ガッッはははは!愉快だ!

清は薗田を見つけた。
お前だけは許さない!
絶対に!
神田たちが薗田達を取り囲んでいた。
あの薗田達がなす術もなくやられていた。
やめろー!
その時、声がした。
なんと清の姿の翔太が現れた。

しかし園田に対する怒りは益々増した!
ドケッ!
清は薗田に襲いかかる!
それは凄い形相だった!

清は薗田を殴り付けた!
薗田の身体は宙に飛んだ!
がおおおおォォおおおー!
清は吠えた!
なんて楽しんだ!

やめろ!
やめるんだ!
なんとひ弱な清の身体が前にふさがった!
なんと言う事だ!
あのひ弱な身体の清の身体がこの大きな身体の怪物の前に立ちふざがっている!
清は自分の身体と対面して動揺した。


「清! お前は俺の身体を使って、今までの鬱憤バラしをするのか!
それで気が済んだのか?
お前は逃げてばかりだ!
1度も立ち向かおうとしなかった!
それで俺の身体を使って復讐か?
最低な奴だ!」
うおおおおおおお!
清は泣き崩れた!

グオオオオオオオ!
「お前に何が分かる?
僕の辛さ苦しみ!
この力を持ったあんたに僕の辛さなんて分かりやしない!
毎日毎日!どれほどの辛さだったか!
この力を手に入れて、復讐して何が悪い!
こんな奴、殺してやる!」
清は薗田を睨みつけた!

20140316112403037.jpg

「ひぃぃいいいいいい
助けてくれ!
お前がそんなに苦しんでいたなんて知らなかったんだ!
ただ暇つぶしにからかっていただけなんだ!
助けてくれ〜。」
「がははははは!
言いたいことはそれだけか!
僕はお前を許さない!
お前をこの世から抹殺してやる!」
助けてくれ〜!
薗田は泣きながら命乞いをした。
怯えながら泣いている!

清の心に風が吹いた。
あれだけ恐ろしかった園田がこんなに惨めな姿をして
泣きながら許しをこいている。
これが力と言う物なのか?

その時、パトカーのサイレンがこだました。
「もう良い!行くぞ!」
清は神田たちを引き連れ、バイクで立ち去って行った。

わははははっは!
翔太は泣き崩れている薗田をみて
そして自分の身体で暴れまわっている清を思い笑った。
今まで自分がしていた事も清が俺の身体を使ってしている事も
全く変わりはしない!
俺にあいつを批判する資格はないな。。。
まあ、何にしても俺様の身体が無事だと分かったたけでも良しとするか。
翔太は、清が乗り移っている自分の身体を見て
今まで如何に自分が酷い、極悪非道な事をして来ていたかを痛感した。

清は荒れた!
有り余るパワーを抑えきれず
気に入らなければ、殴り付ける。

清は薗田の姿を思い出していた。
あれだけ恐ろしかった園田が
なんとも惨めな姿で、泣きながら命乞いしていた。
あのプライド高い園田がである。
力とはいったい何なのか?
いきなり絶大なパワーをを手に入れ
気が付けば、悪の帝王の位置になっていた。

しかし清は周りの手下の変化に気付いていなかった。
イジメられっ子がいきなりパワーを手に入れても
今までの翔太のカリスマ性はなかった。
翔太は悪は悪でそれなりの凄みとカリスマ性があった。
しかし清にはそれがない。
手下の奴らは、ひとりひとりと清から離れ、獄山へと寝返っていた。
翔太との対決に破れ、なりを潜めていた獄山は翔太を倒すべく
計画を立てていた。
それは翔太についていた手下どもを再び自分の元へ引き寄せ
翔太を丸裸にし、やっつける手はずだ。
もちろん清にそんなことが分かる筈はない。

翔太は考えた。
この入れ変わりは、何を意味しているんだ?
清の無法ぶりを見て、今までの自分の振る舞いを思い出していた。
気に入らなければ力で抑え込む。
どんな事も力で従わせた。
今までの自分の馬鹿さ加減を痛感していた。
翔太の元には自然と仲間が増えていた。
薗田グループはもちろんその他の奴らも自然と翔太の周りに集まった。
ところが今はどうだ?
何の力もない今の俺にこんなに仲間が集まって来ている。
この違いは何だ?
翔太は仲間と言う物を考えていた。
今までは、仲間なんて考えたことも無かった。
仲間なんて糞食らえだ!
従わない奴は潰すだけだった。
しかし翔太には、自分では気が付かないカリスマ性を備えていた。
本人は力だけで押さえ込んでいるつもりだったかも知れないが
自然と仲間を守ると言うオーラが出ていた。
現に自分では気が付かないうちに、仲間のために闘った喧嘩も数多くあったのだ。
そんな翔太を慕って、翔太の手下に付いて来たものも数多くいた。
神田もその1人だった。
神田は翔太の変わりように戸惑っていた。
あれだけ懐の大きかった翔太が今ではただの駄々っ子だった。
正直に言ってカリスマ性のかけらも無い。
どうしてこんなに変わってしまったのだ?

獄山と翔太の対決!
見ていて心ワクワクした。
翔太のパンチの一つ一つが輝いて見えた。
神田は、獄山の手下であったが
すっかり翔太に魅了された。
神田は、獄山の元を去り翔太に着くことを誓った。
しかし今の翔太は、あの輝きのひとかけらも無い。
神田は翔太から距離を置くことにした。
他の奴らも、ザルから水が漏れるように、次から次へと離れて行った。
翔太は今ではスッカリ裸の王様になてしまっていた。

そして対に獄山が復活!
翔太の身体の清と対決する事になった。
その噂は清の身体の翔太の元へも伝わって来た。

手下が殆ど離れてしまった翔太の身体の清!
絶体絶命のピンチ!
どうなって行くのでしょう?

月と太陽 その3

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
遂に清は極山と対決することに…。

翔太は走った。
あれから毎日走り続けている。
初めは5百メートルも走れなかったのが、今は毎日10キロ以上走り続けている。
ただ黙々と…。
いつまでこの身体でいるのか分からない。
すぐに戻れるのか?
それとも一生このまなのか?
このまなならこのままでも構わない!
翔太は力だけが全てではないと言う事に気が付き始めていた。

20140317050213092.jpg


百合子は清の事が気になり出していた。
以前は自分の事を遠くから見ている気持ち悪い男の子だった。
おまけにイジメられっ子で、私の前でパンツを脱がされ泣いていた。
正直、百合子はそんな清を軽蔑していた。
ところが不良達がこの高校に乗り込んで来た時
あの勇ましかった薗田たちが泣なら逃げ惑っている時に
こともあろうか?
清が不良達に立ち向かって行ったのである。
百合子は自分の目を疑った。
あれから清の周りに人が集まるようになって来ていた。
あのイジメられっ子の清にである。

百合子は自然と目で清のことを追っている自分に気付いていた。
これって恋?
目で追っているうちに、清の身体が見る見る絞られて行くのが分かった。
身体つきにしても、もはやあのイジメられていた頃の清とは全く変わっていた。
おそらく格闘の試合をしても、今の清に勝てる者は、この学校にはいないだろう。
それ程、清は変わった。

翔太は自分の事を見つめる女性に気付いていた。
清が恋い焦がれていた百合子だとすぐに気付いた。
百合子の美しさはこの学校では1番輝いていた。

ふふふ…はははは。
まさかこの俺様が女の事を考えるなんて、夢にも思わなかったぜ。
もちろん今までも女に興味無かった訳では無い。
今までは、気に入った女がいたら、力で奪って来ていた。
そこには恋愛感情とかは全く無かった。
欲しいと思ったから手に入れただけだった。

翔太がランニングしていると、百合子が1人でいた。
「清くん!」
「おう!どうしたんや?こんなとこで何してん?」
「えへっ、実は清くんを待ってたんだ。」
「え?俺をか?なんか用か?」
「ううん。清くんと話がしたかったの。」
「え?俺と?」
「俺なんかと話をしても、なあ〜んも面白う無いで。」
「ううん〜。良いの。」
「わたし、清くんのこと好きになっちゃったみたい。」
「え?俺をか?」
「うん。迷惑?」
「いいや、俺もお前の事ば、可愛いかって思いよったけん。」
「え?本当?嬉しい!」
「ねえ、私を彼女にしてくれない?」
「分かった。今日からお前は俺の女たい。
これからはどんな事があってもお前ば守る。」
「嬉しい♪」
百合子は翔太の頬にキスをした。
翔太は顔を真っ赤にした。
「ほ、ほれじゃ、ポクはもうひと走りして来るからね。
またあひた。」
翔太は顔を真っ赤にしたまま夕陽に向かって走り出した。
はははは〜青春じゃ!

20140317052826c93.jpg

翔太が青春に浮かれている頃
清は獄山との争いが激化し始めていた。
「翔太さん!また仲間が獄山達の方に寝返って行きました。」
「何やってんだ!」
清は怒鳴りつけ、殴り付けた。
グワッ!
「翔太さん!あんたは変わっちまった。
悪いけど、俺も極山の方に着かせて貰うぜ!」
今まで、そばにいた者達までも、清の元を離れて行った。
「ハハハハ〜これで、誰もあんたに付くものはいなくなっちまったな。」
最後まで、そばにいた神田が言った。
「俺は、どっちにも付かず、高見の見物させてもらいまっせ。
当てにせんどいてな。」
「なに?」
その時、獄山からの伝言が来た。

「翔太!グランドに出て来いや!
そろそろ決着付けようや無いか!」

ついに獄山との対決の時が来た。
しかももはや清の味方は誰もいなくなっていた。

その知らせは、翔太にも一早く届いた!
神田が連絡を入れたのだった。

翔太は薗田からバイクを借り、極悪高校に向かった。
「清、止めろ!あんな連中のとこに行くなんて自殺行為だ!」
薗田は震えながら言った。
大丈夫だよ!
翔太は飛ばした。
翔太が極悪高校に着くと、対決は始まっていた。
周りを獄山の手下が囲む!
ちょっと前まで、清についていた者たちもいた。
清は始まる前から飲まれていた。
身体は翔太の身体になったものの、殆ど喧嘩の経験が無かった。
今までは、翔太の身体にビビっている無抵抗の奴らを殴っていただけだった。
いきなり獄山のパンチをもらった!
それには獄山の方が驚いた。
まさかこんなパンチがまともに入るなんて!
翔太はどうしちまったんだ!
あの時の強さはどうした?
最初の一発で倒れてしまった。
そして獄山はもっと驚く事になる。
起き上がった翔太が泣き出したのだ。

「アーンアーン!痛いよ〜!」
えーんえーん

極悪高校に着いた翔太は思わず顔を覆った。
いくら中身が清に変わったからと言って
こんな無様な姿をさらされるなんて…。
「ヤメロ!」
翔太は輪の中に入って行った。

そして獄山の前に立った。
「こいつは翔太じゃ無い!俺が相手しよう!」
「あはははははは〜!お前が?
お前がワシの相手をすると言うのか?
このワシに勝てるつもりなのか?」
「もちろん勝つのは難しいだろう!
しかし俺はやらなければ、いけないんだ!
お前も遠慮せず、全力でかかって来い!」
「ガハハハハ!ぶっ殺してやる!」
見ている者たちは自分の目を疑った!
この小さな男が獄山と五分の闘いをしている!
獄山の大きなパンチをすり抜け、的確にパンチを入れて行く!
初めは全然効いていなかった獄山も徐々に効き始めてきた。
段々肩で息をし始めた。

201403171813217bb.jpg

そして遂に獄山は膝を着いた。
と、その時獄山は砂を翔太にかけ砂が翔太の目に入った瞬間パンチを繰り出した。
翔太は吹っ飛んだ!
グワアアア!
「へへへへ…。手間取らせやがって!ハアハア…。」
ブーブーブーッ!
周りからブーイングが起きた!
極山!汚いぞ!
そんなんじゃ俺たちは認めない!
「ハアハア…お前ら!クソー!勝手にしろ!」
獄山は数人の手下を連れて、去って行った。
囲っていた者達も散って行った。
翔太は一体どうなっちまったんだ?
獄山もあんなチビに手こずって、情けないな。。。
あれだったら、俺の方がマシだぜ!
いや、それなら俺の方が!
極悪高校はまた無法地帯へとかして行った。

翔太は目を覚ました。
そこには翔太の身体の清がいた。
「目が覚めたかい?」
目に涙を溜めた翔太の身体の清がいた。
「クソー!やられちまったか?チキショー油断しちまったぜ!」
「凄いよ!翔太くん!こんな小さな僕の身体で
あの獄山とあんな戦いが出来るなんて!」
「バカ!何を言ってやがる!
お前は逃げてばかりなんだよ!
見ろ!この身体もお前の時とは大違いだぜ!
男は逃げてはならない時があるんだ!
泣きたくても歯を食いしばって耐えなきゃならない時もある!
結局俺様の身体を使ってもこのザマだ!
悔しかったら、この身体を使って元の地位を取り戻してみろ!」
「うん。やって見るよ!もう逃げないよ!」
「ふっ、期待してるぜ!
じゃ、そん時にまた会おう!」
翔太はバイクに乗って去って行った。

月と太陽 その4

みなさん、ご訪問ありがとうございます。


スーパーマンのような身体から貧弱な体になってしまっても
落ち込まない強い心の翔太!
黙々と貧弱な身体を鍛えて行く翔太!
清の横暴な行動を見て、自分の行いの反省をする翔太!
それに引き換え、得たパワーを自分の復讐のために使う清。
横暴な振る舞いで、翔太が築いた地位を失ってしまう。
ここから清の成長が始まる。
清は約束した。
どんな事があっても諦めないと。
そして失った翔太の地位を取り戻すと!

今までは、力任せに殴った。
こんな快感は今までは無かった。
僕はこの感覚に溺れた。
今まで虐められてた悔しさをぶつけていた。
悪の帝王だから当たり前だと思っていた。
しかし違うんだ!
悪の帝王は帝王で今の地位を維持する難しさ!
人をまとめる大変さ。
また人を惹きつける何かがいるって言う事を。。。
僕は知らなかった。
みんな努力していると言う事を!
あの獄山さんでもそうだ!
みんな必死なんだ!
僕は甘えていた!
これからは負けない!

清は今の自分に足りないことを考えた。
このままでは獄山さんところか、他の誰にも勝てない!
戦う術をマスターしなければ!
もう甘える事は出来ない!
清は格闘技の本を見た。
空手、柔道!ボクシング!
清はボクシングの本を手に取った。
足幅、拳の握り方、ジャブ!フック!ストレート!
読みながら実戦してみる。
シュッ!シュッ!
ステップの踏み方!
なるほど…。
20140320052506083.jpg

清は一晩で数冊の格闘技の入門書を読み終え、全て実戦してみた。
分かった事は、ただ闇雲に拳を振り回してはダメだと言うことだ!
清はただただシャドーで全ての型、パンチの種類を覚えた。
特に気に入ったのはボクシングの入門書!
あの翔太と獄山の闘いが目から離れない!
自分もあんな闘いがしてみたい!
ワンツー!ワンツー!
ステップ!ステップ!
清は街のボクシングジム、入門者募集!見学ご自由に…。と言う貼り紙を
見つけ、覗いて見た!
「あのー、すみません。見学したいのですけど…。」と言うと
ジムに緊張が走った!
わっ!翔太だ!
道場破りだ!
「いやいや、あの、見学させてもらいたいのですけど…。」
と言っているのにジムのみんなに囲まれてしまった!
「いえ、あの…見学させてもらいたのですけど…。」
よし!リングに上がれ!
見学だと言っているのに、みんな殺気だっていた。
それは無理も無い!
悪の帝王の翔太が乗り込んで来たのだから…。
清はリングに上げられた。
清は本で読んだ事を心で反復した。
まずはリズム!
ステップ!ステップ!
ジャブ!ジャブ!
清は軽くウォーミングアップでジャブを繰り出して見た。
ブシュッ!ブシュッ!
ただ軽く振って見ただけなのに凄い音がした。
清は改めて、翔太の身体の凄さを知った。
「よし!吉田行け!」
吉田はこのジムのホープ!
日本ランキング間近のバリバリの選手だった。
「吉田!遠慮はいらん!思いっきり
プロの厳しさを思い知らせてやれ!」
カーン!
ゴングが鳴った!
清は本に書いてある事を思い出しながらジャブ打って見た。
軽くよけられ、すかさずストレートが返って来た!
バッシ!
目も覚めるような一撃だった。
なるほど…。
清は色々試して見た。
吉田は清のパンチをことごとくよけ、的確にパンチを返して来た。
成る程…。
実践は違うな!
清はこのスパーリングでどんどん技術を吸収して行った。
吉田は戸惑っていた。
的確に強いパンチを打ち込んだ!
強いパンチを打ち込んでも打ち込んでも、この男はビクともしない!

第2ラウンドに突入!
悪の帝王とか言われているけど、全然大した事おまへんな!
ジムのみんながそう思ってい時
今までとは違うパンチが飛び込んで来た!
ズッドン!
成る程、だんだんコツが分かってきたぞ!
と思ったとき、吉田はすでに今のパンチで伸びていた。
清は目覚めるのを感じた!
清はもっとスパーリングをしたかったけど、ジムの方から
頼むから帰ってくれと追い出されてしまった!
清はもっと実践を経験したかったけど、実践の練習には困らなかった。
次から次へと翔太を倒して名を上げようと言う輩が挑んで来た。
しかし清にとっては、全然練習にもならなかった。
まず彼らはパンチのスピードが遅い!
動きに無駄が多い!
これは清が上達している証拠!
また翔太の身体が覚えている事に順応している証だった。
清は覚醒した!
それは清自身も感じていた。
清は挑戦して来る輩をことごとく撃破した。
その噂は広がり、翔太復活!
獄山との再戦をみんなが望んだ!
清はまだまだ練習のつもりだったのに、清は担ぎ上げられた。
清の強さは半端ではなくなっていた。
気が付けば、清の周りにまた人が集まって来ていた。
今度は力で従わせた者たちでは無い!
だが、清は自分を高めるのに必死だ!
翔太との約束を守る事だけしか頭に無かった。
それに清はボクシングの魅力に惹かれた。
ボクシングの繊細な動き!
相手のパンチをよけ、自分のパンチを繰り出す!

そしてついに獄山との再戦の時は来た!

清は獄山に勝てるのか?
そして獄山の苦悩!


翔太はバイクを飛ばした。
後ろには百合子が乗っている。
わぁ!気持ちいい!
清くん、バイクも運転出来るなんて知らなかったわ。
なんだか清くん急にスーパーマンになった見たい。
どうして急にかわっちゃったの?

そうか?
そんなに変わったか?
うん、とても素敵になっちゃった。
そうかそうか。
翔太は満更でもない。

20140320000105ff5.jpg

ふたりは並んで海を見ていた。
潮風が心地よく頬を撫でる。
翔太は今の生活も満更悪くないと思っていた。
しかしいつか百合子には秘密を打ち明けないといけないと感じていた。
百合子を愛おしく思う心が強くなって行く翔太。
百合子は清と並んで海を見つめている時間がずっと長く続けば良いと思った。
この幸せな時間が…。
しかしふたりには哀しい出来事が待ち受けていた。


清はボクシングにのめり込んでいた。
別のジムを探し、密かに練習していた。
けして目立たぬように。
これだけ大きな身体!
目立たないようにと言っても無駄なことではあるが。。。
兎に角追い出されないようにと気を付けていた。
もちろんジムの方も、こんな有能な素材を見逃すはずは無い。
仕切りに本格的にプロを目指すように進めて来る。
でも、清はまだやらなければならない事がある。
ジムに迷惑をかけるからと断り、一線を引いていた。
翔太との約束!
翔太の地位を回復する事!
清は身体を動かし、拳を交えることがこんなに楽しいとは思わなかった。
もちろん翔太の身体があっての事だと言う事も承知していた。

最近では、清に臨んでくる輩もすっかり減ってしまっていた。
清は逆にちょっと物足りなく感じていた。
いつでも獄山との再戦の準備は整っていた。
正直早く決着を付けて、ボクシングに専念したかった。

獄山は最近の翔太の身体の清の成長を見ていた。
もはや自分が敵う相手では無いと言う事も感じていた。
それに翔太の周りには、離れて行った奴らも自然と翔太の方に集まっている。
しかしケジメはケジメだ!
自分は翔太と闘わなければならない!
それがこの極悪高校を仕切っていた自分の役目だ!
戦いの日は決まった!

しかし戦いの前日、獄山は謎の人物の挑戦を受け敗れてしまった。
極悪高校に激震が走った!
その謎の人物とは!

極悪高校に激震が走った!
あの獄山が敗れたのだ!
一体相手は誰だ!

県南部に極悪高校と同じように落ちこぼれが集まる高校があった。
邪鬼工業!
そこを仕切る総番の寺島が1人の転校生にやられた。
鬼のように強かった寺島がやられた。
その男は影山修司!

転校早々影山は邪鬼工業の儀式を受けた。
不良グループに取り囲まれ戦いの儀式だ。
そこで転校生のランクが決められる。

「へー、何だよ!
いきなり呼び出しておいて、何をさせる気だ?」
影山は周りを見渡しながら言った。
周りには数十人がニヤニヤしながら見物していた。 
「へへへへ…。これはこの学校の古くからの儀式での、
ここでお前のランクが決められるんだよ!
勝ち上がれば、幹部も夢じゃなかど!
それとも奴隷扱いされるかはお前の力次第だ!
ここは力が全てだ!
俺はここを束ねている1年の寺島だ!
見たところ、結構鍛えてるみたいだな。
お前には特別に20位の奴と戦わせよう。
どうだ?文句はあるまい。
間違えて勝てば、準幹部クラスだぞ!」
寺島はアゴで、20位の松尾を呼び出した。
「へっ!面倒くせーぜ!
こんなかで1番強いのはあんたかい?
あんたとやらせてくれ!」
影山は寺島を睨みつけた。
「ふふふ…。兄ちゃん、威勢が良いの!
それは構わんが、負けたら奴隷扱いやど!
分かってるやろうの?もっとも命があればの話しやけどの」
寺島の顔が怒りに歪み始めた。
「能書きは良かけん、早よ来いや!」
巨体の寺島が立ち上がった。

「いきなり無茶だ!寺島は、3年生も手も足も出ないんだぞ!」
「可哀相にあの転校生、殺されるぞ!寺島が切れたら
誰も押さえられない!
誰か、上級生に伝えろ!寺島はんを殺人犯にさせる訳にはいかないからな。」
周りはざわめいた。
それだけ、寺島の恐ろしさを知っている。
周りは少し退いた。
とばっちりを受けるのを恐れているからだ。

闘いは始まった。
影山は何かの拳法のような構えをしている。
少林寺だ!
20140320050716632.jpg
「ふふふ…。カッコだけは1人前だな!
自慢じゃないが、俺も武道はなんでもやっているんだ!
もちろん、道場を丸ごと潰し回っていたがな。」
寺島は拳を突いた!
武道をこなしていると言うだけあって、見事な正拳だ!
影山はそれを受け流し、蹴りを入れる!
寺島もそれを受け、次々に攻撃を仕掛けた。
巨体なのに凄いスピードだ!
上級生もが怖れるのも無理はない。
「ははは、やるじゃないか!デブ!
だが、それでは俺には勝てない!」
勝負は一瞬にして決まった。
ふたりは激突し、お互いに拳を突いた!
ふたりは固まったままだ。
そして寺島の巨体が崩れ落ちた!

20140321071052e3c.jpg


うおおっっおお! 
寺島が敗れた!

「おい、こいつに勝ったって事は、俺が1年で1番なのか?」
「何を言ってるんだ!
寺島は3年の総番を倒していて、1年でここの総番を張っていたんだぞ!
あんたがここの総番だ!」
みんな歓喜の声を挙げた!
「何を言っているんだ?
俺は総番なんて、やるつもりは無いぞ!
総番はそのまま、こいつにやらせておいてくれ!
その代わり俺の邪魔はするな!」

影山の話は獄山の耳にも届いていた。
その影山が極悪高校に現れたのであった。
「あんたが極悪高校を仕切っている獄山はんか?
あんたには怨みは無いけど、俺は強い奴と闘いたいんや!
勝負してくれ!」
そして獄山は闘った。
極悪高校を守るために!
そして己の意地とプライドのため。

影山は強かった!
武術を極めていた!
「県下ナンバーワンと聞いてやって来たが、全然大した事無いんだな。
これじゃ邪鬼工業の1年の寺島の方が強かったぞ!」
「俺はナンバーワンじゃ無い!
ここには俺よりもっと強い奴がいる。。。」
獄山はそう言い残して、倒れた。

「誰だ!獄山より強い奴と言うのは?
ふふふ…。やっぱりそうで無くちゃ面白く無いよな!」

清は影山と闘うのか?
勝ち目はあるのか?

獄山より強いと言う奴の事はすぐに分かった!
翔太と言う、同じ1年の奴だと言う!
今年は1年に強いのが揃っているんやな。
寺島と言い、翔太とか言う奴と言い
そして俺!
まあ、俺が一番やけどな!

影山は翔太を捜した。
いた!
あのデカイ奴だな!
沢山の手下に囲まれてる!
流石極悪高校で1番なだけあるな!
手下をあんなに引き連れている。

「おい、翔太!俺のパンチを受けてみろ!」
「あはは!やめてくれよ!」
「俺、彼女が出来たんだぜ!」
「わ〜良いなぁ!」
「わははははは。。。」
何なんだ!
あいつの周りは!
手下と戯れている!
いや、手下と言う感じじゃ無いぞ!
友達、いや!仲間と言った感じだ!
なんなんだ!こんな大勢の仲間とつるんでいる奴なんて見たこと無いぞ!

影山は翔太の前に立ちふさがった!
「あんたがここで1番強い翔太はんか?
あんなに怨みは無いけど、俺と勝負してくれないか?」
「あなたが獄山さんを倒した人ですか?」

清は影山と睨み合った。
影山の強さがヒシヒシと伝わってくる!
今まで感じたことがない強さだ!
2014032204561075f.jpg

清は影山と闘う!
果たして勝つのはどっちだ?

月と太陽 最終章

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

邪鬼工業の影山の挑戦を受けた清!
相手の影山は拳法の達人で、邪鬼工業の総番の寺島を破り
獄悪高校の前の支配者獄山をも破った強敵である。

決闘の場所が決められた!
明日の正午、極悪高校のグランドだ!
その事は県下の不良達に伝わった。
もちろん翔太の所にもである。
その日、極悪高校グランドには県下の不良達で溢れた。
邪鬼工業の寺島達も来ていた。
もちろん翔太達も。
邪鬼工業を制した拳法の達人影山対悪の帝王の翔太!

影山は邪鬼工業に転校して来る前は、中学時代は五つの学校を支配し
高校では1年生ながら、不良高校の頭を病院送りにして問題になったてしまった。
そして影山は隣の県の邪鬼工業に移って来ていたのであった。
隣の県では、悪魔の影山と呼ばれて恐れられていた。

201403232215594ba.jpg

強い奴の噂を聞いては、片っ端から倒して行っていたのである。

「今回は飛んでもない奴と闘う事になったなぁ…。」翔太はつぶやいた。
決戦の時は来た!
なんと不良達は隣の県からもやって来ていた。
極悪高校のグランドは不良達で溢れんばかりだった。

「良いか!
不良ども!
この戦いは俺が立ち会うことになった!
勝ち負けに関係無く手出し一切許さねー!」
なんとあの不良達には伝説の芝山が立会人になった!
芝山「不良少年の恋」を参照

「ふふふ…。芝山はん、次はあんたに相手お願いしまっせ!」
影山は芝山に顔を近づけて言った。
「それは、この戦いに勝ってから言うんだな!」
「ふふふ…そうさせて貰います。」
芝山は影山を睨んだ。

影山と清は睨み合った!
「飛んでもない事になってしまった!
しかし僕は負けない!もう充分な強さになっているはずだ!」
清は震える自分に言い聞かせた。

清と影山は睨み合い、間合いを計っている。
「ほな、翔太はん!いかせてもらいまっせ!」
キエーッ
影山は蹴りを繰り出した。
速く鋭い蹴りだ!清は左腕で受け止めた!
すかさず次の蹴りが飛んで来る!
速い!
今までの相手とは違う!
しかし見える!見えるぞ!
清は冷静だった。
影山は蹴りからパンチを繰り出した。
清はそのパンチに合わせカウンターを放った!
それは一瞬だった!

影山と清のパンチが交錯した。
ドンッ!
影山のパンチが清の顔面にヒットした!
清はよろけて、倒れた。
確かに避けた筈なのに!
立ち上がろうとする清に影山の蹴りが飛んで来た。
清はなんとかかわし立ち上がった。
しかし息着く間も無く、影山の蹴りが飛んで来る!
なんて素早い攻撃なんだ!

清はフットワークを使い出した。
ワンツーワンツー!
「おっ、翔太はん、ボクシングをやらはるのでっか?
ふっ、でも、まだまだ素人って言う感じやな!」
影山の蹴りやパンチをリズム良く避けた。
そして清のパンチが炸裂!
ドッスン!
影山はそれを腕十字で受け止めた!
「けっ!えげつないパンチを持っていやはるなぁ。。。」
うおー!うおー!
周りは盛り上がる!
翔太!行けー!
影山!負けるなー!

「あいつ、かなり努力したんだな。」
翔太は闘う清を見て清の成長を感じていた。
しかし、影山は清のパンチを見切り始めていた。
そして清のパンチをかわした後
強烈なキックが清を襲った!
ズッドン!
清は倒れた!
「ふふふ…、決まったで!これを受けて立ち上がった奴はいない!」

「ヤローども!悪の帝王は俺が倒した!
この学校は俺が仕切る!
そして全て俺の物だ!」
影山は本性をさらけ出した!
「く…。僕は負けない…!」
清は立ち上がった!
「ふふふ…。頑丈な奴だ!」
影山はなんとか立ち上がった清に襲いっかる!
パンチが清にヒットする!
清は吹っ飛ばされた!

翔太は闘う清を見つめた。
闘う本当の意味!
今まで無闇に戦って来たこと。
清と入れ替わって、色んな事が分かって来た!
清、お前は良く頑張った!
後は俺に任せろ!

翔太は隣にいる百合子に言った。
「今までありがとう!お別れだ!」
え?何?

翔太は校庭の陰に消えて行った!
神よ!お願いだ!
元の身体に戻してくれ!
俺は今やらなければ、ならない!
翔太は叫んだ!
一瞬周りが暗くなった!
そして稲妻の如く空が光った!

2014032322341101f.jpg

何?どうした?
ぐうぉおおおおおおおおおお!
翔太は元の身体に戻った!
この感触!
溢れる力!
これだ!これが俺様の身体だ!

キエーッ!
影山は蹴りを繰り出しかけて、やめた!
明らかに翔太が変わった!
影山ほどの達人になると、敏感に肌に感じとった!
悪帝王と呼ばれる本当の気迫が出て来た!
明らかに今までとは違う!

「ふふふ…。これや!この感触が味わいたかったんや!」
影山は嬉しそうに笑った!
さあ、来い!
力のみなぎった翔太が誘う!
影山は渾身の力をパンチに込めた!
ぐうぉおおおおおおおおおお!
翔太もパンチを繰り出した!
今までの思いを込めてパンチを放った!
お互い避けはしない!
力と力の勝負だ!
ゴンッ!
凄い音がした。
そして影山は倒れた!
その顔は満足そうな
何かから解放されたような表情だった。

周りは沸き返った!
翔太!翔太!翔太!
翔太コールがなり止まない!

みんな、あの強い翔太が戻って来た事に気付いた!
翔太!翔太!翔太!
翔太コールはまだ鳴り止まない!

翔太は中央により、叫んだ!
「みんなー!俺たちは仲間だー!
どんなに社会や学校から虐げられても
どんな辛い事があっても
俺たちは仲間だ!
ともに苦楽を味合う仲間だ!
今日、この日を忘れないでくれ!」

おおおおおッ!
グランドは沸いた!
みんな、口を揃えて言った!
俺たちは仲間だ!

清は、目覚めた。
校舎の陰で…。
そこには百合子がいた。
百合子は優しい顔で言った。
「急にいなくなって心配しちゃった。」
「ううう…。わっ!」
一瞬、清は元の身体に戻った事に気付かなかった。
「翔太くんは…?」
「うん、勝ったみたいだよ!」
清は走った!自分が今までいたグランドに!
翔太がいた!
翔太に抱きついた!
今まで自分が宿っていた身体!
翔太は言った。
「清、お前は良く頑張った!
もうお前は今までのお前とは違う!
俺も変わった!お前のお陰だ!」
また会おう!

清は元の身体に戻った。
しかしもう以前のイジメられっ子ではなかった。
それどころかみんなが清を頼って来た。
今までの清だった、オドオドするばかりだっただろうが
すぐに状況を把握して、テキパキと指示を出した。
そして百合子と言う恋人が出来ていた。
憧れの百合子である。

清は、百合子に打ち明けた。
今までの清は自分でない事を…。
自分と付き合ってくれている百合子。
こんな嬉しい事は無い!
しかしきちんと打ち明け、筋を通さなければならない!
清が成長した証だとも言える。

百合子は信じられなかった。
確かに清は変わった。
イジメられっ子でから、スーパーマンのような彼に変わった。
そして私は清に惹かれた!
今、また元に戻ったと言う。
今までの清は、あの悪の帝王!の翔太だったと。。。。
そんな事、信じられるだろうか?

翔太の元には沢山の仲間たちで溢れていた!
身体が入れ替わっていた時の清の行動も少しずつつかめて来た。
あいつなりに頑張ったんだ!
格闘技の本が至る所にあった。
そしてそれを殆ど熟読していた。
本当にあいつは変わった!
そしてこの俺も…。
翔太は、百合子の事を思った!
翔太は本気で好きになっていた。
しかし今の俺についてくるはずも無く
清と幸せになってくれる事を祈ることしか出来なかった。
と、その時…。
百合子が現れた!
ああああああ…!
翔太の目に涙が溢れた!
百合子も泣きながら翔太に抱きついて来た!
ふたりに言葉はいらなかった。
抱きしめあっただけで全てが語り尽くされた。
2014032320175464e.jpg

清はボクシングを始めた。
翔太が走り込んでいてくれてたお陰で、清の身体は絞れていた。
信じられないくらい!
走っても走っても、疲れなかった!
翔太くんって本当に凄いな!
清はこっそり通っていたジムに通った。
みんな清の事は知らないが、清はみんなの事を良く知っていた。
清は正式に入門し、プロを目指して頑張る事にした。
今までの数々の闘い!
格闘技の素晴らしさに目覚めていた。
「良し!清!なかなか良いぞ!
来月のプロテストもこの調子で頑張るんだぞ!
しかし、あの身体のデカイ奴、どうしてるかな?
急に来なくなって…。見かけは不良だったけど、
真面目な奴だったなぁ。
そう言えば、動きとかお前に似てたぞ!」
清は笑いながら聞いていた。

翔太は、影山とも仲良く交流した。
影山は翔太を慕って来た。
影山は翔太の強さに、翔太は影山の武道の技に
そして獄山や神田!
邪魔工業の寺島とも交流した。
翔太の周りに仲間が集った!
影山も今までは、力で抑え込む事しかなかった!
やるかやられるか?
みんなそうだった!
それがこんな仲間として絆が生まれるなんて

百合子は清を見ていた。
黙々と走り込む!
その姿は今迄と変わらない。
あの日、翔太は言った。
「百合子、お別れだ。
ここはお前には似合わない。
ここに来れば、お前は不幸になる。
俺はお前を不幸にしたくない!
清は変わった。
清がお前を想う心は本物だ!
清の事を頼む!
もう一度、清をちゃんと見てやってくれ!
見守るにあたいしないと感じた時は捨ててやっても構わない。
頼む!」
翔太の言葉…。
そして清の頑張り!
翔太の言う通りだった。

ランニングをしている清!
ひとり待ってる百合子。
「あれ?百合子さん、こんな所でなにしているんッスか?」
「あなたを待っていたのよ。」
「え?僕を?」
「あなたと話がしたくて!」
「え?僕と話をしても、何にも面白くないっすよ。」
百合子は笑った!
まるで翔太の時と同んなじだ!
「私、あなたの事好きになれそうだわ。」
百合子は清の頬にキスをした。
清は顔を真っ赤にして
「お、おれ、残りのランニングして来るっす」
清は真っ赤になって、夕陽に向かって走り出した。
「うふっ、本当に良く似ているんだから…。」

2014032406282073a.jpg


太陽と月
どちらも輝いている!
力が強い者もいれば、そうでない者
人はそれぞれだ。
それでもみんな輝く事は出来る。
そう月と太陽のように。
どっちが月でどっちが太陽なのか
それは関係ない。
それぞれ自分に合った輝き方をすれば良いと思う。

THE END










ドローイング・バック

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
月と太陽、読んでくれてありがとうございます。

清は元の身体に戻って、ボクシングを始めます。
翔太が走り込んで、身体を絞ってくれてたお陰で、信じられないほどの体力が着いています。
清のボクシング人生を描いて見ることにしました。


清は今日もミット打ち!
バシバシバシバシ!
タダひたすらにサウンドバッグを打ち続ける!
パンチ力も付いて来た
「清!気合が入ってるな!」
トレーナーのケンさんが言った。
プロテストまであと一週間!
「良し!清、リングに上がれ!」
ケンさんがミットを構えて、リングに上がった。
「ハイ!」
右、左!
ワンツー!
フック、ストレート!
アッパー!
清は多彩なパンチを打ち続ける。

いよいよプロテストの日が来た。
会場にはテレビカメラが何台も来ていた。
高校8冠のモンスター井口がプロテストを受けるのだった。
「へー、凄いんだなぁ。。。」
プロテストの対戦相手は数字の組み合わせで、決まる。
プロテストは勝敗は関係ない。
プロになれる技術が備わっているか判定されるのだ!
何と言う事だ!
清の相手はそのモンスター井口だった。
「カーッ、ツイてないのー!」
トレーナーのケンさんが嘆いた。
「大丈夫ですよ。誰が相手だって一緒ですから」
清は言った。
もちろん警戒はしている。
一発でKOされたり、一方的にやられたら洒落にならない!
しかし清は落ち着いていた。
獄山や影山、その他そうそうたる輩と対決してきていたからである。
翔太の身体でことごとく打ち破って来た相手は、後から聞くと
飛んでもない相手だったのである。
彼らを相手にしてきていたのだから。
プロテストは始まった。
対戦相手のモンスター井口と目が合ったが、全く気にしていない様子だった。
プロテストなど、受かって当然と言った感じだった。
いよいよ清の番だ!
えー次は18番ん、マツモトキヨシくん!
会場に笑い声が聞こえた。
今まで気が付かなかったが、大手ドラッグストアと一緒だ!
そんな事はどうでも良い!
カーン!ゴングがなった。
モンスター井口がパンチを打ってきた。
完全に相手を舐めたパンチだった!
井口にとっては、プロテストなど、行事の一つにしか過ぎなかった。
清はそのパンチに思いっきり、カウンターを合わせた!
ドスンッ!
井口は倒れた!
そのまま起き上がる事は無かった!
カメラは清を写した!
清はスポーツ紙の1面を飾った!
モンスター井口を1発で倒した男!
井口陣営は慌てた!
大手王拳ジムは巨額の契約金を払って、モンスター井口を
獲得したのであった。
王拳ジムは井口との契約を破棄し、清へジムは移籍を進めた。
もちろんジムにも移籍金として大金を積んだ!
絶対お前を手放さないと言っていたトレーナーも
大金を積まれた途端、態度が変わった。
これが大人の事情と言うやつなのだろう。
清はガンとハネ就けつけるつもりだったが、トレーナーの
変わりように、ジム経営も大変だなと感じ取り
素直に従った。

清は大手王拳ジムに移った。
しかしそこは清が思った以上に凄い所だった。

清は有名な大手王拳ジムに移籍した。
そこはビル全体がボクシングジム!
「ここが王拳ジムなのか!
凄い!今までの所とは大違いだぞ!」

清はジムの中へ入った。
バシバシバシバシ!
コラーッ気合を入れろ!
凄い活気だ!
何十人もの練習生が練習をしていた。
清が入ると、皆が一斉に清の方を見た!
…あれがあのモンスター井口を1発で倒した男か?
信じられない!
あの井口を1発で倒すなんて…。
井口は、ここ王拳ジムと契約していて、彼の凄さはみんな知っていた。
しかしこの清に敗れた事で、契約は破棄され、ここを追い出されていたのである。
厳しい世界である!

「よう来たな!俺がお前のトレーナー担当の渡辺だ!」
ガッチリとした体格!
何故か頭に鉢巻を巻いている!
「始めまして、清、松本 清と言います。よろしくお願いします。」

…あれが井口を破った男なのか?全然強そうじゃ、ないぞ!…。

色んな声が聞こえて来る。
「良いか!ここは力の世界だ!強いも者はのし上がり
弱い者は追い出される!
あの井口もお前に敗れ、ここを追い出された!
そしてお前がやって来たのだ!
お前の周りは敵だらけだ!
お前を倒して上に上がろうと思っている奴は沢山いる!
気合を入れて行かないと、すぐに追い出されるぞ!
分かったか!」
「ハイ!」凄い世界だ!
翔太くんの世界もボクシングの世界も本当に厳しい世界なんだなぁ。
でも、僕は負けない!
絶対にやり遂げて見せる!

「良し、それじゃ早速練習だ!
さっさと用意しろ!」
清は休む間も無く、早速練習だ!
もちろんそれくらいの覚悟はして来ている!
「まずはこの縄跳びだ!
俺が良いと言うまで、飛び続けていろ!」
清は無造作に縄飛びを渡された。
「ハイ!」
良かった!いきなりスパーリングとかさせられるんじゃ無いかと
心配してたんだ!
しかし周りのみんなはニヤニヤしてる!
ワタやんの地獄の縄跳びが始まるで!
清は飛び始めた。
「もっと早く!」
ピシピシピシ…。
清の縄跳びの音が響く!
10分!20分!30分!1時間!
まだ続く!
なんと2時間ずっと飛びっぱなしだった!
ハアハア〜ハアハア〜
バカヤロー!
ここじゃ、これくらい当たり前なんだよ!
ワタやんの怒鳴り声が響く!
「ハイ!分かっています!」
「ほう〜、良い根性だ!」
次はシャドーボクシングだ!
清は鏡の前でシャドーを始めた。
シュッシュッシュッ!
ワタやんと呼ばれているトレーナーはじっと清のシャドーを
見つめていた。
清は基本に忠実にジャブジャブジャブと続け
ワンツーワンツーと今まで教えられていたシャドーをしていた。
そして徐々に他のパンチも放って行った。
段々目の前に対戦相手が浮かんで来た!
目の前に影山の影が浮かんだ!
影山がパンチを繰り出す!
清はそれを避け、パンチを出す!
影山もそれを避け、鋭いパンチが返って来た!
壮絶な打ち合いだ!
清はスッテプ踏んでリズム良く動く!
段々清のパンチが影山を捉える!
しかし影山もパンチを繰り出す!
影山の強烈なパンチが清を捉えた!
ダメだ!避け切れない!
清は強烈なパンチを受け倒れた!
ふと気付くとそこは王拳ジムのシャドーボクシングの鏡の前だった!
「何をやってるんだ!」
トレーナーのワタやんが睨んでいた!
いや、他の練習生までもがこっちを見ていた。
そう、他の者にも影山の影が見えていたのである。
シャドーボクシングとは、その名の通り、シャドー、相手の影を想像して
パンチを繰り出すのだ!
「良し、清!リングに上がれ!」
ワタやんがミットを構え、リング上で清を呼んだ!
清は一心不乱にワタやんのミット目掛けてパンチを繰り出した。
清は無我夢中だった。

201404012105248c5.jpg


「おう!ワタやん、どないな具合だ?」
そこに会長がやって来た。
「ええ、まあまあですね。」
ワタやんはそっけなく言った。
「そうか…。でもお前がこんなに力入れているのは
久しぶりだな。ふふふふ。」
会長は機嫌良さそうに笑って言った。

「良し、次はスパーリングや!誰か相手してやってくれ!」ワタやんがそう言うと
「俺にやれせてくれまへんか?」
声を出したのは井口のライバルとして競い合っていた松田だった。
松田は高校5冠を獲得していた。
妥当井口を目指していた。
その井口がやられた!
あの井口が…。
自分が何度挑んでも勝てなかった井口が…。
どんな凄い奴が現れるかと思っていたら
こんなチンケな野郎だとは!
俺がこいつをやっつけ俺の方が上だと思い知らせてやる!
清と松田は向き合った!
清は異様な雰囲気を感じた!
この人は本気だ!
気を引き締めて行かないとやばいぞ!
「良し!2分の2ラウンド!始めるぞ!」
カーン!
スパーリングは始まった。

清はスッテプを踏みジャブを出す、松田もジャブを打って来た。
シュッ!バシッ!
凄い!ジャブと言うよりストレートだ!
メチャクチャ伸びて来る!
避けたつもりがモロに当たって来る!
それにスピードが速い!
打ったと思ったら離れ、蜂のように刺し、蝶のように舞う!
正に芸術!
清はレベルの違いを感じた!
清は一方的に打たれ続け、なんとか2分耐えた。
1分間のインターバルの間、清は松田の動きを思い出していた。
松田のスッテプ!
パンチの出し方!
2ラウンド目!
清は松田の動きを真似した!
松田のスッテプを物にしたかった!
素早く動くんだ!
「こいつ!松田のスッテプを自分の物にしようとしている!
なんて吸収の早いやつなんだ!」
ワタやんは清の貪欲さを感じた。
「こいつは強くなるかも知れねえな。」
松田がパンチを出す!
清は軽く避ける!
清は松田がパンチを繰り出す前に一瞬肘を下げる事に気が付いた。
良し、今度はパンチに合わせて打ってみよう!
松田の肘が下がった。
それに合わせ清もパンチを繰り出す!
ドンッ!
モロにカウンターが松田の顔面に決まった!
松田は尻もちをついた!
2014032704254664c.jpg

おおおッ!
カーン!
ここでゴングが鳴った。
なんて奴だ!
この短い時間に松田のスッテプを物にし、しかも松田の動きを読んで
カウンターを決めるとは!
「こいつは拾い物かも知れないぞ!」
ワタやんは思わず声に出して呟いた。



ドローイング・バック その2

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

百合子のとの恋。
清はボクシングに燃えていた。
ボクシングに燃える清は素敵だが、私の入る隙間はない。
その度、思うのは翔太の優しさであった。
気が付けば、思っているのは翔太の事ばかり
そしていつの間にか翔太に会いに行っていた。
そんな私を翔太は優しく迎えてくれた。

清のプロテストの日も翔太と応援に行った。
相手は何と今話題のモンスター井口!
私には良く分からないが、アマチアでは無敗の負け知らずだそうだ。
しかし清は落ち着いている。
昔の清の姿ではない。
翔太の時の清でも無い。
本当に成長したんだわ。
まるで蛹が蝶に成ったように。。。

いよいよ清くんの番だ!
相手はゴングと同時に物凄いスピードで清くんに襲った!
そして信じられない事が起こったの!
襲いかかった方の相手の井口の方が何故か倒れている!
それで終わった。
翔太さんが、クロスカウンターや。。。と言った。

清くんにこんなにボクシングの才能があったなんて知らなかった。
ただ打ち込める物が出来て、良かったね。
と思う程度だったのである。

清は大手有名ジムに移籍する事になり、この町を離れると言う!
私はどっちが好きなの?
清がこの町を離れる時、翔太に言った。
「翔太さん、百合子さんはあなたを愛しています。
幸せにして上げて下さい。」
「そうか、分かった!ボクシングの世界は厳しいぞ!
弱音を吐くんじゃないぞ!」
「はい、分かっています!」
「清くん!頑張ってね!2人で応援するからね!」
清は旅立った!
私は翔太と彼を見送った。

トレーナーの渡辺は現役時代の事を思い出していた。
30年前、渡辺は日本バンタム級チャンピョンに挑戦していた。
渡辺はファイターだった。
渡辺はこの試合に全てをかけていた。
前の夜、彼女の典子に明日の試合、勝ったら結婚してくれ!
そう打ち明けていた。
典子はスーパーの事務をしているちいちゃくて可愛い子だった。
「俺は日本チャンピョンになってお前を幸せにしたいんだ!」
典子は涙を流して
「うん、頑張って…。」
そして心の中で、私はどんな事があっても貴方についていきます。

しかしチャンピョンはこの試合に勝ったら、次は世界チャンピョンに挑戦
しようとするボクシング界注目のチャンピョンだった。
KO率90パーセント以上のハードパンチャー!
なんと15戦全勝!のチャンピョンだった。
渡辺は9勝3敗。
やっと掴んだタイトルマッチだ!
渡辺は前の日は寝付かれなかった。
目を瞑れば、自分がノックアウトで倒される場面ばかりが
目に浮かんだ!
クソーッなんでこんな場面ばかりが目に浮かぶんだ!
絶対勝ってやる!
チャンピョンになるんだ!

試合は始まった!
渡辺は打ち合った!
渡辺はハードパンチャーだ!
チャンピョンは打てば離れ、そして思わぬ所からパンチが飛び出し
渡辺の顔面を襲った!
渡辺のパンチは空を切る。
ドンッ!
渡辺のマウスピースが飛んだ!
渡辺の身体が静かに崩れて行った。
立て!立つんだ!ワタやーん!
渡辺は立ち上がった。
カーン!
そこでゴングがなった。
渡辺はゴングに救われた。
ハアハアハア…
「ワタやん、大丈夫か?」
トレーナーは心配そうに聞いた。
「はい、大丈夫っす!」
ワタやん、頑張って…。
典子は祈った。

ゴングがなった。
勢い良く飛び出してくるチャンピョン!
まだ先ほどのダメージが残るワタやんに襲いかかる!
渡辺はガードを固めた。
ドスンドスンッ!と重いパンチがワタやんを襲う!
グッ、もうダメだ!
「ワタやん!」
典子の声が聞こえた!
クソーッ!
俺は彼女を幸せにするんだ!
ワタやんの魂を込めたパンチがチャンピョンのアゴに炸裂した!


201403310258214c9.jpg

チャンピョンは倒れた!
この時、チャンピョンの世界タイトルへの夢は崩れ去った。
チャンピョンはマットに沈んだ。
ワタやんの右腕が上がった!
「典子!やったぞー!」
渡辺は叫んだ!
渡辺はこの後、3度日本タイトルを防衛して、引退した。
今はこの大手王拳ジムの名トレーナーとして活躍している。

「ふふふ…。久しぶりに鍛え甲斐のある新人が入って来たぜ!」
ワタやんと清のコンビは世界タイトルを目指して茨の道を歩むのである。

ドローイング・バック その3

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

ワタやんトレーナーとの厳しい練習は続いた。
マラソン選手じゃ無いかと言うほど走らされた。
お前の体力はまだまだだ!
スタミナを付けるんだ!
最後に物を言うのはスタミナだ!

そして激しいミット打ち!
バシバシバシバシバシバシバシバシバシバシ!
清は休む間も無く打ち続けた!
右!左!
アッパー!フック!
ストレート!
ジャブジャブ!

「よーし!今日はここまでだ!」
もうすっかり日も落ちていた。
「はい、ありがとうございました!」
王拳ジムに移籍して、毎日厳しい練習が続いたが、清は辛いと思った事は
1度も無かった。
またジムのみんなとも打ち解け、楽しい日々を過ごしていた。
清の頑張りをみんなも認めていたのだった。

「へー、期待の新人ボクサーってあんたの事なの?
もっとごっつい人かと思っていたわ。」
清がグローブを外していると女の子が話しかけて来た。
ショートヘヤーで活発そうな女の子だった。
「君は誰だい?」
「私はミキ!」
そう言った途端、パンチを繰り出して来た!
ピシュッ!シュッ!
素早いパンチだ!
「うわっ!」
清は驚いて、尻もちを着いてしまった。
「アハハハハハ〜だらしなにのね!
期待の新人だなんて笑っちゃうわ!」
ミキと名乗る女の子は笑った。
「びっくりするじゃ無いか!」
清は立ち上がって言った。
「私は弱い男は嫌いなの!
みんな男と言うだけでは威張っちゃってさ!
嫌になっちゃうわ。」
全く勝気な女の子である。
「僕は威張ったりしないよ。」
「フン、それはあなたが弱いからよ。」
「そうなんだ、僕は弱くて虐められっ子だったんだ。
でも、もう逃げるのはやめたんだ!
どんなに辛くても最後までやり遂げると誓ったんだ!」
清は言った。
誰に語り掛けるとは無く、つい最近まで虐められっこだった自分を思い出していた。
「へッ、虐められっ子だったなんて、ちゃんちゃら笑っちゃうわ!」
シュッシュッシュッ!
ミキは清に向かって、またパンチを繰り出した!
清は風が流れるようにミキのパンチを避けた。
「え?何?今の…。」
清の流れるような身のこなしに驚いていた。
ミキは今度は本気で清にパンチを打ち込んだ!
清は微笑みながら、軽くミキのパンチを避けた。
ミキはムキになって、踏み込んでパンチを打ち込む!
それでもミキのパンチは軽くかわされた。
「あなた、一体何者?」
「それは僕の台詞だよ。
僕は松本清、一週間前からこのジムでお世話になっているんだ。」
「私は渡辺ミキ!
私のパンチをあんなに軽くかわされたのは初めてだわ!」
「渡辺…?それじゃ、君はワタやんの娘さんなのかい?」
「ふふふ…そうよ。あなたの事は父から良く聞かされているわ。
どんな子なのか気になって、ちょっと試して見たの!
あなた気に入ったわ!
私、彼女になって上げる。」
「ええっ?」
「あなた彼女いるの?」
「いや、いませんけど…。」
「じゃ、決まりね。」
清はミキの一方的なペースに呑み込まれていた。
百合子の事が頭をかすめたけど、ミキの明るくテンポの良いペースは
清にとっては心地良かった。
20140401212102abe.jpg


そこにワタやんが戻って来た。
「おおっ!ミキ来ていたのか?
こいつは俺の娘のミキだ!
全くお転婆で困ってるんだ!
こう見えてもボクシングは結構センス良いんだぞ。」
ワタやんはすっかりお父さんの顔になっていた。
そして清に小さな声で言った。
「もし、娘に手を出したらブッ殺すからな!」
その顔は今まで見たワタやんの中で1番怖い顔だった。

ドローイング・バック その4

みなさん、ご訪問ありがとうございます〜♪


清とワタやんの厳しい練習は続いた。
清は王拳ジムに移籍するにあたり、ジムの寮に入って
こちらの高校に転校していた。
1年の時はいじめらっ子で、マンションの上から飛び降り自殺をしたはずだったのに
気が付くと、悪の帝王と恐れられていた翔太くんと入れ替わっていた。
翔太くんの身体で沢山の対決をし、影山くんとの対決で凄い蹴りを食らって
意識が飛んだ時に、元のこの身体に戻っていた。
翔太くんは僕の身体を鍛えてくれていて、この身体に戻った時は以前の僕からは
考えられないくらい丈夫な身体になっていた。
翔太くんの魂に身体の全ての機能が反応した結果だと思う。
翔太くんのお陰で、僕の身体は研ぎ澄まされていた。
翔太くんの身体で格闘技を学ぶ内に、翔太くんがこれまで体験していた
格闘技が僕の心に浸透して行くのを感じた。
そして僕はボクシングに魅了されて行った。

僕は元の身体に戻っても、ボクシングを続けた。
ある日、トレーナーのケンさんからプロテストを受けるように進められた。
夢みたいだった!
17歳になって、年齢が達した時にプロテストを受けた。
そしてプロテストの相手が高校のボクシング大会を全て制した。
モンスターと呼ばれていた井口さんだった。
井口さんは王拳ジムと契約されていて、王拳ジム期待の選手だった。
そのモンスター井口さんをプロテストの時に倒してしまい
井口さんは王拳ジムから契約を破棄され、ジムを追われた。
そして僕がこの王拳ジムに呼ばれたのだった。

この春、僕は高校3年生になった。
ジムの寮から高校に通った。
朝のロードワークの後、学校に行き、授業が終わるとすぐにジムに戻り練習をした。
3年生になって、クラスが変わった。
進学クラスとそうでないクラスと分かれた。
僕のクラスは比較的不良と呼ばれる生徒が集まっていた。
今の僕はボクシングが全てだったので、高校ではあまり目立たないようにしていた。
不良達から絡まれても、サラリと交わすことが出来た。
今の僕からすれば、彼らのパンチなど、スローモーションのように見えた。
そんな中、1人の男子生徒が虐められているのに気が付いた。
泣きながらパンを買いに行かされ、こずかいを取られ
後ろから蹴られ!
クラスのみんなから笑われ
それは虐められいた頃の僕その物だった。

何故やり返さないんだ!
何故、立ち上がろうとしない?

虐められいたあの頃にそんな事が出来ただろうか?
自分は結局何も出来ずに彼らを怨みながら自殺したんだ!
清は涙を流していた。
今の清にとって、彼らをやっつける事は簡単だった。
しかし清はじっと耐え、彼を見守っていた。
自分で立ち上がらなければダメなんだ!

新しいクラスにも馴染んで来ていた頃。
清は虐められっ子の存在に気付く。
中本浩一。
彼は泣いていた。いつも虐められて泣いていた。
ある日、彼が清に話しかけて来た。
「清くんはどうして虐められないの?
体も僕とあまり変わらないのに。」
話し方もウジウジしていた。
「僕も昔は虐められいたんだよ。
今の君より、もっともっと酷かった。
今の君は昔の僕とウリふたつさ!」
清はあの頃を思い出しながら言った。
「え?なんだそうだったの?
じゃどうして今は虐められ無くなったの?」
浩一が清を見る目が変わった。
清は虐められ無くて、自分だけが虐められる不公平さを表していた。
「自分で立ち上がらなければ、何も解決しないよ!」

そこに虐めっ子の不良達が絡んで来た。
「ヘイヘイ〜♪ちっこいの2人が連んでなに話しているんだ?」
如何にも意地悪そうな奴が言った。
201404022252339f9.jpg

「浩一くん、良く見ているんだよ。」
そう言うと
「僕には関わらないでくれ!」
キッパリ清が言うと
「なに!チビのくせに生意気だぞー!」
そいつが殴りかかって来た!
清はサラリと交わすと男は勢い余って窓際の壁に当たって、床に倒れた。
そして清はそいつを睨み付けて言った。
「おい、お前!逆に僕がお前を虐めてやっても良いんだぞ!
2度と僕に絡んで来るな!」
その顔は般若の様だった!
「おい、こいつはヤバいよ!」
もう1人の奴が言って
不良達は怯えて逃げて行った!

浩一はまるで信じられない物を見たと言った感じで清を見ていた。
「凄い!清くん凄いよ!」
浩一は信じられなかった。
自分と大して変わらない清が意図も簡単に不良達を追い払った!
まるで魔法を見ている様だった
浩一は清を憧れの目で見た。
「どうしたらあんな風になれるんの?」
清は空を見上げてこう言った。
「自分の心に信念を持つんだ!
絶対に負けない心!
どんな事があっても折れない心!
そうすると君も変われるよ!」
「折れない心…。負けない心。」
清は左手を構えて、肩から真直ぐ打ち込んだ!
ビュッと言う音がした。左ジャブだった。
「良いかい?左拳を軽く握り、素早く前に出し
素早く元に戻す!それを毎日、毎日繰り返すんだ!
浩一くん、出来るかい?」
「うん、やって見るよ!」
これが清と浩一との出会いだった。


ドローイング・バック その5

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

清の学園生活を描いて見ました。
ボクシングに専念するため、学校では目立った事をしない。
終わると直ぐにジムに向かう生活をしていた。
虐められている浩一を見ても自分からは関わろうともしなかったが
浩一から話しかけられた。
そこに虐めっ子の不良達が…。
しかし意図も簡単に不良達を追い払う清!
自分と体格も殆ど変わらない清がどうしてあんな事が出来るのか?
浩一は魔法を見ているような気分だった。
清は浩一にジャブの打ち方を教えた。

浩一は黙々と毎日ジャブを打ち続けた。
「素早く前に出して素早く引く!」
ただただ、それだけ!
浩一は変わって行くのだろうか?


清は虐めっ子の浩一を見て、昔の自分を思い出していた。

浩一は毎日ジャブの練習をした。
清から教えてもらった通り、素早く出して素早く元に戻す!
幾度も幾度も!
「なかなか上手く行かないなぁ。
清くんみたいにビシュってカッコ良い音がしないんだ。」
浩一は暇さえあれば、何度も何度もパンチを繰り出していた。
これがあんなに凄いパンチだとは全く気付いていなかった。

清はそんな一途な浩一を見ていた。
少し浩一の目が輝きだした様な気がしていた。
虐めっ子は相変わらず浩一に絡んでいたが、清が見ているのに気が付くと
おぞおぞと立ち去って行った。

「清くん!
何だか僕、あれ以来あまり虐められ無くなった様な気がするよ。
清くんのお陰だね。」
浩一は嬉しそうに清に言った。
「うん、浩一くんも元気が出て来ているよ。
後、スタミナ付けるためにランニングとかもしたら良いよ。」
シュッ!シュッ!ビシュッ!
清はジャブジャブ!ストレート!
ワンツー!ワンツー!とパンチを繰り出して見せた。
「うわっ!清くん!凄い!」
浩一も真似してパンチを繰り出して
「全然上手く行かないや。。。」と笑った。

浩一は清のパンチを思い出しながら
ワンツー!ワンツー!と何度も何度も練習していた。
僕も清くんみたいになるんだ!
もう、虐められたく無い!

浩一は清が言う通り、ランニングにも挑戦して見た。
しかしちょっと走っただけで息切れした。
ハアハア〜ハアハア〜
これはキツイや…。
無理もない。
今まで運動とは程遠い生活をして来ていたのだから
それでも清くんみたいになりたいと浩一は続けた。

不良達の不満は溜まっていた!
憂さ晴らしに浩一を虐めていたが、清が見ているのであまり無茶なことは
出来ない。
その日は清はボクシングの練習の都合で学校を休んだ。
不良達は浩一が1人になったこの日を逃さなかった!
浩一は不良達に取り囲まれた!
「イ〜ヒヒヒ!
今日はお前1人だ!助けてくれる相棒はいないぜ!
今ままでの鬱憤を晴らさせて貰うぜ!」
ドンッ!
浩一はイキナリ後ろから蹴られた!
「イ〜ヒヒヒ!お前1人じゃ、何も出来ないんだよ!
彼奴がそばにいてたから俺たちは遠慮してたんだよ!
イ〜ヒヒヒ!
お前が1人になるこの日を待ちわびていたぜ!」
不良達は面白がって何人も何人も集まって来ていた。
「清くん〜助けて…。」
「わーははは!彼奴はいないぜ!わーははは!」
この前の意地悪そうな不良がそう言って殴りかかって来た!
浩一は頬を殴られ、蹴られ蹲った。
…結局何も変わっていないんだ…
…清くんがいないとダメなんだ…
その時、清の言葉が頭をかすめた。
…折れない心!負けない心!…
うおぉぉぉぉぉおお!
浩一は立ち上がった。
「オッ、こいつ偉そうに立ち上がったぜ!」
不良達が笑いながら、また殴りかかって来た!
浩一は無意識の内にジャブを繰り出していた。
バッシ!
それは不良の顔面に直撃した!
ぐわっ!
不良は倒れた!
「キサマーッ!」
不良達は殴りかかって来た!
バッシ!バッシ!バッシ!
それは面白いように不良達の顔面にヒットした!
あっと言う間に不良達は倒れ込んでいる。
立ち上がった不良が浩一に襲いかかった!
クソーッ!
バシッ!パンチは不良を撃ち抜いた!
不良は倒れた!
20140406180603d77.jpg

キャーッ
女生徒の声で浩一は我に返った。
どうしちゃったんだ。
周りは不良達が倒れこんでいる。
なんとジャブ一つで不良達を倒してしまった浩一。
浩一は恐くなってこの場から立ち去った。

どうなっちゃたんだろう?
清くんから教えてもらったパンチがあんなに威力があったなんて…。


清はデビューに備えて黙々と練習していた。
スパーリングの数も増やしていた。
「ダメだ!ダメだ!もっと打ち込め!」
ワタやんの厳しい声が飛んだ!
「ふーっ」
「清!デビュー戦が決まったぞ!1ヶ月後だ!
相手はアニマル浜田!
今売り出し中の連戦連勝のアニマル浜田だ!
負けんじゃねーぞ!」
「ハイ!」
いよいよデビュー戦か。。。
武者震いするのを感じた。

プロテストであのモンスター井口を一発で倒した男!
デビュー戦の相手はなかなか決まらなかった。
同レベルの選手達はみんな怖れて逃げていた。
うちの大事な選手をそんなのにぶつけられない!
そんな中、名乗りを挙げたのがアニマル浜田陣営だった。
しかしアニマル浜田はかなりの格上!
とてもデビュー戦で戦うような相手ではなかった。
アニマル浜田陣営の思惑は見え見えだった。
連戦連勝とは言え、まだまだ無名のアニマル浜田。
話題の清を倒し、アニマル浜田の知名度を上げるには持って来いだった。
しかし王拳ジムの会長は考えた!
プロモーション的には面白い!
連戦連勝のアニマル浜田対モンスター井口を一発で倒した男!
デビュー戦はこれくらい派手な方が良い!
フフフ…これは稼げるぞ!
ここで負ける様では彼奴もそれまでの男と言う事だ!
この世界は力が全てなんだ!


「ケッ!なんで連戦連勝の俺様の次の相手がデビュー戦のガキなんだよ!」
浜田はジムの会長に食ってかかった。
「相手はあのモンスター井口をプロテストで一発で倒した男だ!
話題性には持って来いだ!
これでお前の知名度も上がる!
力が全てのボクシングの世界でも話題性はあった方が良い!」
会長は訳ありげに笑った。
「ケッ!モンスターを破った奴だろうが俺様の敵じゃ無いぜ!
俺は世界チャンピオンになるんだ!」
2014040700023290d.jpg

清が学校に出るとちょっと様子が変わっていた。
不良達の姿が見えない。
そして何となく浩一の雰囲気も変わっていた。
あのいつもオドオドしていた浩一が
自信に溢れた目をしていた。
「あ、清くん!君から教わったパンチ!
スゴイよ!スゴイよ!
昨日、清くんが休んでたから
僕、不良達に囲まれて、やられていたんだ!
蹴られて殴られて、蹲っていたら
君の言葉が頭に響いたんだ!
負けない心!折れない心!
すると僕は無意識の内にパンチを出していた。
君から教わったパンチを!
あんなに凄いパンチだとは知らなかったよ!
もう僕は虐められない!
清くん!ありがとう!」
なんと言う事だ!
ジャブは、ボクシングを始める時に1番最初に教わる
基本中の基本!
そのジャブだけで不良達をやっつけるなんて
そうとう練習していたんだね。
浩一の努力が目に浮かぶ様だった。
清はこの努力が大事だと感じていた。
例え今回のような成果が得られなかったとしても
それに立ち向かう努力と勇気が大切なんだ!
浩一くん!君は素晴らしいよ。

しかし浩一は段々変わって行く!
今まで虐めていた不良達に復讐するかの様に
逆に不良達を追い込んで行った。
これもまた自分と一緒だなと清は思った。
浩一が短期間にどれほど強くなったのかは分からない。
不思議な力が浩一にも宿ったのだろうか?
しかしいつかしっぺ返しを受けるだろう。
その時に力だけが全てじゃ無いと気付く時が来るのかも知れない。

清は自分の練習に専念することにした。絶対に負けられない!
それは相手も同じだった。

そしてデビュー戦の日はやって来た!

トローイング・バック その6

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

いよいよ清のデビュー戦!
楽しみですね。

晴れ渡る空。
清はデビュー戦を迎えた。

「良いか、ハードパンチャーは沢山いる!
今日の相手のアニマル浜田も屈指のハードパンチャーだ!
そしてお前がプロテストで破ったモンスター井口もハードパンチャーだった。
お前の武器はカウンターだ!
お前のカウンターは天性の物がある!
それを肝に銘じて戦うんだ!」
昨日のトレーナーワタやんの言葉が頭をよぎる。
20140413052235207.jpg


「そうだ!如何に相手の力を利用するか
タイミングを測らなくちゃ勝てない。」

何と試合会場にはTVカメラまで来ていた。
モンスター井口の特番を組んでいたTV局がプロテストで敗れた事で
清に乗り換えていたのであった。
アニマル浜田陣営は清に勝って
このプロジェクトを浜田の方に向けさせようと目論んでいた。
どっちにしてもお互いこの試合に勝たないことには話にならない。
勝った方が上に上がって行くのである。

清に敗れたモンスター井口は活動の場をアメリカに移していた。
そして本場アメリカで衝撃デビューを果たしていた!
なんとデビュー戦で州チャンピオンのカルロスを1回2分3秒でノックアウト
していた。
カルロスは世界チャンピオンに1番近い男と評されていたのである。
アメリカボクシング界に衝撃が起こった。
そしてアメリカボクシング界に井口旋風が起きていた。
井口は2試合目もKO勝利をした。
井口の強さは本物だった。
その井口にプロテストとは言え、井口の人生にとって初めて土を着けた男。
それが清だった。
そしてその井口もお忍びでこの清のデビュー戦を見に来ていた。

アニマル浜田は屈指の強打で対戦相手をマットに沈めて来た。
浜田は自分のパンチに絶対の自信を持っていた。
俺のパンチを受けて立っていられる相手はいない!
世界チャンピオンだって1発で倒して見せるぜ!

モンスター井口がいない中、この階級では日本でおそらく最強の
選手だろう。
この相手に清はどう戦うのか?

会場の隅で井口はひっそりと見ていた。
プロボクサーの父を持ち
幼い頃からボクシング漬けの家庭に育った。
小さな時から色んな大会に出場し、全て勝ち抜いて来た。
いつの間にかモンスターと恐れられるようになっていた。
プロテストも形式だけの筈だった。
相手は見るからにひ弱で、虐められっ子が
イジメられるのが悔しくてボクシングを始めた典型的な子だった。
本気で行ったら、相手を再起不能にしてしまう。
手加減と言うより、形だけのスパーリングの積りだった。
軽くパンチを出した所に凄く強烈なカウンターを喰らった!
そのあと気が付いたのは控え室で周りにドクターがいた。
そして全てを失くしてしまっていた。
ジムとの契約も白紙に戻され、TV局も離れて行った。
全ての人間が信じられなくなった。
しかし相手の清を憎む気持ちにはならなかった。
全ては自分の油断が悪いのだ。
相手の力を計れなかった自分の未熟さが全てだった。
日本での全てを捨て、俺は単身アメリカに渡った。
一から出直しだ。

アメリカでの生活は荒んだった。
なんのコネも無い、拳だけが頼りだ。

井口は地図を片手にニューヨークマンハッタンのジムの扉を開けた。
「ヘイ、ボブ!入門希望者だぜ!」
ガタイのデカイ奴がトレーナーらしき男に声をかけた。
「へッ、なんだイエローか?
イエローが入門とは珍しいな!
ここは遊びでやっているとこじゃ無いんだ
悪いことは言わないから帰んな!」
ボブと呼ばれた男は井口を一目見ただけで軽くあしらった。
「そうかい?俺にはみんな遊んでいる様にしか見えないけどな!」
井口はボブに言った。
「なに?ワハハハこのジムが遊びに見えるのか?
面白い坊やだ。
気に入ったぜ!
グローブを着けてリングに上がんな!」
井口はグローブを着けてリングに上がった。
「おい!ジョージ!ちょっとこの坊やの相手をしてやってくれないか?
この坊やはここが遊びに見えるんだとよ!」
おい、いくらなんでもジョージとやらせる事無いだろう!
みんながビックリしてボブを見た。
ジョージはこのジム切ってのハードパンチャーだった。
おまけに狂ったブルドーザーと呼ばれる程ラフな試合運びで
スパーリングの相手をすぐ壊してしまい
スパーリングの相手さえいない程だった。
そんなジョージといくら井口でも無茶だ!
井口は無事で居られるのか?

ジョージは呼ばれリングに上がった。
ニューヨークマンハッタンのボクシングジム。
井口はただ適当にジムを訪れているのではなかった。
世界チャンピオンを多く輩出しているジム。
特に名碗トレーナーのボブ・マクワリーを目指してやって来たのだった。
201404130729205f7.jpg



「ヘイヘイ、ボブ良いのかい?」
ジョージはボブに言った。
「ああ、気合を入れて行けよ!」
ボブの目が光った。
カーン
ゴングは鳴った。
勢い良く襲いかかるジョージ!
流石本場アメリカである。
動きも速い!
パンチも重い!
ドスンッ!ドスンッ!
ガードの上からでも平気で打って来る!
井口がジョージのパンチをよけ、ボディに一発パンチを放った!
ドンッ!
ジョージの顔色が変わった!
井口は表情を変えずパンチを打ち込む!
ズドンッ!ズドンッ!
ジョージが後退する。
みんな驚きの声を上げた!
あの狂ったブルドーザーと呼ばれているのジョージが後退するなんて!
それでも井口はボディを打ち続ける。
ジョージは堪らずマットに膝をついた。

うおおおッ! なんと言うことだ!
みんなは歓声を挙げた!
「ようこそ!井口!」
ボブは井口に向かって声をかけた。
「え?俺のこと知ってるんすか?」
「ああ、君の情報は掴んでいた。
アメリカに渡り、このニューヨークに来ている事も分かっていた。
絶対このジムに来るだろうと思っていたよ。
我々のジムは情報網は発達している。
君の事はずっと前からマークしていたからね。」
流石情報社会のアメリカである。

こうして井口のアメリカでのボクシングが始まった。
井口は徹底的に鍛え直された。
「良いか!ここにはお前クラスの奴は五万といるんだ!
勝ち上がって行かないとお前に明日は無いぞ!」
フッ、そんな事は百も承知している。
それを体験して、ここにやって来ているのだから。

ボブの練習はハードだった。
「これだ!俺が求めていた物は!」
井口は楽しむ様に練習をこなして行った。
井口の練習に取り組む姿勢!
練習量!ともにこのジム1番だった。
マイペースで練習をこなしている他の選手達とは明らかに違っていた。
「ジャパニーズは良く働くと聞いていたが、練習もこんなにやるなんて
まったく驚きだよ。」
他の選手達は井口の練習量に舌を巻いていた。

浩一も清のデビュー戦に応援に来ていた。
もちろん翔太や百合子、影山や獄山、神田も来ていた。
会場は大盛り上がりだった。
正直タイトルマッチでもないのに、こんな事は初めての出来事である。
モンスター井口を破った実力は本物なのか?
それともただのビギナーズラックだったのか?

「いよいよ清くん、デビューするのね。相手の浜田さんって強いの?」
百合子は一緒に来た翔太に聞いた。
「ああ、相当強い!実は俺は1度あいつと戦った事がある。
あいつのパンチは本物だった。
一発一発が重くて強かった!
俺がボクシングを始めたのも奴と出会ったからだ。
もちろん俺は喧嘩に忙しくて、本格的にプロを目指す事はなかったがな。
チクショウ!血が騒ぎ出したぜ!」
翔太は拳を握りしめて言った。
「へー!翔ちゃん、浜田さんと戦った事あるの?
で、どうだったの?」
「バカヤロー!俺様が負けるわけ無いやろ!」
確かに勝ちはしたが壮絶な戦いだった。
しかし身体の大きさからすると負けも同然だったかも知れない。
最後は体力に勝る翔太が立っていた。
それ程強い相手だった。
その浜田と清が戦うなんて、何かの縁なのかも知れないな。

「清!力を抜かなあかんで!
うち応援してるかな!
頑張りや!」
押し掛け彼女のミキが清を励ます。
「よし!行くぞ!」
ワタやんが声をかけリングに向かった。
清には初めての試合!
おまけにデビュー戦では異例のこの観客!
アニマル浜田がこっちを睨みつけている。
如何にもすぐにでも倒してやるぞと言わんばかりである。

「良いか!冷静に相手のパンチを見るんだぞ」
ワタやんの声がこだまする。
カーン!
ゴングは鳴った!
浜田が予想通り襲いかかる!
バシッ!バシッ!
浜田のパンチに翻弄される清!
「バカヤロー!落ち着くんだ!そんなパンチよけれるやろー!」
ワタやんが声を張り上げた!
バシッ!バシッ!
浜田の猛攻は続く!
201404131531055f5.jpg

強い!浜田!
強過ぎる!
連戦連勝の浜田!
しかも全てKO勝ちだ!
落ち着け!落ち着くんだ!
清は自分に言い聞かせた。

アニマル浜田の猛攻になす術が無い清!
落ち着け!落ち着くんだ!清!
ガードを上げろ!
浜田のパンチが清の顔面を襲った!

つづく

トリーイング・バック その7

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

〜これまでのあらすじ〜
イジメられっ子の清と悪の帝王の翔太が入れ換わってしまった。
翔太の身体を使って色々な強敵と格闘する清。
イジメられっ子になってしまった翔太。
ひ弱な清の身体を鍛え直す。
最強の相手影山との戦いの途中、2人の身体は元に戻った。
2人とも成長して行く。
元の身体に戻った清はボクシングを始めた。
プロテストの相手はなんと高校時代全ての大会を制したモンスター井口だった。
井口をプロテストで倒した清。
いよいよデビュー戦を戦う。デビュー戦の相手は格上の連戦連勝のアニマル浜田だった。

〜〜〜始めから読む人は、ココ「月と太陽」をクリック

清と井口、終生のライバルとなるのです。
プロテスト、油断していたとは言え
あの井口を一発で倒すことなど不可能事!
それをやってのけた清。
井口は辛くなるとその事を思い浮かべ
あの悔しさをバネにして歯を食いしばるのです。
井口の才能をさ更に研ぎ澄ます!

井口は、描いていてとても魅力的な人物です。
プロテストでやられた清を憎まず、自分の未熟さを痛感する井口!
それを糧に1から出直す。
しかし才能は裏切らない。
更なる努力で這い上がる。
名碗トレーナーのボブの元、身体を鍛え直しメキメキ才能を開花する。
モンスター復活!
いやパワーアップしたモンスター!
アメリカのボクシングファンをも魅了する。

ボブは言った。
「あいつは俺の言ったことをドンドン吸収する!
こんな素晴らしい選手は初めてだ!
奴を世界チャンピオンに出来なかったら
俺はトレーナー失格だ!」

ボブは井口のデビュー戦をいきなり州チャンピオンのカルロスにぶつけた。
普段だったらこんなマッチは実現しない!
デビュー戦でいきなり州チャンピオンに挑戦することなど常識破りだ!
しかも相手のカルロスは実力ナンバワンの選手だった。
それだけに全米はこの井口に注目した。
みんなはカルロスの世界戦へのウォーミングアップとしか見ていなかった。
しかしそのカルロスを1回でマットに沈めた。
井口とは何者だ?

「全く奴にはワクワクさせられるぜ!
あのパンチの破壊力は凄いぜ!
しかもそれをひけびらかさない。
だから奴のパンチを受けたやつはたまげるだろうぜ!」
ボブは井口が可愛くて仕方が無いと言った感じだった。
ボブはすっかり井口に惚れ込んでいた。
この名将ボブを虜にさせるとは全く凄い事なのである。


アニマル浜田は屈指のハードパンチャーだ!
強打者との戦いは神経をすり減らす。
一発もらったらそれで決まってしまうからだ。
打ちまくる浜田!
それをブロックでかわしながらタイミングを測る清!
しかし浜田のパンチはブロックの上からでも効いてくる。

「なにやってんだ!かわせ!右に回るんだ!」
トレーナーのワタやんの声が響く!

ゴングがなりなんとか1ラウンドが終わった。
「おい!大丈夫か?」
トレーナーのワタやんが心配そうに清に声をかけた。
「ハアハア。
ハイ、大丈夫です。」
「もっとスッテプを踏んで、リズム良く動くんだ!」
「ハイ!」

カーン!
2ラウンドのゴングがなった。
またしてもパワー全開で襲いかかる浜田!
浜田はこのラウンドで決めてやると言った感じだ!
清がスッテプを踏む間も無くパンチを打ち込む!
一発一発が爆弾のようだ!
ドスンッ!ドスンッ!
浜田のパンチが清の顔面を襲った!
そのパンチに清は自分のパンチを合わせた!
浜田のパンチは清の額をかすめ
清のパンチは浜田の顎に決まった!
それは一瞬の出来事だった。
浜田は崩れ落ちた。
浜田は薄れ行く意識の中で
何が起こったんだ…?
浜田はマットに沈んだ!
レフリーが大きく手を振って試合を止めた!
観客が歓声を上げた!
20140415210920904.jpg


清のパンチが浜田の顎を捉えた!
勝負は一瞬だった。
なんで攻撃していたアニマル浜田が倒れてるんだ?
みんな信じられない様子だった!

井口は思わず立ち上がった!
「あのパンチだ!
俺が喰らったパンチも!
そうかあのパンチだったのか…。
あれじゃ立てない筈だ!」
井口は武者震いした!
「ビザの関係で、仕方なく1時帰国しただけだったが
おかげで良い物が見れたよ。」
井口は心の中で、つぶやいた。
絶対に倒してやる!
清を永遠のライバルと心に誓った。
井口はそのまま空港に向かいアメリカに舞い戻った。
井口の目に、あのカウンターが焼き付いて いた。
目を閉じるたび、あのカウンターが蘇った。

清が勝った!
周りは大喝采だ!
翔太に百合子!
影山に獄山!神田!
大喝采だった!

「清くん!凄いよ!あんな強い人に勝つなんて!」
浩一は感動していた。

「やった!」
ミキが清の元に駆け寄った!
「清!やったな!うちもうハラハラしどうしやったで!」
ミキは涙ぐんで言った。
「ミキちゃん、ありがとう!」

「見事なカウンターだったぞ。」
ワタやんが言った。

アニマル浜田陣営の目論みは見事に崩れ落ちた。
この試合は夜のスポーツ番組で何度も流れた。
王拳ジムには次の清の試合のアッファーが殺到していた。
清は日本ボクシング界の風雲児となっていた。

ボブは驚いていた。
井口がビザの関係で1時帰国から戻って来た途端
今まで以上に井口は練習に燃えていた。
まるで何かに取り憑かれたようだった。
「ヘイ!井口!飛ばし過ぎだぞ!もっと抑えろ!」
ボブは思わず井口に言った。
「本当になんて奴なんだ…。」
ボブは井口を頼もしく見ていた。

井口はその後も連勝を重ね、ついに全米チャンピオンに挑むことになった。
全米チャンピオンのマイケル・ジャックはもうタイトルを8度も防衛している
名チャンピオンだ。
井口に取っても強敵だ。
いや強敵のはずだった。
そのチャンピオンも、強烈なボディーブローで5ラウンドにマットに沈めた。
井口に取っては全米チャンピオンのタイトルでさえ、通過点でしか無かった。

止まらない井口の快進撃!
そのニュースは日本にも伝わっていた。
「井口の奴、ついに全米タイトルを取りやがった。
世界タイトルも時間の問題やな。。。
さずがモンスターや!」
ワタやんは唸った。
「清!お前も負けられへんで!
なんたって、井口を外してお前を取ったんやから
ガッカリさせんどってや!」
清にとっては凄いプレッシャーである。
しかしこの世界!
勝つしか無いのである。
勝って行く者だけが這い上がって行ける厳しい世界だ。

トローイング・バック その8

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
いつも読んでくれてありがとうございます。
昨日、誕生日を迎え一つ歳を取ってしまいました。
すっかりおじさんです。
みなさん、ご訪問ありがとうございます。

〜これまでのあらすじ〜
イジメられっ子の清と悪の帝王の翔太が入れ換わってしまった。
翔太の身体を使って色々な強敵と格闘する清。
イジメられっ子になってしまった翔太。
ひ弱な清の身体を鍛え直す。
最強の相手影山との戦いの途中、2人の身体は元に戻った。
2人とも成長して行く。
元の身体に戻った清はボクシングを始めた。
プロテストの相手はなんと高校時代全ての大会を制したモンスター井口だった。
井口をプロテストで倒した清。
いよいよデビュー戦を戦う。デビュー戦の相手は格上の連戦連勝のアニマル浜田だった。

〜〜〜始めから読む人は、ココ「月と太陽」をクリック


さて今後に展開。
少し話を進めて行きましょう。

清はデビュー戦、格上のアニマル浜田を破った。
あのハードパンチャーの浜田を見事なカウンターで破った。
会場は大興奮だった!

「僕が勝ったんだね。信じられないよ。」
清は試合のことを思い出していた。
凄いパンチの浜田、清はパンチをブロックするので必死だった。
2ラウンド目段々浜田のパンチにも慣れ、浜田のパンチが見えるようになった。
浜田が振りがざすパンチに自分のパンチを合わせることが出来た。
あれがカウンターパンチなのか。

清は練習を重ねた。
ある日、TVのスポーツ番組でモンスター井口が全米チャンピオンのタイトルを取ったと流れた。
その後も清はカウンターを武器に勝ち続け、日本チャンピオンになり
防衛を重ねたのち東洋太平洋チャンピオンのタイトルも勝ち取った。

そして井口は念願の世界タイトルに挑戦していた。
相手は伝説のチャンピオン、マイケル・ゴードンだった。
そして井口は強打でついに伝説のチャンピオン マイケル・ゴードンを
マットに沈めた。
まさにモンスターその物だった!
そして、なんと井口は初防衛戦に清を指名して来たのであった。

清はワタやんと井口の世界タイトル戦をTVで見ていた。
「しかし大した奴やなぁ。井口はお前にやられて目が覚めた感じや。」
ワタやんがつぶやいた。

王拳ジムに所属していた頃の井口は横柄だった。
高校8冠をぶら下げ鳴り物入りでジムに入って来た。
大金の契約金で入って来たと言う噂だった。

あの頃の井口は周りを馬鹿にした様な所があり
ワタやんの指導にも耳を貸さなかった。
派手なスパーリングを好み、ジムの練習生相手に
格の違いを見せつけていた。
まさに天狗になっていた。
そしてプロテストでその天狗の鼻はへし折られることになるのである。

プロテストで一発で倒され、ジムとの契約も破棄され
井口は誰にも気づかれないようにジムを去った。

あの井口が世界タイトルに挑戦している。
ワタやんは複雑な心境でTVを見ていた。
井口の契約破棄が決まった時、ワタやんは反対した!
しかし会長の態度は冷酷だった。
その会長は今頃になって後悔していた。
「チキショー!
あん時、契約破棄なんてしなければ良かった!」
ワタやんは思っていた。
「井口はおそらくあのままうちのジムにいたらダメになっていただろう。
プロテストの悔しさをバネにアメリカでは相当頑張ったんだな。
井口のプロテストでの敗北は彼に取っては良かったのかも知れない。」
そう思いながら、ワタやんは清を見つめた。

試合はチャンピオン有利に展開していた。
世界タイトルの緊張からか井口に何時もの動きが見られなかった。
身体が硬いのが感じられた。
良いパンチをもらっていた。
流石世界チャンピオンだ!
今までの相手とは違う!
中盤になっていた流れを変えたのは井口のボディーブローだった。
あのボディーブローを喰らった者は息が出来なくなり地獄の苦しみを味合う。
チャンピオンの動きが止まり、井口の猛攻が続いた。
チャンピオンついに堪え切れずにマットに沈んだ!
20140419190755a15.jpg

「ワーッ!凄い!」
清は思わず声を上げた!
そしてもっと驚く事になる!

リングの上で表彰がまだ行われている時に井口はマイクを取って叫んだ!
「清!見ているか!俺は世界チャンピオンになった!
お前の挑戦を待ってる!分かったか!」
なんと言うことだ!
井口はリンク上で初防衛戦の相手に清を指名して来たのだ!
ボクシング界は騒然とした!
清とは誰だ?

清はワタやんと目を合わせ、笑った…。
しかしその声は震えていた。


ミキは清と寄り添い歩いていた。
「ねえ、清。。。うちのジムに来て
ずっと壮絶な戦いばかりだったね。
ミキ、ずっとずっと心配していたんだから!」
清は戦うことが使命の如く、練習に励んでいた。
そして組まれる試合も格上の相手ばかり
強敵中の強敵ばかりだった!
そしてことごとくそれら強敵をカウンターで仕留め
東洋太平洋チャンピオンに輝いて、世界ランキング9位に
名を連ねていた。
そして井口からの挑戦者指名!
清陣営に取ってはまたとないチャンスで有る!
ドンドン成長する清に
ミキの恋心も大きく膨らんで来ていた。
清は恋愛とか苦手でどう言う風に女性に接して良いか分からなかったが
相性と言うものなのだろうか?
ミキとはそんな気負いも無く、素直に話せた。
「井口さんから世界タイトルの指名だなんてビックリしちゃうよね。」
「絶対勝ってや!
そして私を世界チャンピオンのお嫁さんにして!」
ミキは言った後、思わず顔が真っ赤になってしまった。
清も顔を真っ赤にして
「うん!頑張るよ!」と答えた。

井口は清とのプロテストで敗れたことをずっと引きずっていた。
その事はボブにも何度も伝えていた。
「俺はあいつと決着をつけないと本当の世界チャンピオンになれないんです。
お願いします!あいつと戦わせて下さい!」
「本当はこっちが望む相手とタイトルマッチをするのは
もっと防衛を重ねた後でしか出来ないんだがお前の望みだ
なんとか努力しよう!」
ボブは言った。
しかし本当は次の対戦相手は協会からの指名試合が入っている。
この指名試合の前に強引に押し込むのはちょっとキツイな…。
実現出来るとしても、この指名試合の後だな。
相手の清の方ももう一戦世界ランカーと戦って、世界ランキングを
上げてもらわないと興行的にはキツイ!
そう言う事で、お互いもう一戦づつ試合をこなして、両者が勝てば
清と井口の世界タイトルが実現する事になった!
なんと!清の相手は前世界チャンピオンのマイケル・ゴードンだった!
勝った方が世界タイトルに挑戦出来る!
カルロスとしても世界チャンピオンに返り咲く為には絶対勝たなければ
いけない試合である!
そして井口は世界ランキング1位のジョー・マッケンジーとの指名試合を
受けなぇればならない!
ともに簡単に勝てる相手では無い!
試合したいからと言って、直ぐに出来るような甘い世界では無かった。
それでも清陣営にしてみれば、大抜擢だった!
これだけの興行をする為には莫大な資金が必要だった。
もちろん今回の興行も大金が動く!
しかし大金を積んでもなかなか実現出来ないのが世界タイトル戦なのである。

清は前世界チャンピオンに勝てるのか?
井口は世界ランキング1位を撃ち破ることが出来るのか?
頑張れ!清!
頑張れ!井口!

ドローイング・バック 9

みなさん、ご訪問ありがとうございます。

井口はプロテストで清にやられてる挫折した。
そしてアメリカにひとり渡ったのである。
挫折して強くなる。
なかなかそう言う人はすくないのかも知れません。
でも誰でも挫折は味わった事はあるよね。
それを糧に頑張って行きたいですね。

清は走った。
前世界チャンピオンとの一戦が決まった。
伝説のチャンピオン マイケル・ゴードンだ。
井口くんに敗れて、今度は死に物狂いでぶつかって来るだろう?
勝てるのか?
勝たなくちゃいけない!
井口さんと戦う為にも
ミキちゃんやワタやんのためにも
そして自分自身のために

マイケルとの試合は三ヶ月後!
そして勝ったら、いよいよ世界挑戦だ!
清は厳しい練習をこなして行った。
井口の成長も凄いが清の成長も凄かった。

試合は日本で行われることになった。
なんとゴールデンタイムにTV放送もされる事になった。
世界タイトル戦並みだ!

マイケル・ゴードンが来日!
スパーリングを公開!
なんとスパーリングの相手はアニマル浜田だった。
「良いか浜田、お前のパンチをマイケルにぶつけてやれ!
倒しても構わないぞ!
お前の力を見せる良いチャンスだ!」
浜田陣営の会長が言った。
「俺のパンチを受けて立っていられる奴はいないぜ!」
カルロスの公開スパーリングが行われた!
場所は浜田陣営のジムだった。
報道陣も沢山訪れ
「これは良い宣伝になるわい!」
浜田陣営の会長はホクホクだった。
井口に敗れたとは言っても、伝説の前チャンピオン!
「アノトキハタマタマチョウシガワルカッタダケダ
コンドタタカエバカナラズカテル!」
マイケルは言った。
その言葉は力強かった。

スパーリングは始まった!
浜田は自慢の強打を武器にマイケルに襲いかかった!
「へへっ、一発で決めてやるぜ!」
ブンッ!
浜田のパンチが炸裂!
しかしマイケルの体がスッと消えた!そして鋭いパンチが浜田にヒットした!
どうなっているんだ?
浜田はマイケルを見た。
マイケルは余裕綽々でこい来いとアピールしている!
クソー!舐めやがって!
浜田はマイケルにパンチを繰り出す!
しかしまたスッと消えて浜田はマイケルのパンチを浴びた!
ドスン!ドスン!
どれもこれも強烈なパンチだ!
浜田はロープに追い詰められサンドバック状態だ!
「もう止めてくれ!」
会長が叫んだ!
マイケルのパンチが浜田のテンプルに炸裂した!
ドッタ!
浜田は倒れた!
大丈夫か?
担架が運ばれた。
浜田の意識はまだ戻っていない!
報道陣は唖然とした。
みんな浜田の実力は知っている。
その浜田を一方的に…
しかもヘットギアを着け、分厚いグローブを着けているのに
あの破壊力!
まさに化け物だった!

新聞の見出しは踊った!
「伝説の前チャンピオン!まさに怪物!
スパーリングの浜田再起不能!
前回井口戦は調子が悪かっただけ!」
「強いマイケル!前回井口戦は拳を痛めていた!
タイトルは取り戻す!」
浜田陣営の会長の話
「全くレベルが違い過ぎた。
浜田に気の毒な事をしてしまった。
あんなに強いと分かっていたらスパーリングなんてさせなかった。」

あのアニマル浜田を一方的に攻め、再起不能にしてしまったマイケル!
清は大丈夫なのか!
試合の日は近づく!


清も世界トップレベルに成長!
次の試合勝てば、いよいよ世界タイトル戦だ!
しかし今度の相手は前チャンピオン!
破壊力は抜群だ!
あのアニマル浜田を再起不能に!
清はどう戦う?

ついに計量の日。
マイケルは清を見て
「あんな貧弱な奴が相手で大じぃうぶなのか?」
マイケルはトレーナーに聞いた。
「ああ、あいつはああ見えても、あの井口を一発でマットに沈めたそうだ!」
「え?あの井口を…?信じられない…。」
マイケルは改めて清を見つめた。
しかしどう見ても、奴が井口を倒したとは信じられなかった。

計量は2人とも問題なくクリアした。
いよいよ試合は翌日だ。
ミキは清に言った。
「明日、頑張ってね。
清が世界タイトルに挑戦なんて信じられない!」
「あはは…。明日勝ったらの話だよ。」
「絶対勝ってよ!ミキ応援してるから。」
「ああ、分かってるよ。ミキちゃん、ありがとう!」

ワタやんは木の陰から2人の会話を聞いていた。
「ミキも大人になりやがって…。」

いよいよ試合の当日!
後楽園ホール。
ボクシング会場としては伝統の場所だ。
今まで数々に名試合が行われた場所である。
なんとこの日、あの浩一がデビューするのである。

浩一はあれからボクシングを本格的に始めていた。
清との出会いで浩一の生活は一変した。
イジメられていた浩一は清から教えてもらったジャブを執拗に
何かにとりつかれたように繰り返した。
そう何か不思議な力が宿ったように急激に強くなっていた。
そしてボクシングジムに通い本格的にボクシングを始めていたのだった。
そして今日がデビュー戦!
今日、この日にデビュー戦を行うと言うことは、それなりに期待されて
いるのだろう。
頑張ってもらいたいものである。
もちろん、今の清に浩一を応援するような余裕は無い!
頭の中は、対マイケル戦の対策だけだった。

「む〜ん。。。。マズイな!」
ワタやんは唸った。
あのアニマル浜田がやられたとあって、必要以上に硬くなっている。
そんな中、同級生の子が今日デビュー戦を戦うとミキから聞いた。
ワタやんは清にその同級生の試合を見せることにした。

「えー?浩一くんがデビューするの?
全く知らなかったなぁ。。。。」
清は本当にビックリしていた。
「きっと清を驚かそうと思って黙っていたんやな。」
ミキが笑いながら言った。
ふふふ…。少し緊張が解れて来てるみたいや。
浩一はんに感謝やな。

浩一の試合は始まった。
基本に忠実なスタイルだった。
特に清が教えたジャブは、清の教えを忠実に守っている感じだった。
鋭いジャブジャブ!
それだけでもう相手を圧倒していた。
ステップの華麗さ!
畳み込むスピード!
どれも素晴らしかった。
デビュー戦は浩一の圧勝だった。

清は浩一と目が合った。
「あっ!清くん!」
浩一は大喜びしていた。

よし!自分も頑張るぞ!
浩一の試合は清に勇気を与えた。

いよいよマイケルとの試合は間近だ!
念入りに身体を解す清!

会場には翔太や百合子!
昔の仲間の面々が応援に駆けつけてくれていた。
「清ー!頑張れ!」そんな声援が沢山かけられた!

いよいよ清とマイケルの試合が始まる!
清は勝てるのだろうか?

ドローイング・バック その10

みなさん、ご訪問ありがとうございます。
先日、ボクシングの試合がテレビで放送されました。
長谷川穂積応援していたのですが残念な結果になってしまいました。
ハードパンチャーだった長谷川が打ち負けている。
なかなか思うようには行きませんね。


ついに清とマイケルとの試合が始まった。
マイケルは今だに信じられなかった。
このひ弱なボーイが無敗で勝ち上がって来たとは
おまけにプロテストの時にあの井口を1発で倒したなんて…。

マイケルは貧しい貧困の国で育った。
窃盗や犯罪がはびこむスラム街。
力だけが頼りだった。
彼がここで這い上がるにはボクシングしか無かった。
ジムにはマイケルのように這い上がる事を夢見て沢山の少年が
集まっていた。
その中で這い上がれるのはホンの一握りだった。
マイケルはグングン頭角を現して行った。
マイケルのボクシングセンスは群を抜いていた。
プロデビューすると次から次に相手を倒して行った。
マイケルの戦い方は芸術的だった。
観客を惹きつけるパンチ!
観客は熱狂した。
彼は世界王座の地位に登り詰め
防衛記録も10回を超えた。
レジェンドチャンプ!と評された。
しかしその彼にも年齢の衰えは隠せなかった。
15回目の防衛戦。
相手は若い東洋人だった。
東洋人のジャブは良いカモだった。
実力は無いくせに、資金を背景に巨額なファイトマネーでタイトル戦を組んで来る。
あまりに早く倒しては気の毒だと思うくらいジャパニーズの選手とは
力の差があり過ぎた。
井口戦もそう言う心の緩みがあったことは確かだった。
しかし彼は今までのジャブとは違っていた。
それでも俺は試合を有利に進めていたし、勝てる自信はあった。
あのボディーブローを喰らうまでは…。
あんな強烈なボディーブローは初めてだった。
その後の井口は容赦なく畳み込んで来た。
この俺様を相手にである。
俺は世代交代の時期を感じた。
俺はマットに沈んだ。
このボクシングを始めて初めての事だった。

俺は引退を考えた。
もう充分戦った。
そんな俺に再戦の話が持ち上がった。
相手はあの井口を1発で倒した事があると言う事だった。
俺は興味を注がれた。
あの井口を1発で倒すとはどんな奴なんだ!

それが今目の前にいるこの貧弱なボーイだったとは…。

ゴングは鳴った!
悪いがこんなボーイ!
1発で沈めてやるぜ!
そして井口に取られたベルトを取り返しに行かせてもらうぜ!
世界ベルトはやっぱり俺が巻くのが似合ってるからな!
マイケルは勢い良く清に襲いかかった!

マイケルはパンチを打ち込む!
清はそれをかわし、ブロックする。
清はジャブを出す!
マイケルは軽い身のこなしでそれをかわす。

「防御は鍛えられている。
この前のスパーリングの選手とは大違いだ。
しかしパンチ力はそれ程あるとは思えない。
井口を倒した秘密が潜んでいるとは到底思えない!
もう、お前の力は分かった!
悪いが俺のサンダーパンチで早い回に倒させてもらうぜ!」
マイケルは早い回での勝利を確信していた。
マイケルのサンダーパンチ!
デビュー以来このパンチで相手をなぎ倒して来た。
破壊力抜群の左ストレートだった。
ジャブジャブ!
ワンツー!
マイケルは容赦なく打ち込む!
そしてとどめのサンダーパンチが炸裂した!
清の目がパンチを捉えた!
今だ!
バキッ!
グワッ。。。。
マイケルは膝から崩れ落ちた。
清のカウンターがサンダーパンチに合わせて火を吹いた!
「グアァ。。。。これだったのか。。。
井口を倒した秘密は。。。」
マイケルは薄れ行く意識の中でつぶやいた。
レフリーが試合を止めた!
なんと清が前世界王者のマイケル・ゴードンを破った!
会場は割れんばかりだ!
こんなに進化していた清!

ちょうど同じ時期、井口も指名試合を行っていた。
挑戦者世界ランク1位のジョー・マッケンジーと戦っていた。
初回から井口のボディーブローが炸裂!
挑戦者はマットにうずくまった。
強い!井口!

こうして井口と清戦いが現実の物となった。
宿命のライバル!
井口と清!
ついに決着の時が来た!


井口と清は揃って勝利をおさめた!
清は世界ランク3位まで登り詰めた。
井口のボディーブローか清のカウンターか?
ボクシングファンは盛り上がった。
日本人同士!
しかも無敗同士だった。
無敵の王者!
しかし挑戦者はプロテストの時にこの王者を1発で倒している!
因縁の対決だ!
そして挑戦者は前世界チャンピオンを1ラウンドで倒しているのだ!

ミキは清と歩いていた。
「桜もちっちゃたわね。」
清とこうして2人で話すのはいつ以来だろう。
清は壮絶な戦い、過酷な練習。
そして不利な条件でも相手を倒して行った。
「清、マイケル戦凄かったな。
あんな強敵をまさか1ラウンドで倒すとはビックリしたで。
ホンマ清のカウンターは凄いわ!」
ミキは清に寄り添って歩いた。
本当に怖い程順調だった。
いよいよ井口との世界戦。
井口君は強敵だ!
カウンター対策も練られているだろう。
しかしやるしか無いんだ!
そにために僕は頑張って来たんだから!
しかしこれに勝つと次の目標は何なんだろう?
いや、井口との対戦に集中しよう!
清は、井口戦の後を考えると少し不吉な予感がしていた。

清はミキとの甘い会話も程々に練習に打ち込んで行った!
不安を蹴散らす為にまた練習!
その勢いはワタやんのミットを弾き飛ばす程だった!
「フーッ、お前課題だったパンチ力も見に付けて来たな。
もう充分ハードパンチャーの仲間入りだ!」
清はもっともっとパンチを磨かなくてはと思っていた。
こんな物じゃ足りない!
もっと強烈なパンチを打たないと井口君には勝てない!

「おい!井口!飛ばし過ぎだ!ペースを抑えろ!」
ボブは叫んだ!
気持ちは分かるが飛ばし過ぎだ!
ボブは井口のペースを抑えるのに必死だった。
他の連中には、もっと練習しろと発破かけるのに
井口の場合はペースを落とせ!と逆の事を言っている。
こんな奴は全く初めてだぜ!
ボブは井口にカウンター対策をしっかり教えていた。
ボブは今までの数々のカウンターの名手を見て来ていた。
もちろん、その長所も欠点も熟知していた。
独自に清のパンチの癖、カウンターの取り方もタイミングも
井口に叩き込んだ!
もはや井口は清のカウンターをもらう事は無いだろう!
まさに井口はパーフェクトな選手だ!
きっと偉大なチャンピオンになるだろう!

清のカウンターは徹底的に分析されている!
清はどう戦うのか?
試合の日にちはちかづいて来ている。
3ヶ月後
会場はなんと武道館だ!

つづく
プロフィール

kantakun007

Author:kantakun007
初めまして
勘太と言います。
よろしくお願いします。
下手ですがイラストを描くのが好きです。
暖かい絵を描きたいなぁ。

最新コメント
カウンター
ブログ村
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村
最新記事
楽しい物語
ちょっと不思議な楽しい物語がいっぱいです。是非読んでみてね。
リンク
くろックCute DC01
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
{\rtf1\ansi\ansicpg1252 {\fonttbl\f0\fnil\fcharset0 ArialMT;} {\colortbl;\red255\green255\blue255;\red0\green0\blue0;\red255\green255\blue255;} \deftab720 \pard\pardeftab720\sl320\partightenfactor0 \f0\fs26 \cf2 \cb3 \expnd0\expndtw0\kerning0 \outl0\strokewidth0 \strokec2 \ \ \ }